続々々・メガネのつぶやき

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18年Jリーグ観た記 其の6 町田-大宮

 本年の観た記、ようやくJ2開幕。1年でのJ1復帰を目指す大宮。甲府との開幕戦を制し、連勝を狙って乗り込んだのは、こちらも連勝を狙う町田。8,800人余を集めた町田陸上競技場で勝ち点3を積み増したのは。

 

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短評

 町田、大宮ともに攻守とも4-4-2をベースに戦い、立ち上がりからミラーゲームの様相に。しかし、町田はネガティブトランジションでのプレッシングで大宮にプレーさせず。一方の大宮はネガティブトランジションで構える(陣形を整える)ことが多く、町田の攻撃の第一波を安易に許すシーンが目立つ。

 すると8分、平戸が蹴ったCKにニアで深津がドンピシャ合わせてネットを揺らし、町田が先制する。その後も大宮は町田のプレッシングに苦しみ、ショートパスでの組み立てはままならず。長いボールでの打開も試みたが、強風(風下)に精度を削がれ、全く持ち味を活かせない。

 対する町田は、プレス、プレス、プレス。奪えば前へ、前へ、前へ。22分に画面に表示されたパス成功率は40%台だったが、その低さを全く感じさせないポジティブトランジションの勢いで、大宮守備陣に背走を強いる。

 追加点はまさに前半の象徴に。24分、中盤でボールを奪うと素早く前を向き、中島のポストプレーから左サイドの中村へパスが渡り、中村は低くて早いクロスを送ると、ニアで合わせたのは鈴木。塩田は右手に当てるのが精一杯で、町田が良い流れ、良い時間帯にリードを広げる。その後も大宮のビルドアップはままならず、ポゼッションも町田の守備に屈す。2-0というスコア以上に差があるとすら感じられる前半だった。

 後半。大宮は球際を強く意識し、まずは目の前の1対1で負けないよう意識したプレーを見せる。また、ようやく三門、茨田からのサイドチェンジが町田2ラインのスライドより早く繰り出され、サイドで数的同数の局面を作れるようになる。

 それでも町田は揺るがず、前半と同じサッカーで大宮に対峙。62分にはアタッキングサードで見事な崩しを見せ、後は鈴木が決めるだけ…だったが、ゴール左にシュートを外してしまう。

 すると突然、流れは大宮に傾く。65分、三門のサイドチェンジが右サイドの渡部に渡り、渡部が見事な切り返しで奥山を外してクロスを送ると、ニアに入ったシモヴィッチに町田守備陣が2枚ついてしまい、その裏でフリーになっていた大前がきっちりヘディングで決めて1点を返す。

 さらにそのわずか2分後、マテウスの突破から得たCK。大前が蹴ったボールの先にいたのは、なんとどフリーになっていたシモヴィッチ。これをシモヴィッチがはすずべくもなく。劣勢だったあの時間はなんだったのか?と呆気にとられるほど、大宮が電光石火の同点劇を披露した。

 ただ、大宮がこの試合で光っていたのは、正直この数分間だけ。同点に追いつかれても町田は下を向くことなくできることをやり続け、再び主導権を手繰り寄せる。それが実ったのが79分。敵陣で得たFK、平戸が蹴ったボールに素早く反応し、DFを一歩出し抜いてダイビングヘッドを決めたのは中島。見事に町田が勝ち越す。

 大宮は88分、マテウスのピンポイントクロスに途中交替の清水が右足で合わせるが、ボールはクロスバーを越える。このまま試合は終了。町田が見事に連勝を飾った。

 

MVP:中島 裕希(町田)

 チーム全体がアグレッシブに、切り替え鋭くプレーする中で、一種独特の空気感を持ってプレーしていたのが中島。キュッとしたプレーは少ないが、チームがボールを奪って前を向いた際にとにかく良いポジションを取れていて、自然とボールが集まる、収まるシーンが何度も見られた。そして、貴重な決勝ゴール。

 気がつけば今年34歳になるが、後ろで深津、前で中島がシーズン通して存在感を発揮できれば、目標とする6位以内は十分に可能であると感じさせるプレー振りだった。