続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

MI 11

 決してこれから、ミッション・インポッシブルのお話をするわけではありません(挨拶)
 J1は残り3試合。残留争いはほぼ決着を見た形ですが、優勝・ACL争いは最後までもつれそうな雰囲気となっています。で、少し気が早いですが、ベストイレブン的な何かを書いてみようかなとおもいまして、何がいいかなぁ?と思案した結果、今季最も印象に残った(=Most Impressive)選手、あるいは今季最も成長したと感じている(=Most Improved)選手をチョイスした「MIイレブン」にしようと決着。主観丸出しの11人、こんな感じです。なお、いろいろ飛び越えて代表まで行ってしまった選手(例:森重真人(FC東京)、青山敏弘(広島)、山口蛍、柿谷曜一朗C大阪)、大迫勇也(鹿島)、工藤壮人(柏)など)は選外としました。こんなところで、こんな一ファンに言われずとも…ですからね。また、外国人選手は後日「外国人ベストイレブン」を考えようと目論んでいるので(目論見だけに終わる可能性もあり)、同じく選外としました。


GK 榎本 哲也(横浜FM)
 Improved枠。まあ、07、08年あたりは守護神として活躍していたので今更Improvedと言われても…というお声は甘んじて受け入れますが、しかし、09年以降は飯倉大樹秋元陽太(現愛媛)らの後塵を拝し、10、11年はリーグ戦の出場機会ゼロ、12年も終盤に飯倉からポジションを奪い取るも7試合の出場の出場にとどまっていた選手が、今季は開幕スタメンの座を勝ち取り、(飯倉のアクシデントはあったものの)ここまでほぼ全試合に出場し、リーグ最少の28失点に大きく貢献。派手なセーブは多くないかもしれませんが、それはディフェンス陣との緊密な連携と適切なポジショニングの良さの裏返しで、安易な失点はかなり少ない印象。また、かつて激怒してグラウを吹っ飛ばして…なんてこともあったメンタルもすっかり落ち着き、再び欠かせぬ戦力となった印象を受けました。


DF 丹羽 竜平(鳥栖
 Impressive枠。10月だったかと思いますが、エルゴラッソに掲載された「なんでもランキング」において、堂々パスカット王(インターセプト王?)に君臨。昨季から守備には定評がありましたが、今季はさらに危機察知、読みの鋭さが増した印象で、こんな動画が作成されるくらい一部からは注目を集めている選手(動画自体は昨年のものですが)。攻撃面での寄与がそれほど大きいわけではないので注目度はイマイチなのかも知れませんが、個人的には「今、Jリーグで守備力のあるサイドバック」トップ3に間違いなく入ると思っています。


DF 山下 達也(C大阪
 Improved枠。11年にC大阪から札幌へ移籍し、不動の主力として大活躍を見せると、翌年C大阪が完全移籍で再獲得。昨季は茂庭照幸藤本康太のコンビに割って入れずリーグ戦9試合の出場にとどまり、今季もスタートはベンチメンバーでしたが、途中からスタメン起用され始めると、瞬く間に主力として台頭。力強いチェックと気持ちの入ったエアバトルといった対人の強さもありながら、カバーに入るタイミングやスピードも及第点以上で、一部からは「代表に選出されてもおかしくない」という評判まで出るようになりました。来季前半の活躍次第では、栗原、伊野波らなどを押しのけてブラジルへ…というお話も、単なる夢物語ではないかと。


DF 那須 大亮(浦和)
 Impressive枠。実力に関しては今更語るべくもなく…ですが、独特なスタイルを用いる浦和で、しかも、適正ポジションと言えそうなリベロには永田充が、ボランチには阿部勇樹鈴木啓太がすでに鎮座していたことを踏まえると、果たしてどこまでその実力を発揮する「機会」を得られるか半信半疑でした。実際、開幕して4試合はベンチスタートでしたが、永田の怪我によりリベロのポジションに入ると瞬く間にフィット。守備面での貢献も去ることながら、セットプレーや機微を読んだオーバーラップからのゴールは幾度もチームを助け、今季リーグ戦8得点はDF登録の選手としては最多。もし、今季浦和が優勝を果たしたならば、MVPに選ばれてもおかしくないのかな?と思っています。


DF 登里 享平(川崎)
 Improved枠。これまでは攻撃的なMFとして起用される試合がほとんどでしたが、今季はSBにコンバート。当初は攻撃面の貢献度と守備面での不安が激しく入り混じり、「あー、やっぱりこのパターンになるか」と思ってみていましたが、レナトと左サイドのコンビを組むことが多い中、守備にそこまで気を使わない(使えない?)レナトの分までカバーしているうちに守備面での激しさ、しぶとさが身についてきて、ポジショニングもジワリジワリと改善。それでいて、攻撃面での良さも失うことなく、(こちらは)レナトとの相性も良く、この左サイドデュオは相手にとって脅威そのものだったかなと。伸び白がまだ見える点は、一サッカーファンとしては楽しみですし、一東京サポとしては嫌ですね。


MF 中町 公佑(横浜FM)
 Improved枠。福岡で残した好印象が頭にインプットされた中で、昨季のパフォーマンスはガッカリとまでは言いませんが、「うーん、これぐらいしかできないかねぇ?」という厳しい見方をせざるを得ませんでした。しかし、チーム2年目、J13年目となった今季は一皮も二皮も剥けた印象で、冨澤清太郎と組むダブルボランチは、チームにとって無くてはならないコンビとなりました。あまりに補完性がありすぎて、逆に他の人と組んだ時にどれだけのパフォーマンスを出せるのか疑問に思ってしまうぐらいで…というのは余計なお世話ですが、攻守両面での献身的なプレーと強いメンタルは見どころ十分、という選手です。


MF 米本 拓司(FC東京)
 Impressive・Improved枠両方。2度の左膝前十字靭帯損傷から見事にカムバックした昨季のプレーも賞賛に値するものでしたが、今季はデビューイヤーに見せた輝き・可能性を再度思い出させてくれた…どころか、その輝き・可能性がより明るく見えるほどのハイパフォーマンスを見せてくれました。危ないポイントを嗅ぎ分けられる力と、各種媒体で「奪う」ではなく「狩る」と表現されるほどのボール奪取能力といったこれまでのイメージも維持したまま、ビルドアップに絡みながらの長短のパスや、ボールを奪った後の判断(落ち着かせるのか、そのまま運んでカウンター気味に仕掛けるのか)といった攻撃面での寄与度がグッと高まった印象。代表という意味では高橋に加えて細貝萌、山口蛍が同タイプとして存在するため、序列を崩してブラジルの地を踏めるかどうかは微妙ですが、いつかは必ず、代表のユニフォームを身に纏って主力としてプレーする日が来ると信じています。


MF 遠藤 康(鹿島)
 Improved枠。これまではテクニックはあるんだけど実効性に欠き、プレーの端々に軽さが目立ち、ムラッ気が多いのもどうしたものか…という印象が強くあり、ここ2年ともに30試合以上に出場していながら「主力」としてのイメージは薄かったかなと。今季も序盤戦はジュニーニョや出戻った野沢拓也がSHのスタメンとしてプレーしていましたが、徐々にスタメン出場が増えていき、後半戦の猛プッシュに大きく貢献。左利きながら右SHとしてプレーしていることもあって中央に入ってくるプレーが増えている中で、「絞る・絞らない」のポジショニングに成長が見られ、フリーで受けられる回数が増えたことで、持ち味である鋭いパスや逆サイドネットを狙うシュートの実効性がかなり高まったなと。このベースに継続性が備われば、さらに怖い選手になりそうです。


MF 田中 亜土夢(新潟)
 Improved枠。昨季34試合すべてに出場し、残留争いにあえぐチームを助けましたが、34試合の内訳が「先発28:途中出場6」だったのに対し、今季は(第31節現在で)1試合累積警告のために出場停止がありましたが、残る30試合は「先発30:途中出場0」で途中交代もわずか3試合と、より一層チームの核として存在感を増した印象。アシストは2→7とジャンプアップし、ゴール数こそ昨季並みですが、シュートはパンチ力やセレクションの良さに向上が伺えました。何より、チームのために良く走る印象が強く、見ていて何かと、勝手に応援したくなる何かを持っている選手だなと、今季改めて感じさせられました。


MF 中村 俊輔(横浜FM)
 Impressive枠。横浜FMが優勝したら、もしかしたら優勝しなくてもMVP候補の筆頭に上げられるほどの大活躍。2列目にポジションし、難しいパスシチュエーションが数多くありながら成功率は80%を超え(これはイメージ通り)、ドリブルも第31節終了時点132回で第3位(成功率50%超え)(これは予想外。ちなみに1、2、4、5位がミキッチレナトジュニーニョ原口元気)。ゴール数もキャリア初となる二桁に乗せ、プレイスキックの鋭さは色褪せるどころか、より鋭さを増している印象。さらに、チームのためとなる前線からのプレッシングもサボることなく、球際でのファイトも厭わない姿には、ただただ頭が下がるばかり。(本人にスタメンに足る実力が有ることが大前提ですが)中村、マルキーニョスドゥトラ、中澤祐二らを見ていると、ベテラン陣をチームに配することでもたらされるプラスは、もっと大事にされていいのでは?と思うばかりです。


FW 川又 堅碁(新潟)
  Impressive・Improved枠両方。昨季の岡山での活躍ぶりは確かに目を見張るものでした。しかし、その活躍が即J1での活躍を保証するものではないことは誰もが知っているであろうことで、実際今季の序盤戦は7試合で先発出場ゼロ、ゴールゼロでした。しかし、第8節にスタメンの座を掴むと、それ以降は全試合スタメンで出場し、ここまでリーグ2位の20得点。しかも、シュート数はわずかに55本で、決定率は脅威の38.1%。さらに、単独突破からの強引なものあり、味方のパスを上手く引き出す動きからの柔らかいものあり、ハイボールをものの見事な身体の強さで収めたり、押し込んだりするものありとバリエーションも豊富。新潟は柳下監督の続投が決まりましたが、例年の如き主力の引き抜きを是が非でも防ぎ、不足のポジション(主に最終ライン?)を補強できれば、来季は台風の目になれるのでは?と思います。


 以下は、最終選考で惜しく選外となった7人。ベンチという形で。


GK 林 彰裕(鳥栖
 Impressive枠。GKが相次いで怪我に祟られた鳥栖に第21節から緊急加入すると、それまで46失点(平均2.3失点)だったのに対し、林が出場した10試合でわずか9失点(平均0.9失点)と激減。林1人のおかげとまでは言いませんが、チームの守備意識復活、そこからのV字回復に大きく貢献した印象は強く残りました。


DF 佐々木翔甲府
 Improved枠。デビューイヤーだった昨季も城福監督の抜擢に応える働きは見せていましたが、今季は「シーズン当初ボランチ→チーム事情で2試合SB→3バック変更に伴いリベロ」と3つのポジションを渡り歩きながら、それぞれでチームに貢献。ポカが減りましたし、無駄なファウルも減って安定感がグッと増した印象です。


DF 太田 宏介(FC東京)
 Improved枠。今季ここまで全試合スタメン出場で、3ゴール8アシストと攻撃面での貢献度は甚大。プレイスキックの精度も格段に増し、直接FKは新たな武器として完全に身に着けた印象。守備時のフワッと気が抜ける瞬間がある悪癖を減らせれば、代表の座も。


MF 富澤 清太郎(横浜FM)
 Impressive枠。中町とどちらをMI 11にするか悩みましたが、米本との補完性を考えて、富澤は泣く泣くベンチで。スカパーの「Foot Wednesday」で垣間見えた見た目からは想像できないクレバーさは、プレーを見ていればなるほどと頷けるもので、完全にボランチとしてのイメージになったなと。


MF 柏 好文(甲府
 Improved枠。佐々木同様、シーズン当初は4バックの右SHでしたが、3バックの右WBとしてプレーするようになったのと同時に、いきなりプチブレイク。もともと気風のいいサイドアタッカーではありましたが、SHではノーゴールだったのが、WBでは4ゴールと結果も残しました。城福監督の英断と選手の個性が噛み合った(ほぼ)残留が今季の甲府でしたかね。


FW 大久保 嘉人(川崎)
 Impressive枠。これまでも2桁得点は6度(J2時代含む)と得点を積み重ねてきましたが、近年は南アフリカW杯のイメージもあって「守備も頑張るFW」になっていました。しかし、ここまでですでにキャリアハイの24得点。もちろん、いろんな仕事をこなしながらですが、今季はとにかく「ストライカーとしての矜持」を見せ付けたなと。それが大久保でしたしね。


FW 興梠 慎三(浦和)
 Improved枠。正直、浦和のスタイル…というか1トップをこなせるとはまったく思っていなかったので、この移籍は誰も幸せにならないと思っていたんですが、私の目は見事なまでに節穴でした。もちろん、本人としてはもっと決められたと思っているでしょうけど、1年目でこれだけやれれば十分でしょう。


 フォーメーションは以下のとおり。

――――――川又――――――
田中――――中村――――遠藤
――――米本――中町――――
登里――那須――山下――丹羽
――――――榎本――――――

 さらに、ベンチ外ながら本当は入れたかった…という選手は、GK、DF塩谷司(広島)、小林祐三(横浜FM)、MF山本真希(川崎)、青木拓矢(大宮)、長谷川アーリアジャスール(FC東京)、FW石原直樹(広島)、杉本健勇C大阪)あたりでしょうか。皆様も、それぞれに考えてみたら面白かもしれませんよー。