続々々・メガネのつぶやき

主にFC東京、サッカー、当たらない競馬予想の3本立て。思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

変わったのか?変わらないのか?

 ワールドカップの中断期間が明けて、J1の各チームは5試合(ACL組は6試合)を戦い終えました。リスタートダッシュを決めたチーム、決められなかったチーム、継続を選んだチーム、変化を求めたチーム、さまざま見られているところです。
 さて、東京はこの中断期間明け5試合を3勝2分けと負けなしで終え、順位も12位から7位まで上げました。スコア及び試合内容からは「守備組織がより強固になり、得点も奪えるようになってきた」と見ることができますが、果たして中断期間前と何か変わった点があるのか?あるいは、変わっていないのか?それを探るために、当ブログで何度か使わせてもらっているフットボールラボのデータを基に、自分なりに掘ってみようかと思います。なお、特に断りがない限り、数字はすべて「1試合平均」となっております。


 通常こういう時は攻撃のデータからスタートしますが、今回はあえて守備のデータから読んでみます(深い意味はありません)。フットボールラボから拾える守備に関する数字を、「ここまで全19試合の平均」「中断期間前14試合の平均」「中断期間後5試合の平均」と3つに分けて拾ってみたいと思います。

守備データ

項目 トータル 中断前 中断後
被攻撃回数 129.4回 130.6回 126.0回
被シュート数 14.4本 13.0本 18.2本
被チャンス構築率 11.1% 10.0% 14.4%
被枠内シュート数 3.8本 3.6本 4.2本
被枠内シュート率 26.3% 27.5% 22.9%
失点数 0.8 1.0 0.2
被決定率 5.5% 7.7% 1.0%
被パス本数 525.7本 526.9本 522.6本
被ドリブル回数 13.4回 12.6回 15.6回
被クロス本数 16.9本 15.8本 20.0本
コーナーキック 5.2本 5.1本 5.4本
タックル数 22.5回 22.6回 22.2回
インターセプト 4.1回 4.3回 3.6回
クリア数 21.1回 20.6回 22.4回
オフサイド奪取数 2.3回 2.9回 0.6回
被30m進入回数 47.9回 43.7回 59.6回
(注1:被チャンス構築率=被攻撃回数÷被シュート数)
(注2:中断前+中断後の数字が必ずしも全試合平均とはならない(小数点第2位を四捨五入しているため))


 ちなみに、リーグ全体の順位が出るものについても触れると、被攻撃回数8位、被シュート数14位、被チャンス構築率13位とリーグ中位以下。しかし、失点数は3位、被決定率は2位と途端にリーグ上位に躍り出ます。
 今回のデータが示すものはいくつかあると思いますが、今回は2点をピックアップ。1点目は「守備組織が良くなっている=攻撃される回数が減る」ことではないということ。なんとなく「守備がいい=攻撃されていない」と勘違いしてしまいがちで、もちろんそういう数字が出るチームもあるとは思います。ただ、今季ここまでの東京に関しては「相手に攻撃する機会は与えているものの、『守る時間帯もあること』を前提としているため、チームの意思統一がブレずに失点を減らせている」と言えます。それは、守備は「させられる」ものでなく「する」ものであり、かつ、「自分たちの攻撃のスタイルがこうであるからこう守備をする」という意識が徐々に浸透し、より明確化されたことによって、攻められはするけど慌てずに守れている場面が増えてきた点が1つ。被シュート数は13.0本→18.2本と大きく増えているのに、被枠内シュート数は3.6本→4.2本と微増に留めており、DF−MFラインのスライドが遅れない、あるいはチャレンジ&カバーが的確に行われるようになったことから、仮にシュートを打たれても際の部分で跳ね返せる、あるいはコースの限定が上手くいき、権田の好セーブとリンクするといった要因で失点数がさらに減ってきている点が1つ。この2点が理由として挙げられると思います。なんたって、中断期間後5試合の枠内シュート総数が21本と決して少なくない中、失点わずか1ですからね。
 もう1つが「ハイライン・ハイプレッシングとの決別」。フットボールラボではいわゆる「タックルライン(DF、MF、FWの各ポジションの選手が、自陣のゴールラインから測ってどの高さでボールを奪えているかを表すデータ)」を窺い知ることはできないため見た目の印象も含めますが、

1:被シュート数、被ドリブル回数、被クロス回数、被30m進入回数(自陣のゴールラインから測って30m以内へボールを運ばれた回数)がいずれも中断期間前より増えている。
2:タックル数6位、インターセプト数3位と依然リーグ上位に位置し、クリア数が約3回増え、オフサイド奪取数が約1/5に激減している。
3:一発でサイドチェンジされるシーンが減ってきている。
4:DF、MF陣から口々に「前線の3枚が上手くコースを限定してくれて…」や「前線の3人が守備を頑張ってくれているので…」と発せられる。

 という4つの事象から、前線からのチェックは「ハイプレッシングで取りに行くため」ではなく、「その次でボールを奪うための布石である」ことが浸透してきた点(もちろん、前で取り切れてショートカウンターに繋がることにこしたことはない)。その布石の打ち方に向上が見られ、全員がしっかりと連動して上手くワンサイド、もしくはクローズな局面にボールを追い込むことができている点。この2点を遂行できている結果、あえてボールを自陣に「引き込んでいる」形となっているために、深いところまでボールは運ばれており、そこからもう1つ仕掛けられる場面こそありますが、数的不利で守る場面はほとんどなく、的確にサンドしたり、2人目、3人目でボールを奪ったりすることはでき始めていて、クロスを上げられても中がしっかりと跳ね返せている。そう読み取ることができるのではないでしょうか。
 「最終ラインの高さ」については、様々な意見があります。恐らく、東京ファンの中でも「もっと前から行ってほしいなぁ」とか、「ちょっと下がりすぎじゃないの?」と思われている方は少なくないでしょう。しかし、ただ単純に「高い方がいい」「低い方がいい」という議論をするのはすでに時代遅れだと私は思っていて、上でも少し書いたとおり「どういう形で主に攻撃したいから」という前提を踏まえた上でなければ、その議論は意味を為さなくなってきているとも感じています。その点で言えば、現状東京の攻撃は「カウンター」が多く、しかもカウンターの種類も「ロングカウンター」が多く割合を占める(はず)。となれば、全体のラインが多少低くなることが無条件に「劣勢」を表すものではなくなりますし、むしろ「蟻地獄」におびき寄せて、引きずりこんでやってるんだよ!ぐらいに構えられるようになってきたと思えば、きっと今の東京が見せているサッカーをより楽しく見ることができると思います。
 もちろん、重心が後ろに行きすぎることは避けなければいけないところでもあり、直近のC大阪戦は攻撃にエネルギーを注ぎきれないままゴールレスドローに終わりました(C大阪の守備意識にやられた部分もありますが)。この押し引きのバランスが何より難しくて、これからも向上させていく必要があるとは思います。理想的なのは、被30m進入回数を徐々に減らし、付随して被シュート数、被クロス回数を減らすことかなぁと。さらにタックル数、インターセプト数が1試合当たり2.0回前後増えればベストでしょうか。


 続いて、攻撃のデータ。こちらも「ここまで全19試合の平均」「中断期間前14試合の平均」「中断期間後5試合の平均」と3つに分けて拾ってみたい…ところでしたが、実は第12節大宮戦、第13節徳島戦の2試合における各種スタッツは、軒並み統計学で言うところの「外れ値」とすることができるぐらいの数字となり、平均値を結構ズラしてしまうものになっていました。例えばシュート数で言うと、大宮・徳島戦を除くここまでの平均が13.9本だけど、大宮・徳島戦を含んでしまうと15.1本にまで跳ね上がってしまう、といった具合。もちろん、年に数回は「普段やりたいこと」とは違う展開になる試合があり、それもサッカーを見る上での楽しみ、醍醐味ではありますが、今回はある程度偏りをなくした数字を取りたいと思ったので、大宮・徳島戦の数字はそれぞれ除外して考えます(=中断期間前は12試合の平均となる)。ちなみに、大宮・徳島戦の守備の数字は「外れ値」とまでは言えないものだったので含めております。紛らわしくて申し訳ございませんが、悪しからず。


攻撃データ

項目 トータル 中断前 中断後
攻撃回数 127.4回 129.5回 122.4回
シュート数 14.0本 14.7本 12.4本
チャンス構築率 11.0% 11.3% 10.4%
枠内シュート数 4.1本 4.2本 4.0本
枠内シュート率 29.9% 28.7% 32.9%
ゴール数 1.4 1.2 1.8
決定率 9.6% 8.3% 12.5%
パス本数 373.9本 380.1本 359.2本
パス成功率 70.2% 70.2% 70.1%
ドリブル回数 13.9回 15.2回 11.0回
ドリブル成功率 42.9% 42.3% 44.3%
クロス本数 15.3本 17.1本 11.0本
クロス成功率 25.2% 21.8% 33.0%
コーナーキック 5.4回 6.0回 3.8回
30m進入回数 41.2回 41.5回 40.4回
ボール支配率 43.5% 43.4% 43.8%
(注:チャンス構築率=攻撃回数÷シュート数)
(注2:中断前+中断後の数字が必ずしも全試合平均とはならない(小数点第2位を四捨五入しているため))


 こちらもリーグ全体の順位が出るものについて触れると(ただし、上の表では除いた大宮・徳島戦の数字も含めた形での順位なので、あくまで参考程度に!)、攻撃回数12位、30m進入回数8位、シュート数3位、チャンス構築率4位、ゴール数11位、成功率12位。パス本数16位、ボール支配率17位、ドリブル回数4位、クロス本数3位、コーナーキック数2位となっております。
実は、3月の終わりにも当ブログでデータを拾って考察したんですが、大まかに言えばその時(第4節終了時)と順位は変わっていません。むしろ、より先鋭化したというか、傾向が如実に出るようになってきたと言えるのではないでしょうか。例えば、第4節終了時も攻撃回数12位、30m進入回数6位、シュート数3位、チャンス構築率3位で今とほぼ変わりありません。しかし、中断期間の前後で比較すると、ただでさえ少なくなったパス本数、ボール支配率がさらに減り(パス本数は12位から17位、支配率は14位から16位とランクダウン)、ドリブル回数、クロス本数、コーナーキック数も軒並み数字が減っています。ただ、普通なら首を傾げたくなる、大丈夫かいな?と思ってしまいがちですが、前述した守備のデータ及び考察と照らし合わせると実は何らおかしな変化ではなく、くどいようですが「引き込んで守り、少ないながら威力のある攻撃(主にカウンター)で仕留める」形がより先鋭化してきた、そこの部分の意思統一が図られてきていると見れば、十分に納得のいく数字になっていると、私は思います。
 そうは言いながらも、攻撃に関する数字がこれだけ幅広く減れば(落ちれば)ゴール数は増えそうにもないのでは?と考えがち。しかし、ゴール数は中断期間前の1.2から中断期間後は1.8に増加しています。この点については、もちろん相手があることなので一概にこれが答えだ!とは言い切れるものはありませんが、1つ増加に寄与したと推測できる材料が「率の向上」かなと。枠内シュート数は4.2→4.0と微減していますが、枠内シュート率はむしろ28.7%→32.9%と上がっていて、決定率も約4%のアップを見せています。また、シュートに持ち込む前段となる各プレー(パス、ドリブル、クロス)も、数は減ったものの成功率が上がっていて、特にクロス成功率の大幅増(21.8%→33.3%)は目を見張るものがあります。実際、ここまでクロスから生まれた6ゴールのうち、半数の3ゴールは中断期間後に記録されたもので(新潟戦の河野→武藤、仙台戦の太田→平山、清水戦の太田→武藤)、清水戦の1点目もクロス崩れから始まったゴールと結果にも結び付いています。今、攻撃のメインは「(ロング)カウンター」ですが、今後それだけでやっていくのは苦しい、という場面も出てくるでしょう。そうなった際、あるいは遅攻になった際に、より「サイドアタック」が洗練されて今以上の武器となれば、ゴールに迫る回数はさらに増えてくるはず。ここはマッシモの指導、選手の頑張りに期待したいところです。


 さて、攻撃に関してもう1つ。上でリンクを貼った3月末のエントリでは、パスシチュエーション別の数字も掘り下げてみました。当時の結論としては、

・(ポポヴィッチ時代と比較して)パス成功率が減少しているのはショートパスの割合が減り、ミドル・ロングパスが増えたためであるが、少ない攻撃回数でチャンスを多く得るために、いけると判断したときはミドル、ロングパス1本でダイレクトに相手ゴールに迫る手法を取る以上、「パス精度の低下」は必要悪というか、代償として受け入れるべき。
・それでも、ショートパスの精度(成功率)はもう少し上げたい。

 の2つを挙げましたが、さて今はどんな状況になっているのか?そちらの数字も拾ってみたいと思います。


距離別パスデータ
 


 まず距離別では、前回(第4節終了時)と比較してショートパス、ロングパスの割合が増え、ミドルパスの割合が減っています。この数字からは読み取れるのは「長短ハッキリ、メリハリをつけたパスを出せている」こと。先日発売されたフットボールサミットのFC東京特集号内のインタビューで、森重がこのようなことを語っていました。

(前略)
中盤が前を向けて、ウラを狙える、ゴールを狙える準備をするために、ビルドアップがあると自分は思っているので。
(中略)
ゴールを狙うための、さきほどおっしゃった“準備”を整えるためにビルドアップをしていると思うので。そこに持っていくまでに何本パスを繋がなければいけないという決まりもありませんし。一本ボランチにつけて、その時ボランチがバッと前を向くことができて、フォワードが動き出してそこに(ラストパスを)出せる準備ができたら、それはそれでビルドアップ完了です。それができないなら、上手く作り直すという手段があると思います。

 距離別のパスデータはこれとまさにリンクする結果になっていて、いけると思えば迷わず最終ラインからロングパスで狙う。それがダメなら闇雲に前に放り込まず、ショートパスで組み立てながら前を狙う、という長短のメリハリをチーム全体としてつけられるようになったことで、例えば「手詰まりのパス」であったり、「なんとなくのミドルパス」が減っていると言えるのではないでしょうか。また、ショートパスの成功率がほんのわずかではありますが増えているのも好印象。シーズンが終わる頃に80%…と言わないまでも、78%あたりになっていたらより良い攻撃に繋がっている気もします。続いてエリア別のデータ。


エリア別パスデータ
 


ご覧のとおり、目に見えて減っているのが3rdエリアでのパス本数。3rdエリアがどこなのかを図示すると、


 
 (注:攻撃方向は下から上へ)


 上図の色付き部分。つまり、通常の攻めであれば中盤の3人、特にインサイドハーフがプレーしているエリアに当たります。このエリアの本数が減ったということは、

1:中盤(特にインサイドハーフを)や、やや高めの位置を取ったサイドバックを経由せずに前にボールが運ばれる回数が増えた。
2:インサイドハーフサイドバックがこのエリアより前(=相手陣)で受けて、そこからパスを出すようなケースが増えた。
3:単純に、このエリア内でのパス交換が減った。

 という3点が理由として考えられます。1については距離別のデータと関連付けて「最終ラインからのロングパスが増えた」という点は言えるでしょう、3はこの後詳しく触れます。そして何より2。私の知人がかなり早くから「インサイドハーフが下りてこなくなって、奥で受けられるようになれば…」ということを指摘していました。中断期間前の試合、ひどいときはサイドバックが高い位置を取っているのにインサイドハーフが2枚ともアンカーと横並び、あるいは最終ラインまで下りてパス回しに参加してしまうことで後ろがだいぶ重たくなり、縦パスを出してもフォローが追いつかないというシーンが多々見られました。
 しかし、中断期間後はインサイドハーフが2枚とも下りてくるというシーンはほぼなくなり、特に米本は常に前を見ていると言っていいほど前へパスを出す、ドリブルで持ち出す、あるいは最終ラインや高橋から前線にパスが出された時にフォローアップを絶えず行う動きが目立つようになりました。それにより攻撃に厚みが生まれていることは間違いありませんし、C大阪戦ではあわやのミドルシュートを見せるなど、デビュー当時に漂わせていたアタッキングマインドがまた甦りつつあるのはうれしい限りです。それを引き出したのが羽生なのだとすれば、東や三田は見習うべき点が多いのかなとも感じます。同時に、サイドバックも徐々にですが高い位置を取れるようになってきていて、前線でボールを収めている間に相手陣に入って受ける、あるいは自身がグッと高い位置を取ったところを見逃さずにセンターバックや高橋から眺めのボールが入るようになってきている点も、3rdエリアでのパス本数減少にいい意味で影響を及ぼしていると言っていいでしょう。最後に方向別のデータ。


方向別パスデータ
 


 ものの見事に、横パスだけが減っています。これは、エリア別のところで挙げた「3rdエリア内でのパスが減った」ことと関連付けられると思います。改めてエリア別の表を見ていただくと、3rdエリアの次にパス本数が減っているのが2ndエリア。この2nd+3rdエリアは、文字で表すと「自陣のペナルティエリアラインより前、ハーフウェーラインより後ろ」、要するに「自陣」と言えます。この点と方向別のデータを組み合わせれば、「自陣での横パスが減っている」と捉えることができるのではないでしょうか。また、5thエリア(相手のバイタルエリアも含まれるエリア)でのパス成功率が64.6%から71.3%にアップしており、仕掛けの部分でも精度が上がってきていることが得点増加に寄与しているとも読み取れます。いずれにせよ、より積極的に前(縦)を見ることがチームの狙いとしてハッキリしてきたことにより不要な横パスが減っていることは間違いないでしょう。
 と、ここまで攻撃についていろいろ触れてきましたが、ちょっととっ散らかった気がするので、ここまでを一言でまとめますと、

単純なパスの本数や成功率に捉われず、「いい守備からいい攻撃」をするためにどのプレーが適切なのかを個々が判断しながらやれるようになってきた。その実は(パスの距離、エリア、方向別の数字が相互に関連しあって)メリハリの利いた長短のパスで常に前を狙いながら、ピンポイントでドリブルも挟みつつ、サイド(クロス)からの攻撃も織り交ぜてゴールを狙っていくものとなっている。

 という風になるでしょうか。


 本日の総まとめ。3月末のエントリの締めに、こんなことを書きました。

冒頭、「理想と現実」について少し書きました。そして、これまでこの言葉は、「自チームの指揮官が持つ理想」と「その道のりで試行錯誤する自チームの現実」と言い換えることが出来たと思います。ただ、今季の東京にこの言葉を当てはめようとした時、単なる指揮官の理想と自チームの現実という枠に収まらないのではないか?と思うようになりました。では、どう言い換えるのか?と問われれば、私は「守備の文化が半ば当たり前として定着しているカルチョの国のサッカー人が持つ理想」と「現在の日本サッカー界が持つ、パス&ムーブやハイライン・ハイプレッシングを崇める現実」と答えます。つまりは、「文化と文化」のぶつかり合い、せめぎ合いをFC東京という1つのクラブの中でやってやろうじゃないかという、今までとは趣の違う狭間に揺られるシーズンになると覚悟しました。

 額面通り時間はかかりましたが、フィッカデンティ監督の理想は少しずつ、確実に選手に落とし込まれてきています。パス&ムーブやハイライン・ハイプレッシングを否定するのではなく、「違うやり方もあるんだよ」と教え諭す指揮官に応えようとしてきた選手たちの奮闘が、徐々に結果となって現れつつあります。その意味では、(ややこしいですけど)理想的な「理想と現実の折り合い」をここまでは見せているのではないでしょうか。
 また、本エントリの冒頭に「果たして中断期間前と何か変わった点があるのか?あるいは、変わっていないのか?」と自問しました。それに自答するならば、「変わらないために、変わろうとしている」(某映画のセリフにインスパイアされた)。指揮官の理想は、何ら揺らぎを見せていません。目的は勝つこと、ここは一片の曇りもありません。そんな理想に向かおうとしている現実において、選手個々やチーム全体の意識・狙い・思いといった「主観」が上手く絡みながら、数字・データという「客観」はシーズン当初より、中断期間前より確実に、ある一定の方向に向かい始めています。行きつく先がどこなのか?それが明らかになるのはもう少し先の話になるかと思いますが、進んでいる道が間違っていないことは胸を張って確実に言えます。
 8月の残り試合は、鳥栖、浦和、鹿島。間に天皇杯・松本戦も挟まり、非常にタフな4試合になるはずです。しかし、私は過不足のない期待しか抱いていません。8月が終わる頃、必ずさらに上へ位置していると信じています。もしそれが叶わなかった場合、私の見立てが甘かったということで。