続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

胸を張れる「これ」を求めて。先ず隗より始めよう。

 明けましておめでとうございます。金杯で乾杯…ではなく完敗した中の人です。昨年は久々に、多めにエントリを重ねたつもりです。今年も同じペースで書くかどうかはまったく分かりませんが、ぼちぼちやっていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 

 

 さて、天皇杯。準々決勝、川崎戦の前に以下のようなエントリを書きました。

 篠田監督が、リーグ戦終盤戦で見せたサッカーをどのようにブラッシュアップして、川崎相手に「決意表明」してくれるか?選手たちが、篠田監督以下コーチ陣の指導を受け、タイトル奪取とともに来季へ向けてどのような「決意表明」を見せてくれるか?いくつかの事柄を引き合いに出しながら、プレビュー調に仕立てた(つもりの)エントリでした。

 が、結果はご存知のとおり1-2で敗戦。しかも、内容はスコア以上の完敗模様。篠田トーキョーが決意表明をしようとはしたものの示せなかったのとは対照的に、風間フロンターレがその「集大成」をまざまざと見せ付けた。そんな印象ばかりが残る、苦いゲームとなりました。

 

 試合の趨勢は立ち上がり数分で決まりました…という、当ブログらしい知ったかぶったゲーム分析に入っていってもいいんですが、この試合を見て、天皇杯の準決勝、決勝を見て、ツイッターで済むかもしれないけど、なんとなく書いておこうと思ったことがありまして。

 風間監督の下、5年間ぶれない哲学で積み重ねてきた川崎と、篠田監督に代わって半年の東京とで完成度に差が出るのは仕方ありません。が、言いたいのはそんなことではなく。

 川崎は、とにかく巧かった。ボールを持った際のスキルは、悔しいですけど、明らかに差がありました。そのスキルを活かすためのポジショニングも、これまた巧かった。東京の各選手の距離感が最後までしっくり来ず、手前で受けられず裏にも抜けられなかったのに対し、川崎の各選手は手前でも裏でも、欲しいところを出し手に明確に伝えられる受け手の動きがとにかく際立っていました。

 そんな機が熟した川崎でも、タイトルを手にすることはできませんでした。立ちはだかったのは、鹿島。セカンドステージのドタバタが嘘のようにチャンピオンシップかららしさを見せ始め、クラブワールドカップで世界を驚かせ、天皇杯も憎たらしいまでに飄々と持っていく。

 そんな「またしても」な光景を現実のものとしたのは、メンタルタフネスさだったと思います。多くのメディアで取り上げられましたが、小笠原は前半に中村とひと悶着起こした件を振り返って、「それもパフォーマンスのひとつで、本当に怒っていたわけじゃなかった。そういう細かいところにこだわるのは、なんというか、流れを引き寄せるじゃないけど『戦うんだぞ』っていう大事なことだと思う」と事も無げに振り返り、鈴木強化部長も「意識してやっている」と当たり前のように振り返りました。

 そんな小笠原を筆頭に鹿島の面々を見ていると、良くも悪くもー悪くも、ってのは相手から見たやっかみでもありますが-「上から見ている」感がすごくて。伝わるか分かりませんけど、西、山本の両サイドバックが醸し出すあの雰囲気が象徴的で、淡々と当たり前のプレーをやり続け、時々ちょっかいを出し、山本はクールに、西はニヒルに、とタイプは別ですが「だから、何?」という佇まいで相手を飲んでしまう。これは、鹿島アントラーズという独特な哲学のもとで日々を過ごしているからこそ身につく、独特なメンタルなのだと感じています。

 

 この2チームを見ていて、じゃあ今の東京は胸を張って「東京はこれがウリです!」と言えるものはあるでしょうか?パス&ムーヴとかカウンターとか、リトリートとかブロックディフェンスとか、システムとか戦術とかそんなややこしいことではなく、フィジカル、スキル・テクニック、メンタル、そういった誰が見ても分かる、誰を味スタに連れてきても説明できる、もっと根本的なところの「これ」が、今の東京にはあるでしょうか?残念ながら、私は挙げることができません。

 フィジカルなのであれば、90分走り倒すスタミナでも、瞬間瞬間で勝負するスプリントでも、1対1や球際で負けないアスレティックでも。スキル・テクニックなら10~20mを正確に繋ぐショートパスでも、展開を大きく変えるロングパスでも、次のプレーを作るトラップでも、局面を打開するドリブルでも、多種多様なクロスでも。メンタルなら、常に弱気にならず熱く前を向き続けるものでも、はたまたあえてネガティブなことも想定内に含めて、どんな時でもクールに振る舞うでも。どれでも何でもいいから、1年後の今頃に「東京のウリはね、これなんですよ!」と言えるものがチームに根付き始めていれば…。

 いつか、必ず、絶対にリーグ優勝を目にしたい。そのために、監督が変わろうとも、時代が変わろうとも、トレンドが移ろい流れようと、変わらずに胸を張れる「これ」を求めて。ってのを、私としては隠れたテーマとして、今年1年の東京を見ていこうかなと思います。大事を為すために、先ず隗より始めよう。