続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

身についた勝負強さ。足りなかった・・・

 2015年のJリーグは間もなくクライマックス。いまだに2ステージ制&チャンピオンシップシステムには納得も肯定もしていないわけですが、それでも繰り広げられている白熱した試合を見てしまうと、東京がこの場に出られていたら…という無念さがどうしても湧いてしまう今日この頃です。
 そんな中、先日公式にマッシモ・フィッカデンティ監督の退任が発表されました。鳥栖戦の翌日以降、はかったかのように複数のマスメディアから「今季限り」のニュースが聞こえてきて、直感は「フロント頼むわ〜」でしたが、後任を誰にするかも含め、この判断が正解だったのかどうかが分かるのは少なくとも1年先なわけで。今はこれが、前向きな決断だったと言える日が来るのを信じるしかないのかなと。
 さて、マッシモと過ごした2年間。その評価は様々に分かれるでしょうけど、この2年間で経験した様々な出来事が、FC東京というクラブにとっては大きな財産になったと思いますし、私自身は存分に楽しませもらいました。しかし、マスコミに踊ったのは「限界」という2文字。じゃあ、果たして今季がマッシモ(のやり方)の限界だったのか?そのことについて、自分なりに考えてみました。


 今季の東京は、19勝6分9敗、勝ち点63を奪いました。これは18チーム制となって以降最高の勝ち点で、昨季から15も積み増すことに成功したわけですが、その勝敗に関わる部分を掘り下げながら、いくつか思ったことを書いていきます。
 昨季は12勝12分10敗の勝ち点48。そこから負け数を1減らしたうえに、6つもの引き分けを勝ちに転じることができました。まず、そんな大幅に減った引き分け試合のシチュエーションの内訳を見てみると、以下のとおりになりました。

2014年
 (1) 0−0…4試合
 (2) 1−1…5試合
 (3) 2−2…2試合
 (4) 3−3以上…1試合


2015年
 (1) 0−0…4試合
 (2) 1−1…1試合
 (3) 2−2…1試合
 (4) 3−3以上…なし

 ゴールレスドローの試合数は昨季そのままに、「得点を奪った試合での引き分け数が減った(≒得点を奪うも勝ちきれなかった試合が減った)」ことが見て取れました。特に顕著なのが1−1の引き分けで、1−1に終わった試合数が昨季5→今季1と激減しているうえに、今季の1試合が先制されるも追いついた展開だったのに対し、昨季の5試合はすべて先制しながら追いつかれた展開。この点に関しては、

先制した試合の勝敗
 2014年…11勝5分け1敗
 2015年…17勝1敗

 というデータを被せることによって、より「今季勝負強さを増した」ことへの裏付けとすることができると思います。
 ちなみに今季、先制した試合の勝率が90%を超えたのは、J1が東京(勝率94.4%)、名古屋(勝率90.0%)、広島(94.7%)J2が大宮(勝率91.7%)の4チームだけ。また、先制した試合で1つも負けなかったチームはJ1が名古屋(9勝1分)と広島(18勝1分)、J2が讃岐(12勝4分)と福岡(22勝3分)、J3が町田(22勝3分)と相模原(15勝2分)、計6チームありました。


 話しを戻して、勝ち試合のシチュエーションはどうだったか?に目を移してみます。前述のとおり、先制した試合で勝負強さを見せた今季の東京。もはやパブリックイメージともなった「ウノゼロ」、つまり1−0での勝利数が、昨季2→今季8と4倍増しになったことからもそのことが窺えますが、もう少し目を広げて「何点差で勝利したのか?」を拾い上げてみると、

2014年
 (1) 1点差での勝利…4試合
 (2) 2点差での勝利…3試合
 (3) 3点差以上での勝利…5試合


2015年
 (1) 1点差での勝利…15試合
 (2) 2点差での勝利…3試合
 (3) 3点差以上での勝利…1試合

 となりました。ここで目立つのが、1点差での勝利数。ウノゼロの激増もありますが、ウノゼロ以外の1点差勝利も昨季2→今季7と約4倍増。(集計を取っていないため断言できませんが)「全勝利数に対する1点差勝利の割合(15÷19≒79%)」は、J1どころかJ2、J3まで目を広げてもトップなんじゃないかと思っていて(誰か集計してください)、最後の最後、一番大事なものこそ取り逃がしはしましたが、この結果からも「勝負強くなった」と言えるでしょう。


 ただ、得失点差で3位を逃しました。さらに、昨季から今季で勝利数が7も増えながら、シーズンの得失点差は、昨季+14から今季+12と減少してしまいました。勝てば最低でも得失点は1増えるわけで、普通に考えればこの事象は奇妙としか言いようがありません。しかし、この奇妙さの裏に、足りなかったものが見えるのではないか?と考え、あれやこれや調べてみました。その中で「リーグ戦全34試合で、それぞれ何得点奪ったのか?そして、そのシチュエーションでの得失点差はどうだったのか?」「勝利時のスコア別内訳」を、以下のとおり挙げてみます(上の囲みが何得点奪ったか&得失点差、下の囲みが勝利時のスコア内訳です)。

2014年
 (1) 無得点…11試合(4分7敗 −10(10失点))
 (2) 1得点…10試合(2勝5分2敗 −2(10得点12失点))
 (3) 2得点…6試合(4勝2分 +6(12得点6失点))
 (4) 3得点…3試合(3勝 +8(9得点1失点))
 (5) 4得点…4試合(3勝1分 +12(16得点4失点))


2015年
 (1) 無得点…8試合(4分4敗 −5(5失点))
 (2) 1得点…13試合(8勝1分4敗 +2(13得点11失点))
 (3) 2得点…7試合(6勝1分 +7(14得点7失点))
 (4) 3得点…6試合(5勝1敗 +8(18得点10失点))
 (5) 4得点…0試合

2014年
 (1) 1−0…2試合
 (2) 2−1…2試合
 (3) 2−0…2試合
 (4) 3−1…1試合
 (5) 3−0…2試合
 (6) 4−0…3試合
 (7) 勝利時の得失点差 +28(31得点3失点)

2015年
 (1) 1−0…8試合
 (2) 2−1…5試合
 (3) 3−2…2試合
 (4) 2−0…1試合
 (5) 3−1…2試合
 (6) 3−0…1試合
 (7) 4−0…0試合
 (8) 勝利時の得失点差 +24(35得点11失点)

 昨季、今季ともに、1得点以下に終わった試合は21試合、2得点以上奪った試合は13試合と、全く同じ試合数になりました。しかし、1点差勝利が激増したことも相まって、1得点以下に終わった試合における得失点差が−12から−7とプラスに転じた一方で、2得点以上奪った試合における得失点差は+26から+17と、プラス分を上回るマイナスに転じてしまい、勝利時の得失点差も、昨季から今季で4減ってしまいました。


 この結果から、私は今季東京がチャンピオンシップを逃した要因、そして、あと一歩足りなかった点について、「守備でスキを与えない力が足りなかった」と結論づけたい、そう考えます。
 昨季は「先制→中押し→相手が取り返しに来るところをあざ笑うダメ押し、そして無失点」という理想的な展開、スコアに言い換えれば3−0、4−0の試合が5つもありました。一方、今季は4−0がなくなり、3−0が僅かに1回にとどまりました(2nd第10節神戸戦)。これだけなら、「え、単純に攻撃力落ちたんじゃない?」と思われるかもしれませんが、前述のとおり2得点以上奪った試合数は昨季と変わらず、3得点以上に絞っても昨季6→今季5と、わずか1試合の減にとどまっていて、決して攻撃力が落ちたとは言い切れません(上がってもいないわけですが)。
 そんな、3得点以上奪って勝利した今季の試合を思い返すと、1st第10節仙台戦では、88分まで3−0と完勝ムードだったのに、ものの数分で2点失い、アディショナルタイムにはあわや同点…というシーンを作られました。1st第17節清水戦では先制するも一度追いつかれ、それでも80分までに3−1と突き放しながら、83分に石毛にゴラッソを浴びて1つ失点を重ねました。2nd第2節新潟戦では、やや不運な判定だったとはいえ、後半アディショナルタイムにPKを与え、余計な失点を食らいました。2nd第5節仙台戦では、前半3−0と1stに続き快勝ペースでしたが、後半にややルーズな形で1つゴールを許しました。また、敗れた試合の中でも、浦和戦2試合で8失点。昨季も5失点を喫しましたが、今季はそれよりもさらに3度、相手に歓喜を与える屈辱を味わいましたし、今季は勝ち点1すらも奪うことができずに終わりました。
 確かに、ウノゼロは増えました。1点差のしびれる勝負を、次々ものにしてきました。しかし、複数得点を奪い、試合をコントロールできる立場にありながら、少しのスキを相手に見せてしまい、そのスキを突かれて失点をいくつか重ねてきたことが、最後の最後に順位に響いたと見るのは間違いでしょうか?また、(都合よく拾い上げて結果論で何言ってんだよ、という批判は甘んじて受けますが)3得点以上挙げた試合で失った6失点、そして、浦和戦で昨季よりさらに積み増された3失点、計9失点がなければ、得失点差でG大阪を上回り、チャンピオンシップに出場することができていたわけです。まあ、それはさすがに言いすぎかもしれませんが、少なくとも昨季、今季とも失点数が33で変わらなかったこと、また、昨季に引き続いてリーグ最少失点チームとなれなかったことについては、守備をベースに熟成を図ってきたチームとしては、成功だったと言えない気もしています。


 だから「マッシモのサッカーは限界だ、と言いたいのか?」と問われる方がいるかもしれませんが、いやいや、まったく逆です。守備の局面、特に「リードしている時のバランス」についてはまだまだ成長の余地があって、年間失点20点台、もっと言えば、08年に大分が記録した年間最少失点24すら狙うことができるとすら思っていますから。
 そのために、今季後半のように最終ライン〜ボランチで少しボールを保持する、米本、高橋、橋本を上回る攻撃センスを持った選手をセンターハーフに迎え入れる、前線に強烈な(カウンター)ストライカーを獲得し、前田と組ませて相手に脅威を与えるといった攻撃面の上積みを狙うことにより、守備の時間を減らす方向から失点減を目指す手があったでしょう。また、(ある選手から堂々と指摘されてしまった)サイドからのクロスに対する守り方や、リードして4−4−2にした後のやり方とその徹底など、より守備面に特化して改善を図る手もあったでしょう。…というのも、今になっては妄想の域を脱しないものになってしまったわけで、そういう意味でまだまだ先があると思っていますし、少なくともあと1年、マッシモ体制でのFC東京を見たかったのが正直なところです。
 と、今更何かを嘆いても仕方ないわけで。今は、是非ともマッシモに「JAPANESE DOUAGE」を体験して帰っていただきたいので、選手たちは死ぬ気で天皇杯取ってください!と念を送るばかり。そして、新指揮官が誰になるかは分かりませんが、その指揮官に率いられ、今までとは違った種類の悔しさを味わったであろう選手たちの「リバウンドメンタリティー」に期待しながら、来季の開幕を迎えたいと思います。最後に…


Caro Massimo. Grazie un mazzo! E, fino al giorno ci incontreremo di nuovo!
(協力:Google翻訳