続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

できないことはできない。ならば、できることをできる限り

走行距離 117.515km(6位)

スプリント数 180.3回(3位)

パス成功率 73.3%(11位)

ボール支配率 45.7%(14位)

攻撃回数 136.7回(2位)

シュート数 14.1回(4位)

シュート成功率 8.6%(18位)

被攻撃回数 134.4回(13位)

被シュート数 10.3本(2位)

セーブ率 42.1%(18位)

 上記は、J1第7節を終えた段階での各種スタッツ及びリーグ内順位です。このデータに、私が思う戦術面や結果といった主観を交えて今の東京を言い表すならば、

① ハイラインかつコンパクトな守備陣形を意識し、奏功している部分もあるが、全体的には取りどころが定まらずにボールを追わされていて、望まざる走行距離が増えている。

② ボール支配を高められず、パス成功率も上がっていかず、攻撃に厚みと迫力が生まれず。スプリント回数の大半は、カウンター対応を中心とする守備(後ろ向き)時に出さざるを得ない状況を減らせていない。

③ そうは言いながらも攻撃の回数自体は多く、シュートまで持ち込めてもいるが、まあ決まらない。一方、見た目の印象ほど攻められている回数は多くないが、シュートまで持ち込まれてしまい、それを止められない。

 という感じ。うん、普通に弱いです(苦笑)。そして、直近の3連敗は、まさにこのスタッツどおりの展開――そんなゲームをしているから、こういうスタッツになっているとも言えるが――になってしまっています。

 

 そうは言っても、柏戦の前半、そして川崎戦の70分までは、光明を見出せる内容を見せられていたとは思います。結果的に、柏戦はACLの影響もあってか①のパターンに陥って後半足がバタッと止まり、川崎戦は③そのものな展開となりましたが、そこは「プランBを持てない今のチームの限界かな」という印象があり、そこを主眼に何かしら文章を書こうと、実は考えていました。

 しかし、それを一気に覆すこととなったのが、一昨日の全北戦。おそらく、ただの1人も擁護できない、ただの1人もチームとしてのポジティブな面を挙げられない(個で言うと、草民は頑張った)という、1年に…どころか、数年に1回あるかないかの、極めて惨めな敗戦を喫しました。帰りながら妻に「東京を応援し始めて、ワースト3に入るくだらない敗戦だったよ」なんて言っちまいまして。ちなみに1位が川崎にホームで0-7と敗れた試合、2位が一昨日、3位がJ2降格の決まった京都戦@西京極です。

 話戻って、東京が最初にボールを保持して攻撃をしようとしたその瞬間に、おそらくほとんどの人は「あれ、全北全然出てこねぇ」と思ったはず。最終ラインへのプレスは放棄し、自陣に素早く4-1-4-1をセット。縦パスのコースを消しながらボールをサイドに出させて、そこに強く圧力をかける。困って東京がロングボールを入れてきても、最終ラインのエアバトルはお手の物。奪った後は手数をかけずにカウンター。ボールを失ったら、またすぐに自陣に。この試合、全北がやろうとしたのは、文字通りこれだけでした。

 試合後の会見で監督・選手ともに「頭からこれだけ引いてくるとは」的なコメントを発していました。まあ、それは分かります。でも、そうやってきたと認識した後も、ハーフタイムを挟んでも、選手交代を用いても、何もやることが変わっていなかった、やる方法を変えることができなかったことに関しては、やっぱり相当寂しいし、ナイーブだったし、何より頭が悪いと思うほかありませんでした。

 0-0で良かったのは、東京なんですよ。相手が出てこないなら、自陣でチンタラ回してお付き合いして構わなかったんですよ(それはそれで、ブーブー言う方もいるでしょうけど)。引いた相手を崩そうとした時、「相手陣でボールを回すこと」って前提条件はないわけで、後ろでパス回しをして、そうした時でも相手は出てこないのか、それとも多少はちょっかい出しに来るのかを探ろうとした選手はいたでしょうか?監督・コーチは、出ていけ!落ち着け!サイドに回せ!と指示するだけで、押し引きや駆け引きを選手たちに要求していたでしょうか?ファン・サポーターも、0-0の時はまだしも、0-1になって以降「負けてんだぞ!」とか「ホームだぞ!」とか「縦に入れなきゃボールは進まねぇんだよ!」とか、飛んで火にいる何とやらになっていなかったでしょうか?試合が終わった後だからそんなこと言えるんだ、と仰る方もいるでしょうけど、結果論上等ですよ。あまりに青すぎる思考を見せられて、あまりに拙いスキルを見せられて、あまりに聞き苦しい不満を聞かされて、さすがに黙ってはいられないところです。

 

 

 とまあ、実の無い話をしていても仕方ないので、じゃあ今は何がダメで、何ができていないからこうなのか?逆に、ここはこうやれるんじゃないのか?と私が勝手に思う部分をこのあとしたためていこうかと。

 まず…というか、最も改善した方がいいと思うのが「ハイラインだけどブロックディフェンス」な守り方。今季は開幕からとにかく最終ラインが高く、全体をコンパクトにしたいという意図は伝わってきます。しかし、横へのスライドは勤勉にやるけど、あまり相手の最終ラインに激しくプレスをかけるシーンは少なく、どちらかと言えばブロックディフェンスと表現していい守り方を採用していると見ています。

 ただ、現代サッカーにおけるハイラインはプレッシングとセットでやるからこそ有効だと私は思っていて、「ハイライン+ブロックディフェンス」という組み合わせは、上手く中盤でボールを引っかけられればいいものの、それができなくなると途端に裏のスペースを相手に差し出しているだけの守り方になってしまうと思っています。また、冒頭に書いた「スプリント回数は多いけど、その大半は守備時に…」という現象は、私はこの守り方によってもたらされている可能性が高いと考えています。

 加えて、秋元がリベロ型GKではなかったのも誤算の一つ。湘南時代の秋元がどうだったのかを湘南サポの方に伺いたいところですが、私の中の勝手な印象では「アグレッシブに飛び出せるタイプ」でした。しかし、今季つぶさに見ていると、まあゴールマウスを外さないんですよね。最終ラインの裏にボールを出されても、秋元自身の判断なのか、DFとの約束事なのか、チームからのオーダーなのか、ゴールマウスを外して飛び出すという選択を取ることが、かなり少ないんです。ハイラインの裏をカバーするのは「(主に)CBの俊足」か「GKのカバーエリアの広さ」の2つしかありませんが、CB陣が鈍足でもなければ俊足でもなく、GKのカバーエリアも狭く、ここを担保する術を持ち合わせていないのが現状だと言わざるを得ません。

 

 では、どうしたらよいのか?川崎戦で見せた「縦だけじゃなく横もコンパクト」というやり方――ボールサイドと逆の相手を捨てて密集を作り、そこに人をかけて奪い切るという狙いだったかと思いますが(こちらのエントリ(http://building-up.com/match-reports-japan-2/post-1006/)がこの点を取り上げているので、興味があればお読みください)――は、かなり興味深いものでした。これを徹底させるのも一つの手かと思いますが、私が考える解決策は…「4-1-4-1の採用」でしょうか。ちなみに、私が考える11人はこんな感じ。

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 画像貼って見直してから気付きましたが、水沼のところはバーンズでも。その場合、米本とハ・デソンは逆になりますかね(バーンズの守備負担をちょっとでも減らしたい考え)。

 どこから逆算して考えるかにもよりますが、「今すぐにパス成功率が劇的に改善され、ボール支配率も高まりはしない」という前提に立ったとき、まず考えるべきはカウンター対策。特に、SBも攻撃に絡んで最終ラインが4枚いないシーンを想定した時、アンカーがいることは結構な安心感につながると思うんです。また、ブロックを作る際にも、とかく持ち場を離れたがる(それが持ち味でもある)米本と、意外とガツガツ系なハ・デソン(昨季までなら橋本)が揃ってバイタルエリアを空けてしまうリスクを、守備的な選手をアンカーに起用して埋めさせるやり方は、マッシモ時代の2年間で積み上げてきた立派な遺産なわけで。誰をアンカーにするか問題は生じますが、今のなんちゃってブロックをやり続けるよりは、現状を打破できる可能性は高いと思っています。また、ラインは今より10m弱下げて、裏一発、縦一発のリスクを減らしながら、後方向へのスプリント回数を減らすことを目指すことで、体力の消耗を食い止めたいのも狙いの1つでしょうか。

 攻撃になった際には、どこでボールを回収するかにもよりますが、高い位置なら前田とボールと逆サイドのサイドハーフにスプリントをかましてもらってカウンター、低い位置なら最終ラインでまずボールを落ち着かせ、橋本がそのままの位置で受け捌いてもいいし、時計回りにポジションを変えてハ・デソンをCBの前にするでもいいし、最終ライン+アンカーの5枚でボールを回しつつ、前の5人が上手く相手のギャップを突きながらボールを受けて、フィニッシュまでいければベターかと。そんな攻撃の際にも、アンカーは絶対に攻撃に参加しないことがプレー原則。橋本の攻撃力を活かせないのは心苦しくもありますが、今はとにかく、なすすべなく失点するシーンだけは絶対に減らさないといけないので。

 そうしてなんとか70分までにリードを奪い、ラスト20分は消耗の激しい選手から下げるでも、カウンターを打つことに限れば有効的なローラインな4-4-2に変えるでも、とにかく先行逃げ切りを絶対的なプランとしてゲームに臨むことで、なんとか相手と伍した戦いができれば上々…といったところでしょうか。

 

 

 実際、日曜日に城福監督がどういう手を施してくるか、選手たちがどういう態度でプレーしてくれるか、正直に言うと期待3:不安7です。全北戦後の様々を見ていると、そう思わざるを得ません。しかし、危機的な状況がかえって結束を高め、ネガティブな状況がエネルギーを生み出すことだってあるわけで。ACLのビン・ズオン戦が必勝なのはもちろんのこと、ここからのJ1 4試合、甲府、福岡、湘南、鳥栖戦は、目下の順意表を眺めるとできれば1つも落としたくありません。そのために、今の自分たちは、何ができるのか?今の自分たちは、何を望んではいけないのか?その境目をチーム全員が共有し、できる中でのベストを見せてほしいと願うばかりです。