開幕戦でオフのマイナスイメージをある程度払拭することに成功した横浜FM。2戦連続ホームゲームとなった今節は、J1復帰戦を勝利で飾ることが出来なかった札幌。横浜FMが連勝となったか、札幌が初勝ち点をあげられたのか。
短評
戦前の予想通り、横浜がボールを握り、札幌が待ち構える形となったが、札幌は開幕戦ほどラインが低くなく、しっかりとボールホルダーにもアタック。札幌のファーストチャンスも敵陣でのプレスから。開幕戦とは異なり持つ側に回った横浜がそれほど上手くやれていなかった点も相まって、齋藤・マルティノスの両サイドハーフ頼みという攻撃に終わる場面が少なくなかった。
一方、札幌のビルドアップはシステムのギャップも影響してか、横浜のファーストプレスを外せた暁には、一気にアタッキングサードまでボールを運べる場面が見られ、20分までにコーナーキック3本獲得。前半最大のチャンスもセットプレーからで、横山のヘディングシュートが決まらなかったことが、結果として札幌の手から勝ち点がこぼれることに繋がったわけだが、前半はかなりポジティブに捉えていい内容だったと思う。
しかし、繰り返しになるが前半はゴールレス。そして、均衡を破ったのは個の巧さだった。前線からのプレスでボールを奪い、齋藤がボールを受けると札幌守備陣は引き寄せられたが、そこで生まれたスペースを見逃さなかったのがバブンスキー。スルスルっと入っていき、齋藤からボールを受けると、トラップすることもなく左のアウトサイドに乗せてシュート。これが素晴らしい弧を描いて右サイドネットを揺らした。バブンスキーのフリーランを見逃さなかった齋藤も素晴らしかったが、バブンスキーのゴールまでのイメージも、なかなか日本人選手にはない素晴らしいものだった。
札幌はここで落ちずに反発力を見せたかったが、2点目も自陣でボールを奪われてからのカウンター。札幌側はファウルをアピールしていたが、前半もファウルギリギリの激しいチャージで奪われてから…というシーンを作られていたし、全体的に廣瀬主審がプレーをさせる基準だったこともあって、また1つ「J1の基準」を教わる高い授業料を支払わされたシーンだったように感じた。
72分には天野のクロスをヴィエイラが決めて3-0。その後も決して札幌はファイティングポーズを崩さなかったが、横浜が余裕を持ちながらゲームを進め、このままタイムアップ。横浜が連勝を飾った。
試合全体を見渡せば、一番目立っていたのは齋藤だと思うし、喜田の潰しっぷりも印象に残ったが、「0-0でなるべく引っ張って1発決めたい」という札幌の思惑を後半頭に霧散させたあのゴールは、価値があったと思う。
もちろんシュートの精度も素晴らしかったが、受ける前のポジショニングの良さは特筆すべきもので、キレッキレの齋藤に守備陣が寄っていくと、バブンスキーが空いたスペース見逃さないよ!という開幕2試合のパフォーマンスは、相手からすればあまりにも厄介。素直に横浜強化部に「オフ、謎の外国人すぎるやん!ってディスってすいませんでした」と謝るほかありません。
MWP:松原 健(横浜FM)
札幌は、全員奮闘していた。横浜も、攻守ともにポジティブだった。が、唯一好調のチーム内にあって乗り遅れた感があるのが松原。
開幕戦も宇賀神にだいぶ苦労させられたが、この日もジュリーニョや福森に大苦戦。ポストに救われた横山のヘディングに繋がるフリーキックを与えたのも松原だったし、期待されている攻撃でも目立った活躍はなく。私が今、横浜と対峙するチームの監督なら、守備意識が薄いこの横浜右サイド(マルティノス&松原)を徹底的に狙わせると思う。