続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

久々の採点業務

 3月1日に開幕してからここまで、リーグ戦8試合、ナビスコカップ3試合、計11試合の公式戦が行われました。星取り的にはなかなかに厳しいスタートとなってしまいましたが、内容は1試合ごとに確かな向上が見られ、去る土曜日のC大阪戦は、まだ序盤戦ながら1つ大きなポイントとなる快勝だったと思います。
 さて、昨年拙ブログで書いていて、ごくごく一部の方からありがたいご評価をいただいていた「採点」。昨季途中から忙しさにかまけて強制終了しており、今季ここまでもまったくやっておりませんでしたが、C大阪戦の快勝に浮かれたまま、ここまで11試合分を十把一絡げにババッとまとめた形の採点&寸評をぶちまけてみようかと思います。大多数の皆様と同じ評価か、「へぇ〜」と思っていただけるか、はたまた「なんじゃそりゃ(苦笑)」と思われるか。それは、蓋を開けてからのお楽しみということで。
 以下、背番号順に書いていきます。なお、新加入のカク・ヒジュは除いてあります。正直、カクのことはまったくと言っていいほど知りませんで、プロフィールを見ても「エドゥーとチームメイトだった時期があったのね」ぐらいなもので。ただ、ミステルのことだからいきなりGW連戦のどこかでスタメン!ってのも…あると思います!


選手名 採点 寸評
塩田 仁史 6.5  ナビスコカップでの正GK。3試合とも「最終ラインが破られての1対1」が2度3度ありましたが、仙台戦ではウイルソンを、神戸戦ではペドロ・ジュニオールを封殺。闇雲に飛び出さず、相手の動きを最後まで見極めて弾くスタイルが完全に板につき、これまでの特徴だったコーチングやキャプテンシーも健在で、トータルでの失点もわずか1。グループ首位の立役者であると同時に、あまりにも頼もしすぎるセカンドGKとしての存在感は目を見張るものがある。ヘアースタイルも、なかなかにダンディ。
徳永 悠平 6.0  隣の選手(=右CB。加賀と吉本)が試合ごとに入れ替わる中でもコンビネーションの乱れなく、黙々と自分の仕事に徹する姿はまさにいぶし銀。自慢のフィジカルも健在で、相手のサイドアタッカー陣をなぎ倒す姿はなかなかに痛快。一方で、攻撃面での貢献度が少ないのは多少気にかかるが、太田とのバランスがきちんと取れている証だと思えば問題なく、組織の熟成とともに回数は確実に増えてくるだろう。内田(シャルケ)に万が一があり、その他の右SBも一長一短で…という嫌いがある現状、サプライズ選出ってのはどうでしょう、ザックさん。
森重 真人 6.0  昨季と比べれば「目に見えて凄い!」というインパクトこそ薄れたが、それは森重自身の成長と安定、そして見る側の慣れによる「及第点ラインの上昇」によるところが大きく、チームの中心軸としてなくてはならない存在であることは一目瞭然。また、(善し悪しは別にして)主審に対して大きな動作を見せる回数が格段に増えたが、私は自覚の表れだと好意的に捉えたい。警告数の多さは、以前書いたとおり全体の守備組織のしわ寄せが一挙に来たせいであり、組織が整ってきた今後は確実に減るはず。今季は、「ポテンシャルの高い選手」からもう一段上がる姿を見てみたい。
高橋 秀人 5.5  ここまで11試合をトータルで見ればこの採点になるが、直近の3試合に限れば6.5をつけていいほど一気に、急激に何かを掴んだ印象。自身は前線3枚の追い方の変化や、インサイドハーフの献身さに感謝と要因を求めるコメントも残しているが、それのみでここまで変身できるはずがなく、外からは見えないところでしっかりと積み重ねられていたのだと考えるほかない。それでも、あくまでも私のイメージするレジスタ像とダブらせればまだ「動きすぎ」な部分はあるが、C大阪戦のハイパフォーマンスを見せられると、それも込みでの「自己流」を突き詰めていくのも悪くないと納得させられた。
加賀 健一 5.5  カバーリングのスピードとタイミングは改めて十分に信頼の置ける部分で、自身が出来ることを過不足なく出せている印象はある。しかし、ここまでのチーム戦術を見ると、昨季までのようにボランチの片方がCBの間に落ちて…という近年のベタなビルドアップはほぼなくなり、困ったら横や後ろに戻せば…という選択肢を取りづらくなっている現状の中で、「やれることをやる」ことに専念してポジションを争うのか、吉本らとの差別化を図るために新たなチャレンジするのか。密かに注目している。
太田 宏介 6.0  4−3−3時は前線と上手く絡めずに不完全燃焼が続いたが、4−3−1−2に変わり、エドゥーや平山が明確なターゲットとして常時スタメンに(少なくとも片方は)いるようになってからは激変。攻め上がりのタイミングが抜群に良くなり、ナビスコ鹿島戦ではゴールをマーク。また、インサイドハーフや2トップの1角とのコンビも日々良くなっており、C大阪戦では見事なアシストもマークした。守備面ではインサイドハーフとのマークの受け渡しがやや不安定で、結果的に距離を詰めきれずクロスを上げられるというシーンが散見されるが、(後述する)東の変化とともに減らせる部分だと見ている。あとは、セットプレー時のボール精度の向上(復活?)があれば。
米本 拓司 5.5  ケガでの出遅れは想定外で、川崎戦や清水戦前半での不甲斐ないパフォーマンスは今でも脳裏から消えない分、採点は辛く映るかもしれないが、いち早く監督の求めるインサイドハーフ像を掴みつつあるのも事実。自身は「前を向いて出てくる選手を捕まる難しさ」を語っていたが、持ち味の粘り腰や二度追いでキッチリボールを奪えるシーンは確実に増えており、バイタルエリア付近のバランサーとしても機能する場面も見られるようになった。また、攻撃面でもターンの鋭さ、縦パスを入れる意識などで成長が見られ、件の清水戦では自身のモヤモヤを吹き飛ばすゴールもゲット。相手にとっては嫌な、味方にとってはありがたい存在感がようやく見えてきた。
三田 啓貴 5.5  米本の怪我を受けて、開幕スタメンの座をモノにしたばかりか今季チーム最初の得点も挙げ、ナビスコ鹿島戦では素晴らしいヘッドも決めて好スタートを切った。一方で、川崎戦で失点に繋がる判断ミスがあったり、いいところでボールを受けながらトラップが決まらず…というシーンが見られたりするなど、目立つマイナス点もあった。運動量、献身さといった「倉又イズム」が活きるシーンはあり、それがチームの助けになっている面もあるが、それだけで生きていくのは難しく、安定感や継続性を見せられるかが今後の課題か。
渡邉 千真 5.0  多くの選手が確かな成長を見せている中、大きく取り残された感が否めないのが渡邉。3トップのウイングでハマらず、本来得意とも言える2トップの1角としても窮屈なプレーに終始し、昨季見せた輝きはどこかに置き忘れてしまったかのよう。何がそこまで悪くさせているのかは掴みきれていないが、何で出番を得るかに目線を移せば、私は「裏抜け」なのかなと。しかも、武藤のようにサイドが主戦場ではなく、CBの間を抜ける、あるいはCBとSBの間を斜めに切り裂くようなランニングが必要だと見ている。
梶山 陽平  ただいま、絶賛リハビリ中。ぼちぼちグラウンドには姿を見せ始め、軽いランニングあたりから身体を動かし始めている様子。まだ復帰までは数ヶ月かかるだろうが、復帰した暁には、まずはレジスタで起用されることは必至。それこそ、ピルロや今季のジェラードと同じようなタスクを任せることが可能で、復帰が今から待ち遠しい限り。
エドゥー 6.0  動きの量はチームでも下から数えた方が早いが、動きの質は上から数えた方が早い。とにかく、味方の動きを瞬時に把握して重ならないように、かつ、相手の嫌なところにポジションを取れるスキルは見ていて惚れ惚れするもので、決して体の強さに頼った単なるポストワーカーではないことは東京ファンならずとも認めるところだろう。ナビスコ神戸戦で見せた何気ないプレー――1つ目のドリブルで、あえてGKの立ち位置から見て狭い方向にボールを運んでGKをおびき寄せ、広く開いた逆サイドにズドン!と突き刺す――は唸るしかなく、その決定力は今後も確実にチームを助けるだろう。
平山 相太 6.0  今季の平山を見て、とにかく感情の発露が上手くなったというか、良くも悪くも飄々とプレーしていた昨季までとは印象が違うな、と感じている人は多いはず。もちろんプレーぶりも、輝きを放っていた09年に近しいところまで戻ってきていて、守備のタスクをキッチリこなした上で、ここ2試合連続ゴール。目測を誤る(ボールの落下点より手前でジャンプしてしまい、ボールが抜けていく)悪い癖も今のところはあまり見られず、感覚は研ぎ澄まされつつある印象。雌伏の2年間を経て、人として成長した平山がそこにいるだけで、少しグッと来てしまうのは私だけだろうか。
武藤 嘉紀 5.5  U−18時代に相手をチンチンにしていた“ヨッチ”が、プロを相手にしても臆せずひるまず立ち向かい、そのテクニックが十分に通用している様は、影ながらユースを見ている一ファンとして本当に喜ばしいこと。序盤の決定機逸が勝ち点いくつかの取り損ないに繋がったことから採点は5.5としたが、それを取り返すかのように、ここ2試合連続のゴールゲット。いつかどこかで、必ず壁にぶち当たると思うが、それまではがむしゃらに…じゃないな、軽やかに爽やかに自分を表現してほしい。
河野 広貴 6.5  ここまでトータルでのMOT(マン・オブ・トーキョー)候補の1人。東京に加入してから2年、辛酸を舐め続けてきた鬱憤をここで…と言い方は良くないが、しかし、溜め込んできた全てをエネルギーに変え、自分のために、チームのために労を厭わず足を運ぶ姿は、つい感情移入したくなる。プレーも、かつての「ゴリゴリドリブラー」というイメージはすっかり消え失せ、機動力とテンポのあるトップ下として、選択の幅が大きく広がっている印象。決めきる力を身につければ(取り戻せば?)2ケタゴールも夢物語ではない。
石川 直宏 5.0  渡邉同様、悩ましいのが石川。4−3−3がハマっていれば、ウインガーとして試合に絡めた可能性はあったが、現時点でチームのベースは4−3−1−2となり、石川の特長を踏まえれば、正直どこにもはまらないというのが正直なところ。それでもどこかで…となれば2トップの1角(武藤がやっているようなタスク)になると思うが、イメージは湧きづらい。しかも、ここにきてヘルニアで離脱。どこまでサッカーの神様は石川に試練を与えれば…と嘆きたくもなるが、ことごとくそういった壁を乗り越えてきたのも石川の強さ。己の生きる道を、己で切り開けるか。
平岡 翼  シーズン開幕前にケガで離脱していた梶山、マテウスを除けば、唯一フィールドプレーヤーで出番を得られないまま、J3への武者修行も短い時間にとどまり、先日あえなくケガでリタイア。そのスピードは誰もが認めるところで、まずは怪我をじっくり治すところから。
権田 修一 5.5  客観的に失点数を踏まえてこの採点としたが、為す術がなかった川崎戦の4失点を含め、序盤はフィールドプレーヤーのどうしようもないミスを被ってしまった失点が多かった。それらを除けば、清水戦のPKストップ、ここはキャッチしきってほしい、というシュートをしっかりとこぼさない、あるいは昨季まで以上にコミュニケーションを図っているように見えるなど、権田自身のパフォーマンスは決して悪くない。セットプレーのポジショニングで微修正が見られればなお良し、か。
廣永 遼太郎  今の権田、塩田を押さえてスタメン…というのはかなり難しい状況だが、2人から学ぶべきところは多いだろうし、私達からは見えないところで、選手会長として受け持つ部分は多々あるはず。いつか必ず来る出番に向けて、日々いろんなことに取り組んでほしい。
羽生 直剛 5.5  攻守両面で気の利いたポジショニング、狙いが見て取れるパスのコースとスピード、ベースポジションからスッと出て行ってサイドの選手に当たるタイミング、試合中のコミュニケーション。ターニングポイントとなったナビスコ鹿島戦で見せた羽生のプレーは、やっぱり羽生のままだった。インサイドハーフとしての適性だけ見れば、今すぐにでも米本と並んでリーグ戦のスタメンに名を連ねていてもおかしくなく、東や三田、幸野にとっては本当に良いお手本になる。
マテウス  とにもかくにも、怪我が残念でならない。今季中の復帰が叶うかは分からないが、ただひたすら待つのみ。
幸野 志有人 5.0  ナビスコ仙台戦でレジスタとして起用され、上手くボールに絡んでチームのリズムを上げる時間帯もあったが、相対的に見れば、さすがにこのポジションでは厳しく、インサイドハーフでの起用がベターだろう。出番さえ得られれば一気に跳ねる要素は秘めているだけに、インサイドハーフとして、あるいはトップ下で起用されるべく、練習で存分にアピールをしてほしいところ。
吉本 一謙 6.5  河野と並び、ここまでのMOT候補。本人は「できることしかしない」と謙遜するが、ダヴィ、長澤、ノヴァコヴィッチ、豊田、田代といった屈強なFW陣と見劣ることなくバチバチのマッチアップを見せ、スピード系が揃ったC大阪戦も、身体を投げ出したシュートブロックや適切なカバーリングなどで合格点の内容。先発試合は5戦全勝と「タリズマン」にもなっており、今のところ大きなケチをつけるところがない。マテウスの怪我は本当に残念なこととしか言いようがないが、それにより長らく、長らく怪我に苦しんできた吉本が出番を得て、その素質を開花させる第一歩を踏み出せたことは、無責任に言えば「人生って、これだから面白いな」と。
圍 謙太朗  敢えて高いレベルを求めて東京に加入。恐らく、日々発見の連続なのではないかと推測できる。廣永同様、今は自己研鑽を。
椋原 健太  左SBとしてナビスコ仙台戦に出場。この試合に限って言えば、太田との違いを明確に見せることはできなかった。しかし、大田以上の守備での粘り強さ、上下動の回数はこれまでも見せてきており、不測がなければ左で勝負すると決まった今季は、新たなチャンスと言えばチャンス。その明るいキャラクターとともに、チームに層の厚みをもたらす存在となれれば。
野澤 英之 6.0  攻撃では最終ラインからのボールを引き出し、リズムよく捌き、時折長いボールで局面を変える。守備では常にバイタルエリアを埋め、いつでもサンドしにいけるポジションを取りながら、時には自分より大きな相手とのエアバトルも厭わず戦う。高橋と比較すれば、より私がイメージするレジスタ像に近いプレーを見せていたのが野澤だったなと。同じレジスタでも「静の野澤、動の高橋」とタイプの違う2人がいることは、より戦術の幅を広げるな…と思った矢先の怪我は無念の一言。怪我明けの、再度の躍動に期待したい。
東 慶悟 5.5  正直に言うと、ついこの間までは「東、やばいな」と思っていた。それぐらい、今季のやり方にアジャストできていなかった。しかし、神戸戦で羽生と並んで起用されたことがよかったのか、または別の理由があるのか、とにかくC大阪戦では出色の内容だった。試合後にはツイッターで「2014年版東生誕の予感」とつぶやいたぐらい、見違えるようなプレーを見せてくれた。もともと大分やロンドン五輪では「守備時の運動量と、そこからさらに出て行ける攻撃時のプレー」が目立っていただけに、傍目重労働に見えるインサイドハーフの仕事を自分なりにようやく掴んだのだとすれば、ここからは上昇する伸びしろしかない。楽しみは大いに、大いに広がった。
松田 陸 5.5  ナビスコで3戦連続スタメン。鹿島戦はアシストこそ決めたものの、守備の軽さが何度も目に付き、いささか心配だったが、試合を重ねるごとに守備面は向上。と同時に、攻撃時の積極性は失っておらず、クロスは人にではなく「点の匂いがする」スペースに上げる場面が目立ち、それが実際に決定機に繋がっているから面白い。徳永との違いは明確に示しており、監督の選択肢を増やしている点は評価したい。
マッシモ・フィッカデンティ 6.0  勝敗がどうであれ、「全員を戦力とみなしている」スタメンの選択、その選択に至った理由となるゲームプラン・スカウティングの緻密さ、そのプランAが上手くいかなかった際のプランBの保持、そして、交代の的確さ。そのいずれもが、正しい説得力を持っている点は恐れ入った。なかなかついてこなかった勝ち点もここにきてしっかり拾えるようになり、徐々に我慢してやり続けてきた成果が実りつつある点も好印象。今後は、ポポヴィッチ監督時代にはなかなか抱けなかった「中長期のマネジメント」も期待したい。