続々々・メガネのつぶやき

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17年Jリーグ観た記 其の54 J2 東京V-福岡

 8月には13位まで沈んでいた東京V。しかし、そこから怒涛の巻き返しを見せ、目下4連勝中で5位まで浮上。ホームに迎えるは、勝ち点差5で2位につける福岡。残り4試合、J1自動昇格へ向けて勝ち点を積み重ねられたのは。

 

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短評

 東京Vは自陣に人をかけるビルドアップ。福岡は積極的にプレスをかけるが、「最終ライン4枚+アンカー内田+インサイドハーフどちらか」と最大6枚をかけるボール回しは常に数的優位を保て、福岡はボールを奪うまでに至らない。そうして相手を前におびき寄せたところで一気に前線3枚にボールを預けると一気にチャンスに。ロティーナ監督の狙いは明確だった。

 一方、福岡は怪我人や出場停止などで主力4人を欠くスタメン。特にウェリントンジウシーニョの両外国人選手を欠き、東京Vの3センターハーフが非常にいいつぶしを見せられていたこともあって、上にせよ下にせよボール回しにスムーズさがなかなか出ず、推進力もあと一息出ず。ボール支配率は五分付近を推移するが、好率の良し悪しは明らかだった。

 それでも福岡は堤を中心にしぶとく守り、東京Vはシュート数こそ伸びるが杉山にセーブを強いる場面、決定機を多くは作れず。前半最大のチャンスとなった27分のアラン ピニェイロのシュートも、堤が懸命のスライディングで阻止。すると、30分過ぎからようやく駒野が効果的なオーバーラップを見せ始め、32分には石津、39分には松田と立て続けに惜しいシュートを放つ。終わってみれば、東京V優勢も福岡が意地を見せた前半となった。

 後半。東京VはSBをより高い位置に上げ、自陣ではなく相手陣でプレーする意図に替えてくる。福岡は岩下がアクシデントでプレー続行できず、HT明けに濱田を投入したこともあってか、すぐに対応しきれず。後半立ち上がり15分間は東京Vが一方的に押し込む展開に。ただ、この日安定した好プレーを見せた杉山を中心に最終ラインの選手も中、最後のところはやらせずギリギリのところでしのぐ。

 そんな中、63分に杉山が接触プレーで痛み、試合が止まったところで井原監督がピッチ内に指示を送り、選手間でしっかりと会話を交わす。すぐにバチッと修正できたイメージは無かったが、「前からなのか、後ろでなのか」意思統一できていなかった守備は、徐々に「前から」で統一が図られていく。

 東京Vはギアを上げようと井上を投入するも、福岡の圧力に屈する場面が増え、少しずつミスも見られるように。そうしてボールの行き交いがより増え、80分前からオープンな展開になると、両チームとも2度ほど決定機を作り出す。しかし、両GKの好セーブもあってネットは揺らせず。アディショナルタイム5分でもついに試合は動かずタイムアップ。お互い、勝ち点1を分け合う結果となった。

 

MVP:渡辺 皓太(東京V)

 ルーキーながらここまで25試合に出場。うち、先発は23試合。ロティーナ監督の信頼を勝ち得てプレー機会を積み重ねてきたが、この日も素晴らしいパフォーマンス。

 165cmと小柄ではあるが、守備においては機動力とその重心の低さで「かち上げる」ようなボディチェックから何度もボールを奪えていたし、攻撃でも積極的に前線に絡み、後半1つ決定機を掴んだ。

 また、シーズン通して内田、梶川と3センターを組んできたこともあってか、互いのポジションバランスも終始崩れず。仕上げるところではピネェイロ、ヴィエイラと外国人選手の存在感が際立つが、そこを下支えする中盤のトリオも、今の東京Vを評価するにあたって外すわけにはいかないだろう。