続々々・メガネのつぶやき

主にFC東京、サッカー、当たらない競馬予想の3本立て。思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

守備から始まるエトセトラ

 J1、そしてJ3に引き続き、4月9日に開幕した高円宮杯U-18サッカーリーグ「プレミアリーグEAST」。ここまで4節を終了し、FC東京U-18は3勝1敗で堂々の首位発進となっています。昨年はいろいろとスケジュールが合わず序盤戦をほぼ見られず…でしたが、今年は第2節流通経済大学柏高校戦以外の3試合を見ることができたので、何となく思ったことをつらつらと。

 

 

 開幕戦となった清水ユース戦。ちょっとすでに記憶の彼方なので短くまとめますが(苦笑)、コイントスで勝利した清水が風上をチョイスし、立ち上がりから攻勢をかけてきました。前半のシュート数は東京3-8清水で、ヒヤッとさせられる場面もありましたが、それでも0-0で凌いだ際には

  とツイートしたとおり、決して悪くない展開だったと思いました。しかし、エンド変わった後半のシュート数は東京1-4清水。とにかく、東京は攻撃をフィニッシュで終えられませんでした。その要因となったは、風上に立つもその風の強さをつかみきれずに精度を落としたロングボールと、清水のキャプテン5立田の存在。地上戦だろうが空中戦だろうが、自分の前だろうが後ろだろうが、読みの勝負だろうが瞬発力の勝負だろうが、とにかくこの日は自分のプレーエリアに来た東京の選手をことごとく止め、はね返し続けました。ついには、決勝ゴールのアシストまで記録(コーナーキックのボールをファーでヘディング、中へ戻ったボールを28鈴木が決めた)。その得点直後に

 とツイートしましたが、とにかく立田を中心とした清水の守備に手も足も出ずに終わったという印象しか残らない、厳しいゲームでした。

 

 それでも第2節 流通経済大柏戦を2-1で競り勝ち、迎えた第3節 大宮ユース戦。この試合のちょっと前にトップチームに関するエントリで「4-4-2はポゼッションに向かない」的なことを書き、戦前に知人から「大宮は昨季までの4-1-2-3ではなく、今季は4-4-2をやっている」という情報を聞き、はて、大宮はどう仕掛けてくるんだろうか?とあれこれ考えていましたが、蓋を開けてみたら以下のような極端なポジション移動を伴うアタックを仕掛けてきました。

 

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 ニュアンスとしては、浦和や広島がやっているような形で、だけど1トップ2シャドーじゃなくて2トップ1シャドーで。時にはシャドーポジションにいるCHがFWの間に入って完全5トップのような並びになることもありましたし、さらにはCBの前にいるCHまでもが前線に上がっていって、4-2-4というか4-0-6というか、とにかく後方でビルドアップしている間に前に人数をかける形を作ることを徹底してやってきました。

 それに対して東京は、以下のようなマッチアップを取ることが多かった印象です(メモなど取ってないので記憶違いの可能性もありますが、そしたら誰か訂正してください(苦笑))

 

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 敵陣では4枚で5枚に対峙し、パスコースを切ることを前提としながらも割とボールホルダーに対してアタックをかけていました。対して自陣では4+2枚で5枚を見る形を取り、相手のCHがFWの間に入るポジションをとっても、4鈴木(喜)、8伊藤の両CHはついていかずにその位置のままで縦パスをケアすることをメインタスクとしていました。

結果的に最終ラインの4枚が相手5枚を見るというシーンも何度か生まれ、相手のSHが浮きそうになる場面もありました。個人的には少しヒヤヒヤしながら見ていましたが、終わってみればサイドを崩される場面はほぼ皆無。前方の頑張りが相手の視野を奪っていたのか、大宮の選手たちが遠くを捉えられていなかったのかは判断が分かれるところではありますが(まあ、両方かな?)、相手の形をケアしつつも、自分たちの形を崩さないままで守れていた点は、高く評価していいのかなと感じました。

 そうやっていい守備をしていれば、必ずチャンスは巡ってくるもので。徐々に敵陣でボールを引っかけられるシーンが増え始め、そこからシュートまで持っていける場面を複数作りだすと28分に試合が動きます。自陣からドリブルを始めた14内田がスルスルと抜けていき、左サイドの11半谷へパス。半谷がややふんわりとしたクロスボールを中に送ると、ファーサイドで競り勝ったのは7生地。叩きつけるヘディングシュートがネットを揺らし、東京が先制しました。ここで、TRFの「EZ DO DANCE」を模したチャントでひとしきりファンが盛り上がった(この後も何回か盛り上がる)ことだけは、漏らさずお知らせしておきます。その後も、ボールの支配は大宮に譲りましたが、要所できっちりとパス・ドリブルを封じ、シュート数も東京8-1大宮と圧倒。スコア以上に東京に分があった前半だったと私は感じました。

 しかし後半、様相は一変します。大宮が前半のやり方を諦め、昨季までの4-1-2-3に戻したその一発目の攻撃。CBからスタートしたビルドアップで気持ちいいくらいショートパスがテンポよく繋がり、東京の選手は完全にボールに意識を持っていかれます。そのタイミングで、バランスが崩れていた東京守備陣をあざ笑うかのようなロングパスが最終ラインの裏に送られると流れのままシュートまで持ち込み、一度は1波多野がセーブするも、こぼれ球を7蛭田に押し込んで、あっという間に同点。

 さすがに早すぎるだろう、と苦笑いしている暇もなく、失点後も流れは変わらず。大宮のビルドアップに対して前方はプレッシングを試みるも、前半にはなかったパスコース(≒インサイドハーフ)の存在があまりにも厄介で、行けど叩かれ、行かなければ運ばれ、取りどころは完全に消失。正直、勝ち越されるのは時間の問題にも思える展開となりました。

  ただ、ここで踏ん張りを見せたのがキャプテンの5蓮川。正直、前半はそこまでいいパフォーマンスではありませんでしたが、同点にされてからの15分ほどは人が変わったかのように球際に強くいけて、エアバトルもほぼ完勝。引き続き押し込まれてはいましたが、最後のところでやらせない守備はチームを鼓舞するに十分なものでした。そうしているうちに10松岡、11半谷の頑張りを筆頭に前線のチェックも徐々にハマる場面が出てきて、一方的だった流れの潮目が変わり始めます。

 その展開をもう一押ししたのが、59分に投入された18鈴木(郁)。決して器用ではなく、荒削り感満載な選手ですが、少し引き戻した流れをさらに持ってくるにはうってつけなタイプで、実際に投入直後から敵陣のスペースめがけてゴリゴリ走りまくり、大宮の最終ラインにプレッシャーを与えます。そうしてようやく東京にも前向きなエネルギーが生まれ、アタッキングサードに入れるようになったのが65分すぎぐらいでしょうか。

 こうなると、勝負を分けるのは次の1点。それをものにしたのは…東京でした。75分、生地(だったと思いますが、違ったらごめんなさい)がゴール前でドリブルを仕掛けると、ゴール正面のエリアすぐ外で倒され、フリーキックをゲット。ボールをセットし、構えるは生地…と途中投入されていた41久保。スタンドから「タケフサ!」コール。それでも蹴りたそうな生地。さあ、いざボールを蹴ったのは…久保。そして、見事にネットを揺らしました!あまりに鮮やかなフリーキックで、試合は一気に東京の流れになります。

 78分にはロングフィードに反応した14内田が、一度は相手に先にボールを触られるも後方から巧みに突っつきエリア内に侵入し、左足でシュート。これはGKに防がれるも、こぼれ球を押し込んだのは、先ほど涙をのんだ(?)生地。これで勝利を決定付けると、83分にダメ押し点を演出したのは久保と鈴木。後方からの浮き球を受けた久保は素晴らしいトラップ1本で前を向くと、鈴木はその瞬間を見逃さず最終ライン裏へランを開始。久保がまたその動きを見逃さない絶妙なスルーパスを送ると、抜け出した鈴木はGKとの1対1を冷静に制し、4-1。その後90分にコーナーキックから失点を許すも90+2分、右サイドでボールを受けた27岡庭は、時間をつぶすプレーではなく果敢にドリブルで仕掛けると、2人を抜き差ってエリア内でクロス。これをファーサイドで上手くフリーになった内田が難なく押し込み5-2となり、ここでタイムアップ。見事に勝利を収めました。

 

 続く第4節 柏U-18戦。大宮ユース以上にボールの動かし方、それをより効果的にする選手の動き方に特徴のあるチームという印象で、先週の守備での我慢がどこまでこの試合も見られるか?をひそかな焦点として、キックオフの時間を迎えました。

 始まってみると、大枠な展開は「持つ柏、守る東京」で間違いないなかったと思いますが、細かい部分ではおっと思ったところがすぐに2つ出てきました。1つ目は「東京のスカウティングのハマり方」。柏の攻撃は創造性とオートマティズムが上手くミックスアップされていて、中でも特徴的だったのがSBの動き方。

 

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 東京の自陣にクローズアップした図で、柏の前線は2枚になったり3枚になったり様々でしたが、とにかく狙いは「サイドにフリースペースを意図的に作る」こと。東京の4バックをペナルティエリアの幅内に収縮させる、あるいは片側のサイドに寄せるようなパス回しをする。その間に(主に)SBが空いたスペースへ侵入する。ボールを受けたら、1対1を仕掛けてのクロス、あるいは外へ開いてきたFWやCHとのコンビネーションで崩す。そうして相手が外をケアしてくれば、門が開いた中を縦パスで刺しに来る。その繰り返しで混乱に陥れようとしていたように見えました。

 それに対して東京が取った策は「SHのプレスバック」。上がってきた柏のSBに対して東京もSBを当て、最終ラインにはCHどちらかが下りてきてヘルプという考え方もあったと思います。はたまた、システムごと変えてしまって、相手に噛み合わせる考え方もあったと思います。しかし、スライドの遅れやズレを逆手に取られて中を崩されるのを嫌ったのか、システムごと変えてバランスが崩れるリスクを取らなかったのか、4バックは相手にはめ込まれる前に狭い距離感を自ら取り、上がってきたSBには14内田、8伊藤の両SHがプレスバックして対応する形を選択しました。

 内田、伊藤にはかなり負担のかかるタスクではありましたが、これによりマークマンはある程度はっきりし、受け渡しもスムーズにできていたことで外を崩される場面はかぞえるほどでした。また、12小林、42平川の両センターハーフ無為無策に外へ引きずり出されることなく中をしっかりと締めることで、縦パスのコースもうまく限定できていたと思います。

 2つ目は「球際の差」。ともに守備の仕方は「基本はブロック、でもいける時は前線がチェックに入る」形でしたが、ボールを効果的に奪えていたのは明らかに東京でした。それは「持つ時間が長いのが柏で、東京が守備をする機会が多かったから」という展開によるところもありましたが。ただもっと単純なところで、ボールホルダーに対して1歩足が出るか、1m寄せにいけるか、ここで奪いきるんだという意識の部分で、柏の選手たちを東京の選手たちが上回っていたように感じました。東京が自陣で攻め込まれてはいるけど、外されることも厭わずボールホルダーに対して複数人で囲みに行って奪いきる、というシーンが1つや2つではなかったのが象徴的だったかなと。

 こうして、仕掛ける守備で柏の見ごたえある攻撃と対峙しながら、奪った後のポジティブトランジションで上手くカウンターを仕掛けたり、しっかりと繋ぐところは繋いだりして(柏が待ちの守備をしてくれたのは助かった面も)攻めでも圧力をかけると20分、中盤でボールをもった平川から右サイドの11半谷へパスが送られると、半谷は8伊藤とのパス交換で更に前進。エリア内に入りタッチラインギリギリで中へグラウンダーのクロスを送ると、中で合わせたのは伊藤。右足で上手くコースを変えて流し込んだシュートがゴールマウスを破り、東京が先制しました。

 その後も柏がボールを保持し、あれやこれやな動かし方で崩そうと試み、何度か崩されそうなところまで運ばれるも東京守備陣の集中は切れず、最後のところではやらせず、柏のシュートを3本に抑えます。また、奪った後のカウンターも効果的で、10松岡は前半だけでシュート4本。プレシーズンの好調さが嘘のように鳴りを潜めていましたが、この日は久々に松岡らしい小気味いいプレーぶりだったと思います。そんな、やや東京が優勢のまま前半は終了しました。

 後半も、試合の趨勢は変わらず。しかし、守備での奮闘は裏返しとしてスタミナの消耗を呼び、前線でのプレスや両SHのプレスバックが少しずつ鈍くなっていきます。そこで佐藤監督は大宮戦でもブースターになっていた18鈴木(郁)を松岡に代えて投入し、チームにエネルギーを注入しにかかります。対する柏も、選手交代を織り交ぜつつ、しかしやることは変わらず、あくまでも自分たちのやり方でゴールを奪いにかかります。

 そして65分を過ぎたあたりでしょうか、私の中での試合の肝は「伊藤に疲労の色が見られ、少しずつ綻びが見え始めた東京の右サイドを中心に柏の攻撃陣が崩しきり、そこからゴールが奪えるか。はたまた鈴木がカウンターから単騎でゴールを決めきるか」に移ります。東京は徐々に押し込まれ方が悪くなり、全体的に守るラインが低くなり始めてきて、特に右サイドは伊藤がプレスバックする体力がこの時点でほぼエンプティ。こうなると27岡庭がどうしても外へ引きずり出され、CHも外へ気をもっていかれるのはやむを得ず。ただ、そうすると今度は中のスペースが空いてきて、いわゆるバイタルエリアを上手く使われる場面も出始め、後手の守備を強いられる流れが増えてきました。それでも5蓮川、2坂口を中心に最後のところはまだ踏ん張りが効いていて、左サイドは内田が尽きない運動量で献身的に守備を続けられて破綻をきたしていなかったことで、カウンターに移るカードはまだ手元に残されていました。

 その後、佐藤監督は71分に半谷→41久保、74分に伊藤→19吹野と立て続けに選手交代。久保と鈴木でカウンターを打ちつつ、右サイドのエネルギーを吹野で補う手を打ってきます。対する柏も引き続き左サイド(東京の右サイド)をメインターゲットとしつつ、バイタルエリアも効果的に使いつつ、真綿で首を絞め続けるかのごとく攻撃の手を緩めずに仕掛け続けます。その中で、鈴木がロングフィードから裏を上手く取り、2度決定機を迎えるも、シュートはネットを揺らせず。久保も狭いエリアでテクニックを見せながらシュートを放つも、枠には飛ばず。惜しいところまではいくも、決定的な2点を奪えません。

 そして、残り5分を切ったあたりで、柏が最後のアタック。ペナ角からの巻いたシュートがポストをかすめれば、中を完全に割られて飛び込まれたエリア内からのシュートはほんのわずか枠をはずれ、肝を冷やす場面連発。「ウノゼロしんどいよ!」とは思いながら「この緊張感たまらねぇよ!」と思う自分もいて、早く終わってほしいのかもっとこの試合を見ていたいのかよく分からない感じになってしまいましたが、試合はアディショナルタイム4分も凌ぎきった東京が1-0で勝利して幕を閉じました。

 

 

 第2節がどういう展開だったかはいろんな方の文字情報を追うしかありませんが、第3、4節の2試合は「守備の勝利」だったと感じています。

 大宮戦は、終わってみれば大味なスコアになり、ラスト15分は攻撃に酔いしれる展開でしたが、それを呼び込んだのは前半の果敢な前線の守備、そして後半の苦しい時間帯を凌いだ最終ラインの我慢だったと断言できます。柏戦もただ相手に合わせるのではなく、自分たちの攻撃の特徴がどこにあるのか、守備のベースがどこにあるのかを冷静に見極めた上でじゃあどう守るのか?を導き出し、それをやりきった勝利でした。

 裏を返せば、大宮、柏はともに「誰でもわかる特徴的な攻撃手段」を持っていたチームで、守備の対応は立てやすいとは言えば立てやすい相手でもありました。守備からゲームプランを立てられる相手ではありました。そう見れば、この先「オーソドックスなことを実直にやる」チームもあれば、「東京の攻撃が問われる」試合も出てくるでしょう。その時にチームは何を見せられるか?個人は何を出せるのか?といった興味がまた湧いてくるところですが、それは「守備から始まるエトセトラ」としてこの先のお楽しみに取っておきましょう。

 次なる相手は鹿島ユース。ここで一旦プレミアリーグは中断し、クラブユース選手権の関東予選が始まります。景気づけの一戦とすべく、「オーソドックスなことを実直にやる」チーム相手に何を見せられるのか、ぜひとも多くの方にご覧いただければ幸いです。5月7日、小平で15時30分からです!