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続々々・メガネのつぶやき

主にFC東京、サッカー、当たらない競馬予想の3本立て。思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

ともに、勝って

FC東京 FC東京ユース

 先週末行われたJ1昇格プレーオフ、京都対長崎。結果は0−0に終わり、ホームアドバンテージを持っていた京都が決勝へ進出を果たしました。その試合後、激動のシーズンを終えた長崎の高木琢也監督は「J2以外のほかのチームも同じような課題(注:得点を奪うこと)があると思います。点を取る選手がいない場合どのように手を打っていきたいですか?」との記者からの問いに、こう答えました。

今シーズンはプレシーズンからポゼッションということも実は手をかけてきていた。それでも前に行けたり点を取れるシーンはあったのですが、どうしても繋ぐ意識で言うと相手を基準にしてしまうことなので、間違ってはいないけれども、5本繋ぐのをサイドの2〜3本を削って早く攻めることをもう少し優先で切ればなあと考えています。ただまあ使い分けですよね。我々の最大の武器はハイプレッシャーと運動量。相手を混乱させることができる。ヨーロッパのサッカー、バイエルンドルトムントなど主にドイツのチームを見ればわかると思いますけど、やはりハイプレッシャーの世界になってきていますので、あれを我々も目指してやっていきたい。(攻撃に)時間をかけないということも含めて今後やっていかなければならないと思います。
J’s GOALより引用)

 サッカーというスポーツにおいて、戦術はその魅力を語る上で欠かせない1つの大きな要素です。特にここ数年はその傾向に拍車がかかり、さまざまな媒体で多くのライターが、いくつもの視点やデータを用いて戦術についてあれやこれや評する機会が増えたように感じます。その一方で、「戦術=小難しい、堅苦しい、まどろっこしい」という見方もする方もいます。確かに、(私も含めて)浅い知識で戦術を知った風に語ろうとすると、どうしてもとっ散らかった文章や言葉になってしまい、結果として全く伝わらないことが往々にしてあります。
 ただ、あえて難しく言う必要はないのかもしれません。平たく言ってしまえば、「ポゼッションとカウンター」「ショートパスとロングパス」「ゾーンとマンツーマン」「プレッシングとブロック・リトリート」「中央突破とサイドアタック」といった二律背反のどちらなのか?というお話なだけで、複雑に見えてしまうのは、それらの振り子がそれぞれ異なる振れ幅とバイオリズムで同時に揺れているがゆえに、時として焦点が定まらなくなるから。それぞれを分解し、1つずつの振り子の動きを丁寧に読み解き、その複数の解を一致させることができれば、そのチームのスタイルがハッキリ見えてくるのでしょう。まあ、口で言うほど簡単なことではありませんけど(苦笑)
 では、もっと大きな括りの話として、複数の振り子の糸先には何があるのか?振り子を持つ手の意味、その手で振り子を振る意味とは何か?それは、やっぱり「勝利」なんだと思います。相手に勝つために、昨日の自分に勝つために、周りの要求に応え、時として向けられる猜疑心や疑問に対して打ち勝つために。この週末、FC東京は2つのリーグ戦最終節を迎えます。カテゴリーも違えば置かれた立場も違い、さまざまな思いが交錯する2つの試合ですが、ともに共通して言いたいのは、「勝って終わろう」です。


 トップチーム。上では「振り子の糸先にあるのは勝利」と書きました。しかし、ランコ・ポポヴィッチ監督が操っていた振り子の糸先にあったものは、必ずしも勝利ではありませんでした。勝利を求めていなかったとは言いませんが、結果よりも内容を求めていたことは明らかでした。それこそ「結果と内容」は振り子の両端に位置する要素であり、どちらに振り子が揺れることが良いのかを一言で表すのは難しいですし、「内容を求めていくことこそが、一見遠回りのように見えて勝利に一番近いのだよ」と言わんばかりの言動と哲学に諭され、深く頷かされることも多々ありました。それでもあえて言わせてもらうならば、私は「内容」に振れすぎたと感じています。プロの世界に生きるものとして、自身の哲学が正しいと納得させるだけの「結果」を――今季はことさら――残せなかったと感じています。
 そう感じる一つ端的な例を挙げるとすれば、「1−0の勝利数」。昨季はリーグ戦で1−0の勝利が4つありました(第3節大宮戦、第5節川崎戦、第11節札幌戦、第23節広島戦)。大宮戦、札幌戦は自チームの不出来からくる望まない劣勢でしたが、川崎戦はアーリアの退場による数的不利がありながら、粘り強く戦った末にもぎとった勝利で、森重のヘディングを等々力でじかに見ることができた喜びは今でも忘れられません。また、広島戦はズルズルと順位が下がっていく中、哲学に相反したかもしれませんがミラーゲームで受けて立つ戦いを自ら仕掛け、ルーカスが奪った虎の子の1点を守って、守って、守って勝ち点3を奪ったゲームで、私はこのブログで「価値ある勝ち」と評した記憶があります。さらに、1−1の引き分けに終わりましたが、第14節浦和戦は現札幌社長の野々村芳和さんに「Jでこういう試合を見ることができるのか」と感動させるほどのグッドゲームで、それをもたらしたのは攻めにかかるだけではない、かといって守りに閉じこもるわけでもない、絶妙のバランスの良さだったと確信しています。
 しかし、今季は1−0の勝利が1つもありませんでした。グルイッチコーチを招聘し、より守備面の強化を図ったにもかかわらず、今季の失点数はすでに昨季の44を越える47を数えています。しかも、「今日は1−0で勝つんだよ!」「スタイルを多少犠牲にしてでも、とにかく勝つんだよ!」という意気込みを感じるゲームプランを練った試合があったか?と考えた時にそれも思いつかず、(あくまで私の)主観・客観双方の視点から今季を振り返れば、昨季より守備が成長しているとは言えず、そのことが結果に結びつかなかったと言える側面はあると思います。一方、得点は昨季の47から59にジャンプアップしました。このことは、ポポヴィッチ監督の「イズム」が浸透してきた証左です。それだけに、であるが故に、結果を求めて失点を喫しない割り切りがシーズン中に1度も見られなかったことはとても残念だし、とてももったいないことだと感じています。
 上でも少し書いたとおり、ポポヴィッチ監督の言動や哲学に唸らされたことは幾度もあり、ポポヴィッチ監督が残した功績は少なくありません。それを努めてポジティブなものにするために、最後のリーグ戦を勝利で終えることは、ものすごく大事なことだと思います。そして、この男のために、欠かせないことだと思います。その男とは――ルーカス・セベリーノ。2004年に東京に加入してから、もう10年が経ちました。G大阪時代も含め、第33節終了時点でJ1では267試合89得点。これまで、Jリーグには数多の外国人選手が来日し、それぞれのチームで印象的なプレーを見せてきましたが、(帰化した選手も含めて)267試合は三都主アレサンドロ田中マルクス闘莉王シジクレイマルキーニョスビスマルクに次ぐ6位(日本人も含めれば102位)、89得点もマルキーニョスウェズレイジュニーニョエジミウソンに次ぐ5位(日本人も含めれば18位)と、間違いなくJの歴史に残る外国人選手でした。
 そういった記録だけではなく、さまざまな記憶を私たちに刻んでくれた選手でもありました。「アマラオの後」という難しい立場に苦しみながらもチームに懸命になじみ、ナビスコカップを手にした04年。ジャーンとの不運な交錯により意識を失うアクシデントや、長男の誕生があった05年。すったもんだのオフ(一度契約非継続→再契約)がありながら、キャリアハイの18得点をマークした06年。第2期原トーキョーが上手く回らず、常に2桁順位をさまよう中でも2桁の12得点をあげ、最悪の事態を逃れる一翼となった07年今につながるサイドハーフとしてのプレーを開眼し、天皇杯連覇とACL制覇に大きく貢献した08〜10年のG大阪時代。母国に戻り、古巣であるアトレチコ・パラナエンセに復帰するも5月に引退を表明。しかし、J2へ降格した東京に請われて現役復帰し、1年でのJ1昇格に大きく貢献した11年。齢33にして初めてリーグ戦全試合出場を果たし、10ゴールを奪い、衰えない運動量、献身さ、守備力でもチームを助けた12年。そして、2年連続のリーグ戦全試合出場――おそらくそうなるだろう――と2桁ゴールをマークした13年。端的なトピックスを挙げるだけでもこれだけのボリュームがあり、そこにさらに色々な、様々な思い出をファンに残してくれた選手とは、そうそうお目にかかれるものではないと思います。
 「FC東京の」ルーカスとは08年に一度お別れをしましたが、今回は「フットボーラーの」ルーカスとのお別れにもなります。12月1日に味の素スタジアムで行われたとあるフットサル大会の帰り道、数名のグループが最終節に掲げるであろうルーカスへの横断幕やゲーフラの製作に勤しんでいました。そういったものも含め、12月7日の味の素スタジアムは有形無形問わず、ルーカスに対しての「obrigado」と「saudade」で満ち溢れるでしょう。その空気に触れたときに自分がどんな感情を抱くのか。笑ってなのか、泣いてなのか、とにかく寂しくてなのか、今はまだ想像できていません。ただ、いずれの感情に支配されても「obrigado」の気持ちを伝えるだけですし、加えて造語ですが「supeLucas!」と言わせてもらえたらなと。もう、本当にSuperなLucasでしたから。先ほどJ1時代の数字を書きましたが、J2も含めた通算はここまで290試合98得点。この試合で2点取って、通算100得点に到達したらもう言うことないですし、それは叶わずとも、勝って、笑顔でお別れできたら最高です。あ、天皇杯ありますけどね。


 U−18。ご存知の方もいらっしゃるでしょうけど、現在通年リーグにおいては、プリンスリーグ関東1部をその舞台としています。現在、通年リーグの最高峰には「プレミアリーグEAST」「プレミアリーグWEST」がそびえ、こちらをJ1とするならば、プリンスリーグ(全国を9つのブロックに分けて実施しています)はJ2と言える舞台。その今季最終節がトップの翌日、12月8日に小平グランドで行われます。
 2011年に、大幅なレギュレーション変更に伴い始まったプレミアリーグ。その記念すべき1年目、U−18はEASTの精鋭10チームに名を連ねていました。その前年まで、リーグ戦としては最高峰だった当時のプリンスリーグ関東で3連覇を果たしており、クラブユース選手権、高円宮杯、Jユースカップの3大タイトルで常に上位を争うなど、その名を全国に馳せていたU−18がこのカテゴリーに参加することは必然のことであり、いざ始まるこれまでよりも大きな舞台でどれだけやってくれるのか、期待に胸膨らんでいたことを今でも覚えています。しかし、蓋を開けてみれば苦戦の連続で、常に下位に沈み、残留争いに顔を出し、理想と現実の狭間でもがき続けました。それでも、自力残留の条件を何とか整えて迎えた最終節。優勝が懸かっていた札幌U−18との一戦で、一進一退の攻防を繰り広げるも痛恨の敗戦。合わせて他会場の結果により、1年でこの舞台とサヨナラをしなければならなくなりました。
 プリンスリーグ関東1部からの出直しとなった2012年。プレミアリーグに再び舞い戻るためには、この大会で1位となり、かつ、他のブロックの1位と待ったなしの一発勝負を行って勝つことが唯一にして絶対の条件。相手も名だたるクラブユース、高校が揃っており、期待と不安が入り混じる中、4月8日に開幕を迎えました。しかし、スタートからの5試合を2勝3敗と負け越し、お世辞にも好スタートを切れたとは言えない状況。しかも、得点は取れているが失点もかさむ難しいバランスの上にチームが立っていて、果たしてどう推移していくのかヤキモキした記憶が残っています。ただ、そこからクラブユース選手権を挟みながら破竹の7連勝をマークして順位をジリジリと上げ、第13節に相対するは、暫定首位の桐光学園高校。勝てばいよいよ首位も…という一戦で先制し、前半をリードして折り返しましたが、後半耐え切れずに3失点を喫し、無情の敗戦。生き残りをかけた続く第14節、対市立船橋高校戦も、後半アディショナルタイムにギリギリ追いつくも引き分けに終わり、首位の座は完全に遠のいたかに見えました。
 それでも、あきらめずそこからしぶとく3連勝を飾ると、他チームの結果も相俟って、他力ながら首位の座を奪える位置までファイトバックして最終節を迎えます。その最終節、当時2年生ながらチームを牽引していた矢島輝一の先制点、川上翔平の追加点、そして、10番を背負っていた3年生二瓶翼(現水戸)のダメ押し点で勝利。同時に、試合進行が若干遅れていた横浜FMユース対桐光学園は、横浜FMが2−1でリードして後半アディショナルタイムに突入。この瞬間、いわゆるヴァーチャルの順位では東京が首位に立っていました。自力で残留を決められず、他力にも泣いた降格から1年。今回はその真逆のことが起こりかけましたが、桐光学園が同点弾を叩き込み、引き分けで試合終了。残念ながら、得失点差により2位で終えることとなりました。ただ、優勝した桐光学園とは2戦2敗。これで他力を望むのは、いささか身勝手だったかもしれないと今では感じています。
 迎えた2013年。今年からさらにレギュレーションが替わり、プリンスリーグ関東1部からプレミアリーグ参入トーナメントに進出枠が3チームに拡大。同時に、プリンスリーグ関東2部が来年から廃止されることにより、万が一下位に沈み、降格となった場合に編入される先は都道府県リーグ。もちろん、どのカテゴリーにいても志次第で成長することは可能でしょうけど、都の中で収まってしまうのか、関東の猛者どもと肌を交えることができるのかでは、やはり得られる経験値は違うはず。上を目指すことへの希望と、下に吸い込まれてしまうことの恐怖と。その両方に挟まれながら4月7日に開幕しました。
 ここまでの詳細は、東京のオフィシャルサイトもしくはプリンスリーグ関東のオフィシャルサイトをご覧ください。そして、第17節終了時点での順位表はこちら。先ほど書いたとおり、上位3チームがプレミアリーグ参入トーナメントへ行けるわけですが、すでに優勝を決めた前橋育英高校、2位の柏U−18はその切符を手にしており、残る1枠を

3位 大宮ユース  勝ち点27 得失点差+5
4位 市立船橋高校  勝ち点26 得失点差+19
5位 東京U−18  勝ち点26 得失点差−7
6位 横浜FMユース  勝ち点25 得失点差+3

 の4チームが争うシチュエーションになっています。実は、1週間前までは東京が3位につけていて、自力で参入トーナメント進出の切符を手にできる状況でした。しかし、11月30日の大宮ユース戦で2−4と敗戦を喫し、第17節勝利した市立船橋にも交わされ、同じく勝利した横浜FMに肉薄されることとなりました。さて、順位表を見て何か気づいた点はないでしょうか?そう、勝ち点がここまで接近していながら、得失点差に大きな差異が出ているんです。他の3チームは得失点差プラスながら、東京は32得点39失点で得失点差−7。それもそのはず、ここまでの試合結果を一瞥していただければお分かりのとおり、今季プリンスリーグにおいては完封試合が1つしかありません。特に。第10節以前は、目を覆いたくなるような崩れ方をすることが珍しくなく、プレーが小さく、声も出ず、覇気の無い試合をしてしまうこともありました。ただ、第11節以降の守備はだいぶ安定してきました。前からの圧力であったり、押し込まれても跳ね返す力であったり、バタバタしないメンタルだったり。そんな守備に引きずられるように、攻撃もカウンターやダイレクトなプレーをメインとした形で攻撃も整理され、9月以降のチームには、ようやく一体感を感じられるようになりました。それだけに、大宮戦でせめて引き分けていれば…という思いはありますが、もうそれは過ぎたこと。最終節、浦和ユースに勝つことでしか参入トーナメント進出の切符を手にすることはできません。そんな胸突き八丁の、もう1つの青赤たちの一戦を、まあ小平グランドが見づらいことは承知の上で、一人でも多くの青赤ファンに、サッカーファンに見届けてもらいたいと願っています。


 繰り返しになりますが、最後は勝って終わりたい。それは、ここまで書いたこともそうですし、ただただシンプルに「勝ったら、ハッピーな気持ちになれるじゃん?」と。トップチームは天皇杯へ繋げるために、U−18は例え望む結果を得られないことになったとしても。試合終了のホイッスルを聞いたその瞬間に勝利の雄叫びを上げられたら、これほど嬉しいことはありません。



P.S 僭越ながら、U−18の選手たちへ。
 今この瞬間のフィジカル・メンタルのコンディションにはそれぞれ差があり、もしかしたらプレーしたくてもできない選手もいるかもしれない。けれど、日曜日に戦うのはピッチに立つ11人、ベンチに入る18人だけじゃない。今年、東京U−18に所属している38人全員で、大きなものを勝ち取るために戦う日だ。38人全員が、それぞれの立場で過ごしたここまでの1日、1時間、1分、1秒ごとに積み重ねてきた全てのものを、この1試合に、この90分に、この5,400秒にぶつける日だ。
 かつて、名ボクサーとして名を馳せたモハメド・アリという選手がいた。そのアリが、かつて残したとある有名なフレーズがある。

It's lack of faith that makes people afraid of meeting challenges, and I believe in myself.
(人間が困難に立ち向かう時、恐怖を抱くのは信頼が欠如しているからだ。だから私は私を信じる。)

 そして、この言葉の本質は、みんなも聞き覚えのある東京のあるチャントに通じる部分もあるのではないか。

おお 俺の東京 今日も行こうぜ勝利めざし
行け行けよ東京 いつも俺らがついてるぜ
誰がなんと言おうと 周りは気にするな
自分を信じていれば 勝利はついてくる

 学年を超えて、立場を超えて、役割を超えて。自分を信じていこう、仲間を信じていこう。最後の最後、やってやろうぜ!