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続々々・メガネのつぶやき

主にFC東京、サッカー、当たらない競馬予想の3本立て。思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

できると思うからこそ-戦術面から見るこれまでとこれから-

 7連戦が終わりました。見ている側としては次々と試合を堪能できる喜びがありましたが、選手たちはまあ、大変にご苦労様でした。この先も厳しいスケジュールが待っていますがひとまず2週間、心身を癒し、体制を整え、また厳しい戦いに臨んでほしいと思います。代表が絡んで休みなしの森重はちょっと心配ですが。

 

 

 さて、今月発売された「footballisita」4月号。

www.footballista.jp

  戦術面に特化した号となっており、大変に読み応えがありましたが、その中で「戦術を描写する枠組みを見直すべき時が来ているのではないか」という記事がありました。

 私たちがテレビや新聞・雑誌等でよく目にするフォーメーション図。これは守備の局面における基本陣形です。しかし、今や攻撃の局面における選手の配置が守備陣形のそれと異なることが珍しくなくなり、単一的な表現ではもはや戦術面を正しく伝えられていないのではないか?というのが主眼。そして、footballistaは今回、

①守備時のフォーメーション

②守から攻への切り替え

③攻撃時のフォーメーション

④攻から守への切り替え

 以上4つの観点で描写する試みをしていました。①と③は文字通り陣形を図示し、②や④には切り替えのその瞬間(ポジティブトランジション、ネガティブトランジション)や攻撃時、守備時それぞれのプレー原則を端的に表現する。そのことで、チームが試合全体を通してどのような意図を持ってやろうとしているのかをより深く、より正確に伝えられるのではないか?というのが狙いだそうです。

 

 この方法で、Jリーグにおいて例としてあげやすいのは、やはり広島、浦和の両チームでしょう。ペトロヴィッチ監督に率いられ「4バックの相手に対してどうやったらイニシアチブを取れるのか?」という発想から生み出されたやり方は、もはやお馴染みのものとなりました。そんな、広島を上記の方法で表現するならば、

① 5-4-1

② ・佐藤(浅野)の動き出しを見て、いけるときは一発で

  ・それができない時は、森崎が最終ラインに下りて4バックを形成。

  ・CHの位置に残る青山を中心に5枚でビルドアップ

  ・WBは高い位置まで駆け上がり、幅を取る役割も担う

③ 4-1-5

④ ・素早くリトリートし、WBが最終ラインまで下がる

  ・自陣に相手を引き込み、常に数的有利を作りながら囲んでボールを奪う

 という表現方法になりますでしょうか。攻撃では、相手4バックに対して5枚で、守備では5+4で、攻守でフォーメーションを可変させることも含めて仔細に描写することで、このチームのやりたいことを見て取るわけです(私の表現で上手く伝わったかは不明)。

 翻って東京。城福監督に替わり、攻守両面で変化は当然に生まれました。そんな城福監督の狙い、意図はどこにあるのか?それを、今回のfootballista形式で自分なりに探ってみようというのが、今回の趣旨でございます。相変わらず長い前フリはここまでにして、以下いよいよ本題です。

 

 

 この7連戦において立ち上がりの連敗、特に大宮戦の敗北は、チームにいきなりのターニングポイントをもたらしました。「アクションサッカー」を合言葉に掲げ、ハイライン&プレッシングな守備と、ポゼッション主体の攻撃で挑むも、全北戦ではスタミナの消耗に伴うプレス強度の減少がそのまま主導権を手放すことにつながり、大宮戦では押し込みに押し込んだものの、相手のカウンター一発で撃沈。あまりに既視感のあるその光景は、ファンを疑心暗鬼にさせました。

 この連敗を受け、城福監督は選手とのすり合わせも経て、戦い方を替えました。「This Game」を勝つために、勝ち点3をもぎ取るために、今何をすべきかを考え、ある面でのアクションを一時封印し、マッシモイズムを想起させるやり方にシフトしました。そんな連戦後半の戦い方を、仙台、神戸戦を(流し見ですが)見直し、鹿島戦も踏まえて私なりに読み取って、先の方法で描写してみたのが以下のとおり。

① 守備時フォーメーション 4-4-2

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② 守から攻への切り替え

・裏抜けはほぼなく、ステイした2トップどちらか(特に足下)へのパスを狙い、収まったところで押し上げ。

・2トップにつけられない場合はCB+CHでビルドアップ。

・SBどちらかは必ず高い位置を取り、SHとのユニットを形成し、ビルドアップの終結点はそのユニットへのパス。

 

③攻撃時フォーメーション 4-4-2

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④ 攻から守への切り替え

 ・陣形を整えることが最優先。ボールホルダーに近い選手がプレスにいくこともあるが、即時奪回の意識は低い。

 ・ライン設定は高く、全体がかなりコンパクト。

 ・2トップは中(CHへ)のパスコースを切り、ボールを外に追い出してチームとしての奪いどころを作る。

  チームとしての狙いは、まず「いい守備をすること」にあります。マッシモが植えつけたポジションを崩さない守備を活かすべく、スライドしやすく2ラインも作りやすい中盤がフラットな4-4-2が守備時の基本。しかし、ライン設定はだいぶ高く、フィールドをコンパクトにする。そして、闇雲に前からプレスをかけるのではなく、前田・阿部の2トップが上手く中のパスコースを消してボールを外に回させ、狭いエリアに押し込んだ中で奪いどころ(あるいは相手が諦めるところ)を作ろうとする狙いが見て取れました。また、ネガティブトランジション時も即時奪回のプレスはほぼ見られず、まず陣形を整えることを強く意識しているように見えました。

 ビン・ズオン戦以降の5試合は4失点。狙いは一定の成果をもたらしたといってもいいでしょう。鹿島戦では鹿島の攻撃戦術(CHがCBの横に下りたり、CBより広く幅を取ってボールを受け、東京2トップの守備を無効化。また、ビルドアップ中にどちらかのSHが中に絞り、空いたスペースにSBが入り、東京の4-4ブロックのバランスを崩す)に対応できず、コンパクトさを崩され、ボールの取りどころを定められなかったことで狙いがはまりませんでしたが、それ以外の試合は概ね狙い通りだったと思います。

 1つ懸念する点があるとすれば、秋元のプレーエリアがだいぶ狭く、ラインの裏に抜けたボールに対して秋元とDFが「ん?どっちが処理すんの?」的なおぼつきがあること。ハイラインを確保する担保として、DFのスピードもしくはGKのカバーエリアの広さは欠かせませんが、現状はどちらも十分とは言えない状況。だからと言って、ラインを下げて守るのは得策と言えず。ならば、秋元にはもう少し高いレベルのプレーを期待したいところです。

 

 対する攻撃は、いまだ眠れる状況。守備から入っているとは言え、ビン・ズオン戦を除いた6試合で4点は、かなり寂しい数字です。

 その要因はいくつかあると思いますが、個人的に一番感じているのが「4-4-2のまま攻めている」点。今、世界的に見ると、4-4-2は「カウンターチームの持ちスタイル」となっていると感じます。例えば、アトレティコ・マドリー。2強に対抗するためにディエゴ・シメオネ監督はポゼッションを放棄し、自陣低い位置に4-4のブロックを形成。奪った後はわき目も振らず縦に早く攻め、攻撃が終了したらまたがっちり守る。この繰り返しで、ついに2強時代に終止符を打ちました。

 例えば、レスターシティ。こちらもクラシカルでオーソドックスな、けれどイタリア人指揮官仕込みの緻密さがまぶされた4-4-2で手堅く守り、奪った後はバーディ、マフレズ、岡崎ら最少人数で攻めきって、気がつけば首位の座をがっちりとキープ。夢物語が成就する可能性も日に日に高まり、世界に衝撃を与えて続けています。

 かたや、4-4-2でポゼッションをしているチームももちろん世界に多く存在するでしょう。ただ、今日の鹿島は完全に意図を持った可変スタイルでしたし、4-4-2で守り、4-4-2でポゼッションしながら「勝てる」チームが今いるかといわれると、正直私は思いつきません。それこそ、たまにメディアで見かける「4-4-2はポゼッションに向いていない」という考えに賛同する派です。

 賛同する理由の中で、最も大きいのが「3人の局面を作りづらい」点。上のフォーメーション図を頭に入れておきながら話を進めると、例えばCB+CHの4人でもって自陣でビルドアップを開始。その間に小川がポジションを上げ、その間に東にボールが入る。そこで東・小川2人の関係は簡単に成立しますが、3人目を加えるためには「CHどちらがポジションを上げる」か「2トップどちらかがポジションを下げる」必要があります。

 それって普通のことじゃない?と思われる方がいるかもしれませんが、現代の組織立った守備陣を相手にする際、CHにせよFWにせよ、自分のポジションから離れてボールサイドに顔を出す時間を要することは、ほぼイコールで相手に準備をさせる時間を与えてしまうこととなります。また、2トップどちらかが下りてきてしまうと、仮にサイドを崩せても中の人数が足りなくなる可能性が高くなる、あるいはCHがフォローした場合、そこでボールを失ってしまうと後ろのバランスは崩れている可能性が高く、カウンターによるダメージが大きくなりかねないというリスクも生じてくるため、意図的にはやりづらい側面がどうしても強くなると思っています。

 よく選手たちは「もっとおのおのが流動的なポジションを取って…」とコメントしますけど、そこに原則も約束事もないのなら動こうにも動きづらいですし、動いたところでただピッチがカオス状態になるだけ(江蘇戦の後半なんかは、まさにそんな感じ)。そうではなく、攻撃時は攻撃時の立ち位置を改めて与えて、そこから「意図的なカオス」を作るほうがよっぽど建設的ですし、見ていて納得感は生まれると思うんですよね。

 まあ、適切に書けているかは分からないので、私の思いを伝え切れているかは分かりません。また、この7連戦中に何かチャレンジすることはあまりに危険なので、ここまで五分の星で、そこまで大崩れすることなくやりきったことは評価すべきでしょう。ただ、これから2週間のインターバル中に、とにかく守備では有効だけど、攻撃では首尾よい人数をかけづらく、バランスが良いシステムがゆえに相手にもバランスの良さを与えてしまう4-4-2のままではなく、もう少し違う立ち位置を明確に取らせ、その中でポゼッションならポゼッション、サイド攻撃ならサイド攻撃、それらに付随する「原則」の一端を城福監督がチームに与え、選手たちがそれに基づいて動きながら創造性を発揮することができれば…とこの連戦中、そして鹿島戦終了のホイッスルを聞きながら考えていました。

 

 

 では、攻撃時にどうしていくのがよいのか?私なりに現状を踏まえつつ、考えてみました。 さ、ここからは得意の妄想です。

 まずは、この7連戦を乗り切った選手を中心に考えた場合の妄想その1。

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 先ほど、4-4-2では局面で3人目の関わりを作りづらいと書きました。また、思い起こすと仙台戦の2点目、神戸戦の決勝点では、3人目の関わりができたことによっていいクロスが上がり、見事なゴールが生まれたわけですが、そこにSH、SBに次ぐ3人目として関わったのが橋本。であるならば、CHの位置から飛び出させて…ではなく、攻撃時には立ち位置そのものをトップ下まで上げ、サイドの攻撃に絡んだり、2トップのどちらかがサイドに出た時に中に入ってターゲットになったり、クロスのこぼれを拾わせたりという仕事を任せるイメージの2-3-3-2が案1。ビルドアップが米本で大丈夫か、という心配はありますが、ネガティブトランジション時のリスクマネジメントを考えれば、この形がベターかなと。

 

 もう1つの案2は、怪我人が戻ってきて、彼が戻ってくる想定。

 

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 そう、ハ・デソンです。ハ・デソンの良さは、相手のプレッシャーが一番強いとも言えるセンターサークル付近で安定したプレー、正確なパスを供給できる点。それを活かすべく、奪った後に前は見るけれど、それがダメでビルドアップとなった際に、まず小川を高い位置まで上げ、4バックの残りの3枚がスライドして3バック化。その前にハ・デソンを構えさせ、4枚でビルドアップ。左SH(東)は中へ絞り、ハ・デソンの相棒(米本)は少し位置を上げ、インサイドハーフと言うか、ダブルトップ下と言うか、バイタルエリアで勝負できる位置を取らせる。その上で、サイド攻撃に走るなり、中の細かいパスワークに繋げるなり、チームが意図する攻めの原則を意識しながらやってもらえれば、もう少しプレーに楽しさが乗っかってくるかな?と想像します。

 

 

 繰り返しになりますがこの7連戦、私はネガティブに捉えていません。ACLの厳しさを再確認し、J1・J3との並行で数多くの選手を見ることができて、楽しいと感じる部分が大きいです。

 ただ、それもここまで。次からの連戦は、今回の7連戦以上に結果がシビアな反応を起こす局面となりますし、怪我人が癒えて起用面での幅はもっと広がりますし、日を追うごとに「おいおい、まだチームが仕上がらないのかよ」というプレッシャーとも戦わなければいけなくなります。そのために、次の一手を中団明けの名古屋戦やアウェイ江蘇戦で見せることができるのか?今は過度な期待も、過度な悲観もせずに待ちたいと思っています。