続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

よほどのことが起こったので

おそらく、よほどのことがない限り(それこそ体制の変更とかがない限り)、トップチームについて新たなエントリをあげることはないです。

re-donald.hatenablog.com

 

およそ2カ月前、当時のFC東京の現状を憂いた上記エントリを書いた際、文末にこんなことを書きました。そしたら、立石GMからまさかの「よほどのことがなければ…」発言。というわけで今日、大したことも思いついていないまま新たなエントリを書き始めているところです(苦笑)。

 

 

 前回のエントリを書いて以降(6/25アウェイ磐田戦以降)、東京が行った公式戦は12試合。その成績は、4勝3分5敗。前回のエントリ以前が10勝3分9敗とかろうじて勝ち越しだったわけですが、以降はまさかの黒星先行で、得失点も12得点18失点。事態は好転するどころか、よりマイナスに傾いています。

 とはいえ、この間全く見どころがなかったわけではありません。7/8ホーム鹿島戦では、営業部を始めとしたフロントの頑張りにより42,000人超を集めた味の素スタジアムが、石川直宏の――今になって思えば決意を持って行った――試合前の煽りから始まり、ゴール裏ファンの大きな歓声を中心に、久々に「ホーム」たる場所としての雰囲気を醸し出しました。結果は引き分けに終わりましたが、内容も見どころのあるものだったと感じています。

 また、サマーブレイク明けには3-1-4-2を本格導入。4バック時に大きな問題として見えていた「ビルドアップ時のどん詰まり」は、3バック+高萩(+インサイドハーフどちらか)に役割が整理されて比較的スムーズになり、どん詰まりのせいで生じていた「サイドバックの中途半端さ」は、物理的にウイングバックとして高い位置で振る舞わせることにより、かつ、室屋&小川の運動量豊富さにより解消。また、橋本は水を得た魚のごとく躍動し始めてゴールも積み重ね、山田、柳、ユ・インスらJ3で研鑽を積んできた選手たちも光るプレーを見せるなど、監督・コーチ・選手は「窮余の策」としてはほぼベストな回答を見せてくれました。

 

 が、そんな上げ潮ムードも一瞬限り。真夏の世の夢に終わります。引き金は「太田(&東)の起用」と「キーマンの離脱に対する篠田監督のリアクション」。

3-1-4-2導入後の2試合は左ウイングバックに小川を起用しましたが、3戦目となった多摩川クラシコでは太田を起用します。しかし、どうしてもボールを保持されてしまい、自陣で5-3-2の形で守りを強いられる中で、太田とインサイドハーフとの意思が噛み合わずに左サイドは前半から狙いどころにされてしまいました。それでも川崎側の決定機逸にも救われる形で1失点で食い止め、攻撃では後半盛り返して中島の先制点をアシストするなど意地を見せてくれましたが、どうしても「サイドバック」として振る舞う動きが、一人浮いてしまっているように見えました。

 さらに1つ飛んで神戸戦。ネルシーニョ監督のスカウティングがハマったことも相まって、前半はボクシングの判定風に書けば、ダウンもとられていないのに「10-8で神戸」と言えるほど、メタメタに押し込まれました。左インサイドハーフに東が起用されたこの試合、前半の大苦戦の要因を私はやはり左サイドの守備に見ていて、特に東に対しては試合後、こんなツイートをしたほど憤っていました。

 ただ、試合後に知人と少しやり取りした中で、こんなツイートがありました。

 これは言い得て妙で。マッシモ・フィッカデンティ(現鳥栖)監督の4バック+3センターハーフの守り方で、相手のサイドバックの上がりに対する策をものすごくシンプルに表現すれば、以下の図のとおりだったのかなと。

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 対して、篠田監督が3-1-4-2にしてから、3バック+3センターハーフ+両ウイングバックにしてほしい(と私が勝手に見ている)守り方は、以下の図のとおり。

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「ブロックのマッシモ」に「プレッシングの篠田」とチーム全体の守り方に明確な違いがあり、そこから派生しているところではありますが、端的に書くと、インサイドハーフが見るのか、最終ラインのサイドが見るのか、決定的にやり方が違います。

そんななか、付け焼き刃として急に始めた篠田(安間)式の守り方より、2年かけて、時には息苦しいと感じていたかもしれないほどの反復と緻密さで積み重ねてきたマッシモ式の守り方のほうが太田には染みている、あるいは東も意識の中にまだ刷り込まれていたであろう…と考えると、マッシモ式の守り方がどうしてもにじみ出てしまう、咄嗟に出てしまうことを全否定するのは、ちょっと言いすぎたなと思う部分があります。

ただ、そうは言っても「プロなんだから、今言われたことをしっかり認知してやってくれよ」と太田、東個人に思う部分があり、また、立ち上がりから右サイド(室屋&橋本)は篠田(安間)式の守り方ができていた(やろうとしていた)のに左サイドはそうではなかった=チームとしても練習で狙いを徹底しきれていない証左でもあり。この神戸戦の前半は、短期間で志向が揺らいでしまったことのマイナスが明確に表れた事案であったと言わざるを得ない、と考えます。

 

 さらに、浦和戦では室屋がハムストリングを痛めて離脱。3-1-4-2になってから一気にメインキャストとして、キーマンとして存在感を爆上げしていた室屋の代わりは存在せず、右サイドのエネルギーは大幅に失われてしまいました。また、高萩が日本代表に選ばれて不在となったルヴァンカップ準々決勝の2試合では、(私は試合を見ていませんが、もろもろの評判を見聞きすると)梶山が代役たり得ず。結局のところ、前述した太田や東の振る舞いに対する不満も含めて、思っていた以上に篠田(安間)式の3-1-4-2が「人の適性を選ぶ」システム・やり方であったことが浮き彫りとなりました。

 もちろんどのチームにも、どのやり方にもキーマンはいて、そのキーマンが欠けてしまうことのマイナスがどでかいことは火を見るよりも明らか。また、怪我は不可抗力な部分でもあるので致し方なく、高萩の代表選出は喜ばしいことで、かつこれが初選出ではなかったので、選ばれることは想定し得えたはず。となれば、無理に3-1-4-2にこだわる理由はなくなり、別の手段を講じてもおかしくないどころか、それが普通の考えのように思います。

 なのに、直近の4連敗を顧みると、篠田監督は3-1-4-2にこだわる采配を連発。特に横浜戦では1枚目の前田→永井はともかく、2、3枚目が米本→中島、橋本→ウタカで、最終的に2トップ2シャドーが大久保、永井、中島、ウタカという蛮勇な顔ぶれになり、けれど3-1-4-2はそれとなく守るという無理筋な采配。もう残り10分もない段階だったのでシステムがどうこうではない部分があり、同点、逆転を目指すためにリスクを負って…と書けば見栄えは良いですけど、あまりにも美しくないこの采配は、さすがに苦笑いせざるを得ませんでした。

 どうにかして、今の苦境を脱したいと思って始めたはずの3-1-4-2。それまで不満に感じていた部分がある程度解消できていたので、その決断は悪くありませんでした。また、5試合負けなしと結果もついてきました。そこは正当に評価しなければいけないでしょう。

ただ、シーズンはすでに半ばを折り返しています。今からトライ&エラーを繰り返してこの3-1-4-2を仕上げていくほどの時間的猶予はなく、また、皆さんはどう思っているか分かりませんが、私は今さら3-1-4-2を仕上げてほしいとも思っていません。言い方を変えれば、ここでまた4バックに戻したところで「はい、篠田またブレた~」と批判することはなく、もっと酷く言えば、篠田体制が来季も続かないだろうと私は考えていて、今季限りだという前提に立てば、もはや戦術面の良し悪しをつついたところで意味がないだろう、と。なので…というのは個人的理由が過ぎますが、いずれにせよ、なにか1つにこだわって、貫いて勝利を目指そうとするにはもはやいろいろな面で限界が生じていると思っていて、それよりはその試合で使える手駒の100%を出そうとするアプローチを取ったほうがいいのでは?と感じています。

 

 

 天皇杯も終わりました。ルヴァンカップも終わりました。リーグ優勝なんて夢のまた夢で、ACL圏内も現実的には難しい状況。さて、ファンはここから何を見ていけばいいのでしょうか?その答えは各々違うと思いますが、私は…ここにきてあえて抽象的に「意地」と「相応しさ」を感じたいなと。

もはや、勝て!とは言いません。その分、試合に向けての準備、その準備をピッチで表現すること、バラバラにならないこと、劣勢にも抗うこと、その他、プロフェッショナルとしての姿勢を「意地」という言葉に置き換えますが、とにかく残り試合全てで「意地」を見せてほしいし、私なり「意地」を感じられたら救いがあるなと思います。

 また、今の味の素スタジアムはとかく雰囲気がよくありません。大人がお金と時間を費やして足を運ぶに相応しい、あるいは子どもたちが夢を見に、いろいろ楽しみにしてワクワクするに相応しい、はたまた日本のトップカテゴリーを戦うに相応しい舞台であると、胸を張って言うことができません。それらがすべて、監督・選手・コーチ・フロント・スタッフのせいだとは言わないですが、前半に書いた鹿島戦のような雰囲気を取り戻すためには、やはり試合内容の向上が大きな要因であることは間違いありません。

 今季のリーグ戦ホームゲームは残り6試合。うち、3試合が9月に行われます。なんとか、切になんとか、意地と相応しさを取り戻す戦いぶりを見せてほしいと願って、今日は締めたいと思います。