続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

今だからできる、第2次城福東京への妄想

 明けましておめでとうございます。本年も、当ブログはゆるゆる不定期に、書きたいことが浮かんできた時にだけ更新していきたいと思いますので、何卒ゆるく御拝読いただけたら、至極感謝にござりまする。
 というわけで、年が明けました。マッシモトーキョーは天皇杯準々決勝がラストマッチとなり、その数日後、正式に城福監督の就任が発表されました。あくまでも個人的な全体の印象ですが、どことなく復帰を歓迎されきってはいない感じで、まあ過去のあれやこれやを思い起こせばそう思うのも分からなくはないところ。ただ、決まったからには全力支援。全力支援するなら、全力で妄想するだろ!と思い立ち、今この時期だからぶっ放せる内容も含んで、以下連ねていきます。


 城福監督が志向するサッカーとは?という問いに対し、多くの人は「ボールを保持し、ボールを動かしながら」という答えをだすでしょう。しかし、甲府時代は限られた資金と資源とをうまくやりくりしながら、守ら「ざるを得ない」状況を受け容れながらJ1昇格&残留を果たしてきたこともあり、「割り切る部分は冷徹に」というイメージも少なからず刷り込まれていると思います。
 そんな、理想と現実を行き来しながら行ってきた監督業から離れ、解説者として立ち振る舞ったこの1年、Jリーグをどのように見て、世界のサッカーをどのように感じてきたのか。その見聞が、今季のスタイルに反映されないわけがないという前提に立ったとき、果たしてどのような「勉強の成果」をチームにもたらし、ファンに見せてくれるのか、そこに楽しみがいかないわけがありません。
 さて、ここからが妄想の本題。今日は、「城福監督がどのシステムをベースにするのか?」「そのシステムにおける、ポジションごとの私的序列」をメインに話を進めます。もちろん、まだIN&OUTは確定しておらず、1月末までは数名の出入りがあると思いますが、噂の段階も含めた、現時点で想定されるスカッドをまずは挙げてみますと、

GK 秋元、榎本、圍
DF 小川、駒野、丸山、徳永、森重、吉本、柳 (室屋?)
MF 石川、梶山、河野、幸野、佐々木、高橋、田邉、中島、野澤、橋本、羽生、バーンズ、ハ・デソン、東、平岡、水沼、ユ・インス、米本
FW 阿部、サンダサ、林、平山、前田
(各ポジションとも五十音順)

 となります(権田、松田、三田がOUTの想定)。先に補強の話をすれば、奈良のレンタル終了に伴いCBが森重、丸山、吉本の3人だけとなったため、ここはマストになるでしょう。また、2/9にプレーオフで勝利すればACLがありますし、今季から発足するセカンドチームのJ3参加も見据えて、さらにどこまでスカッドを広げるのか、興味があるところです。
 話戻って。すでに獲得が発表された水沼と阿部は、城福監督のオーダーによるものという報道がありました。ともに指導した経験があり、J1でも十分に実績のある両名の加入は戦力アップにつながると思いますが、では、両名をどのような意図で獲得したのかを考えてみます。
水沼はサイドハーフとして左右どちらもできる器用さがあり、昨季は豊田の負傷離脱を受け、終盤は4−2−3−1のトップ下でもプレー。鍛えられた運動量・ハードワークぶりはそのままに、ゴール数7でキャリアハイ。シュート成功率も、12〜14年の平均で6.8%だったに対し、昨季は12.1%とほぼ倍増と、フィニッシュに絡む部分での飛躍が見られた1年でした。一方の阿部は、ヴェルディ時代には主にFW(セカンドトップ)としてプレーし、J2ながら3年間で37得点の荒稼ぎ。その後ドイツに渡り、14年途中に甲府へ加入してからは、主に2シャドーの1角としてプレー。貧打にあえぐチームの中で5ゴール(成功率11.4%)3アシストをマークし、パススタッツでも、受け手としても出し手としてもチームに上位の本数を記録。文字通り、攻撃の中心を担いました。
 そんな両名に対して、これまでそれぞれのチームで担ってきた役割そのままを今季も託すと考えれば、おのずと城福監督が考えているベースのシステムは、4−2−1−3(or4−4−2)になると見ています。それは、逆説的に、つまりこの両名を除いた15年の陣容、特に2ndステージで主力を担ったメンバーで4−2−3−1を組もうとしたときに、明確に浮かんできます。

 マッシモのもとで花開いた河野、橋本ですが、それぞれマッシモの戦術に特化した役割分担によって得られたブレイクスルーだった印象が少なくありません。また、河野、橋本がマッシモに評価されたポイントとして「攻撃3:守備7」という印象もあり、城福監督がより攻撃時のインパクトを出したいと考えた際、河野→阿部、橋本→水沼と当てはめることでそれが叶うと見るのは、無理のない筋だと考えます。例えば、左(太田)に偏っていたサイド攻撃のバランスを、水沼の加入で少し右に揺り戻したい意図もあるでしょうし、しばらくSBにおんぶに抱っこだったクロスを期待する側面もあるでしょう。同じく、15年は河野が担いきれなかったトップ下の選手のフィニッシュ力向上を阿部に期待する部分もあるかと思いますし。


 もう1つ、むしろ最注目ポイントとも言えるのがセンターハーフ。噂されているハ・デソンが加入したならば、2枚のセンターハーフを梶山、高橋、橋本、野澤、ハ・デソン、米本の6人が争うことになりますが、傍目から見て十分とも言える現陣容の5人にハ・デソンを加える意図は、明らかに「ビルドアップの向上」にあるでしょう。
 先日発売されたエルゴラッソのJ1総集編版によると、米本、高橋それぞれのパス成功率は、それぞれ77.9%と76.7%。マッシモのスタイルで、中盤より前の選手のパス成功率が上がりづらいのは致し方ないと見ることはできますが、しかし、現代サッカーにおけるセンターハーフの選手としてはいささか寂しい数字なのも間違いなく。また、梶山がひざや足首の影響でフル稼働できるか怪しく、橋本もダイナミズムが売りのタイプで、野澤は昨季キラリと光る片鱗を見せたものの、シーズン通して活躍できるかどうかは未知数。そして、東京を除く昨季のトップ5である広島、浦和、G大阪、鹿島、川崎には、それぞれ青山、柏木、遠藤、柴崎、大島と、このポジションでゲームメークできる選手がいたことを踏まえれば、仮にマッシモが継続して指揮を執っていたとしても、頼れるパサータイプのセンターハーフは獲得が必須でした。もちろん、ハ・デソンが青写真通りに働いてくれるかは蓋を開けてみなければわかりませんが、青写真通りに働いてくれるならば、今季は「米本・橋本&ハ・デソン」がメインコンビになると見ています。
 その他に目を転じると、権田が抜けることがほぼ確実なGKは秋元と榎本の争い。足下の技術を重視するならば、秋元になると思いますが、果たして。DFは右から徳永、森重、丸山、駒野で順当でしょう。気になるのは、室屋を引き続き特別強化指定するのか。左は、1年安間塾で揉まれてきた小川を駒野のコンディションを見ながら抜擢する手があると思いますが、右の柳に同じことを期待するのはさすがに酷。となると、CB同様1枚足りない印象が拭えません。ただ、市場にめぼしいSBがいないこともあり、果たしてどうするのか。FWは前田が主軸になると思いますが、平山が怪我明けでどこまで食い込めるか。また、城福さんがマッチデーハイライトで称賛していたサンダサに出番があるのか。この2点が注目です。そんなこんなを踏まえた、各ポジションの私的序列は以下のとおりになります。

 イメージとしては、「右SHはクロッサー、左SHはアタッカー」「右CHがパサー、左SHがクラッシャー」があり、あとはそれぞれといった感じです。


 …と、ここで話が終わりならば、ツイッターあたりで少し連投して終わらせればよく。せっかくブログに書いているんですから、ここからはもう少しディープな――より私見が入り込んだ――妄想をしてみたいと思います。
 1つ目は、甲府時代に採用していた「3−4−2−1」。甲府時代にこのシステムを用いていたのは、「守備時に5−4−1とすることによる耐久力向上」が一番大きな理由だったと感じていますが、Jリーグは今、空前の3バック(≒守備時5バック)ブーム。J1では広島、浦和がワンツーを決め、湘南、神戸、甲府、松本、山形がベースシステムとして3バック(≒守備時5バック)を採用。J2でも福岡、愛媛、長崎がプレーオフに進出し、札幌、岡山、熊本なども用いていました。
 さて、先ほどの陣容で3−4−2−1を組んだらどうなるか?いきなりですが、まずは私的序列から載せてみます。

 ここでの注目は、ズバリ幸野と柳。東京の選手としては期待されたほどの活躍を見せられていない幸野ですが、レンタルされていた大分、長崎時代にシャドーでのプレー経験があり、長崎時代は特にダイナミックなプレーでプレーオフ進出に大きく貢献しました。町田時代のセンターハーフ、千葉時代のトップ下も悪くはありませんでしたが、個人的にはサイドでも真ん中でも、あるプレーエリアに厳密に押さえつけるのではなく、流動的なポジションや役割を与えればJ1でも十分に通用するセンスはあると感じていて、それが活かせるのがシャドーポジションなのかなと思ったりしています。
 そして、柳。今季U−18から昇格した選手で、4バックなら右SBの選手ですが、ドンピシャリにハマるのが3バックの右ストッパー。U−18でのプレーを見た方ならば説明不要かと思いますが、ごく短く例えれば、浦和の森脇…というよりは広島の塩谷のように、いつの間にかフラフラするする上がっていって、攻撃に絡むのが得意なプレーヤー。上背もあり、フィジカルがプロ仕様になれば自陣での競り合いもこなせるようになるはずで、おそらく今季はセカンドチームで研鑽を積む日々になると思いますが、その分他のルーキーたちより早くプロの水に慣れることができ、城福監督が3−4−2−1をオプションとしてシーズン通して用いるならば、例えば天皇杯あたりでデビューがあっても驚きません。あとは…ウイングバックの水沼とか、1トップ林とかは、3−4−2−1にハマりそうな気もしています。


 2つ目、そして今回の妄想爆発ポイントが「4−3−3」。1年解説者として世界のサッカーを見ていた城福監督が、バルセロナバイエルン・ミュンヘン、(アンチェロッティ時代の)レアル・マドリーパリ・サンジェルマン、(上手く回っていませんが)マンチェスター・ユナイテッドなどのメガクラブがこぞって採用している4−3−3にまったく意識が及ばないとは思えない、というのが妄想の発信点。そこに、マッシモが2年かけてある程度形にした3センターハーフを、いきなりなかったことのように全く使わないのはあまりにもったいないのでは?という思いが加わり、さらに、マッシモが4−3−3を頓挫した理由として大きい「ウインガータイプの不在」を、想定スカッドなら解消できると踏んだことで、今これから妄想としてぶっ放せると自分の中で確信した次第です。そんな、4−3−3の私的序列は以下のとおり。

 マッシモが14年開幕当初にウイングに置いたのが、主に武藤、渡邉千真、石川(要確認)でしたが、武藤はともかく渡邉にウイングはさすがに無理がありました。ただ、水沼、阿部がウインガーとしてもプレーすることが可能。そしてなにより、平岡、サンダサの2人が個人的にはウインガーにピッタリだと思っていまして。
 平岡は、後藤勝さんのWebマガジン「トーキョーワッショイ!プレミアム」でしばしば取り上げられていて、その中で安間塾にてガッチリこってり鍛え上げられ、成長の跡が見えることが窺える状況。もちろん、4−2−3−1の右SH(クロッサー)として一気に花開いてくれてもいいんですが、今季のバイエルンのように、「左サイドでこねこねしている間に右ワイドに大きく開き、対角のロングパスをもらって1対1を仕掛け、スピードで抜ききってクロス」というタスクを翼に与えると…ワクワクしませんか?ってなところです。
 片やサンダサ。加入当初に本人が語り、短い時間ですが昨季のプレーを見る限り、真ん中において収める、あるいは競り合うという仕事はあまり向かず、むしろサイドに流れて前向きにボールをもらい、そこでゴリゴリ1対1を仕掛けてフィニッシュに、というシーンでスタンドの感嘆を得るタイプ。言い換えれば、2トップの一翼としてその仕事ならまだしも、1トップとしては起用しづらいタイプ。ならば、第1次城福時代に輝きを放っていたカボレのような仕事を任せたならば、かなり跳ねると思うんです。
 あの時(09年)は右から「石川・平山・カボレ」という3トップだったと思いますが、新たなスピードスター平岡と、新たな助っ人サンダサが、前田や平山と絡んで暴れまわる。そして、マッシモが築いてきた逆三角形の3センターハーフが中盤を引き締め、最終ラインが全体をコンパクトにまとめる(守備時は4−1−4−1になれば、いとおかし)。今日挙げた3つの妄想のうち、最も不確定要素が大きく、しかし最もエンターテインメント感が醸し出せるのが、この4−3−3じゃないかと考えるところです。


 とまあ、長々書いてきましたが、今季はファンにとっては嬉しいことに(選手にとっては大変でしょうけど)、1月最終週にスカパー!New Year Cupが3試合あり、そこでチームの仕上がり具合を早々に確認することができます。そして、2/9には早くも大一番となる、ACLプレーオフがあります。この4試合を見ればまた、戦術面や選手起用について、実際の状況を踏まえて書けることがあるかもしれませんが、それはそれとして。今この時期だからこそできる脳内妄想を、皆さまもやってみたら面白いんじゃないでしょうか。ね、ね!