続々々・メガネのつぶやき

主にFC東京、サッカー、当たらない競馬予想の3本立て。思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

Jリーグディビジョン2 第7節 東京1−2大分

 11試合ぶりの、そして今季ホーム初の敗戦。帰りは、風の冷たさが余計身に沁みましたわー。個人的には大分戦は、この連戦で「捨ててもいい試合」だという位置づけでした。もちろん、勝ち続けることにこしたことはないですし、単なる1試合を越えた次の試合を見据えれば、勝って気持ちよく臨みたいという気持ちも十分理解します。しかし、昇格や優勝を見据えた際に、東京はまだ2つ負け「られる」状況にあり、かつ連戦の試合内容が見事なまでの右肩下がりを描いていて、選手の疲労や累積警告具合を考えるとここは大幅にメンバーを入れ替えてフレッシュなメンバーを起用するにはもってこいのシチュエーションだと思っていたので。しかし、蓋を開ければ今野の代役は徳永、空いた右SBには北斗を配した以外はベストメンバーでガッチリ。「それならそれで、ネジをしっかりと締めた試合をしてね」という期待と、「でもまあ…ね」という幾許かの苦笑を含みながらキックオフ。


 今の東京は、いろいろ苦しい状況を潜り抜けてきたことで、以前までには考えられなかった「使い分け」をできるチームへと姿を変えようとしています。選手個々が試合の機微を読み、今は嵩にかかって攻める時なのか、それとも多少引いてでも守る時なのか、その判断にじわじわと正確性が出てきて、9/25横浜FC戦や9/28北九州戦のように、今までになかったような勝ち方を見せてくれた試合も増えてきました。一方の大分は、今季から田坂監督を招聘し、これまでとはまるっきり違うサッカーを標榜してやってきたと聞いています。その中でさらにシーズン途中に小さくない修正を施して、3−4−3で両ウイングが攻守に運動量を多くして、攻める時は1トップ2シャドーと上手く絡んで5トップ、守る時は3バックのヘルプに入る5バックになり、ボランチがその両方をしっかりと繋ぐために動く、といったフレキシブルなスタイルになったと。それがだいぶ形になってきたようではありますが、まだ良くも悪くも「ワンパターン」を確立させるための戦いが続いているという印象を受けていました。で、結果から言えば1試合を通して東京が何かアクションを起こしたというよりは、大分の「ワンパターン」がもたらすメリット・デメリットの触れ幅が大きく、それに東京が上手く食い込んでいけなかったという試合だったのかなと。
 前半は、田坂監督が試合後に「立ち上がりから30分間は腰の抜けたような試合。相手にビビッて、プロと高校生がやっているような内容だった」とコメントしていましたが、まさにそのような感じ。両ウイングが引いて5バックになること自体は悪くなかったと思いますが、それがベースポジションとなってしまい、奪った後の押し上げが全くなかったことで前線が孤立して攻撃が単発に…というプレーの連続となった点がおそらく不満だったのかなと。さらに前線で待っていてもボールが出てこないため、森島や前田が引いてもらおうと動いていましたが、それが余計にラインを下げる要因となってしまい全く攻撃に迫力が出ませんでした。こういった時に割り切って森島をとにかく高い位置においてボールをぶつけるとか、サイドを極端に広く取って東京の守備をはがすといった臨機応変さがあればまた怖かったんですが(後者はある程度できていたようにも)、まだそこまでの成熟度にはないように見えましたしね。それに対する東京も、スムーズにパスが回っていたとは言い難く、CB、ボランチのところでのパスがズレるシーン続出。それを奪われてカウンターを浴びていましたし、攻撃も相手のミスを突いてのなんとやらしかできず、なかなかリズムが生まれない時間が続きました。先制点は素晴らしい崩しで、その後追加点を狙おうと畳み掛ける意識は感じられましたが、しかし相手の守備のリズムを壊すようなプレー、意図が見られたとは言えず、結果的に大分のスローペースに引きずられたまま主導権を握れず、試合が漫然と進んでいたというのが正直な印象。で、前田のあのシュートですよ。時間帯、シュートに至るまでの過程、決めた野郎含めて「してやられた感」満載の失点でした。


 後半。ハーフタイムに喝が入ったのか、大分が一転元気になり、最終ラインを押し上げてコンパクトさをしっかり保ちながら前線からプレスを敢行し、両ウイングの運動量も急に増加して人数のかけ方にも修正が見られたことで、立ち上がりから大分がグイグイ押し込む展開に。その間隙を突いて東京もカウンターを仕掛けますが、ラストの精度を欠いてありゃりゃ…なんてこともありながら、よく言えばスピーディーな、悪く言えばバタバタした時間帯が続きます。そして、この日はお互いに選手交代が非常に早く、大分が前半のうちに池田→幸野、53分に(これは怪我の影響っぽいですけど)チェ→長谷川と手を打てば、東京も54分に田邉→石川、62分に羽生→セザーと立て続けに選手交代し、局面の打開を図る手を打ちました。が、東京はタメを作れる田邉、羽生に代えて前への推進力が強い石川、セザーを入れたことで、試合はより打ち合い、攻め合い、急ぎ合いの様相を呈します。で、これは間違いなく大分が望んでいた展開。試合開始より攻守の切り替えが早かったのは大分で、運動量に関しても何か動きが重い東京に対して後半の大分が完全に凌駕。さらに前線と最終ラインのコンパクトさも、東京は先ほども書いた攻守の切り替えの遅さが間延びを生んでしまい、大分のカウンターに対して「追いかける守備」を余儀なくされたのに対し、大分は3バック、ボランチがしっかりとラインコントロールしてコンパクトさを失わないように気を配れていて、カウンターに対しても人数が足りていて、サイドでは数的優位を保って安易にクロスを上げさせず、真ん中ではパスでの崩しやドリブル突破に対してしっかりとチャレンジ&カバーができていたため、徐々に大分の攻撃がダイナミックに、東京の攻撃が手詰まりになっていきました。
 では、このリズムを変えるために東京がすべきことは何だったのか?それはただ1つ、「意図的なスローダウン」だったと思います。大分としてはシーズン中常々「どこにも走り負けない」ことを強調するコメントが聞かれ、それが活かされるこの日のような、冒頭にも書いたとおりワンパターンのメリットを最大限活かせるサッカーは望むところよ!だったはず。それに対して、私は最後まで「今年の東京なら、それを壊してしまえる幅広さを持っているんだから、慌てなければ大丈夫だよ」と信じていました。しかし、この試合はいつまで経っても相手に合わせるだけで、その象徴だったのが権田のプレー。例えば大分が攻撃を最後までやり切れずに権田がイージーにボールをキャッチしたとします。そこからの選択肢は、

1:近いところでフリーとなっている選手を素早く見つけてスローでパスを送る
2:前線でフリーになっている、あるいは走り出しで相手を振り切れそうな選手を見つけてキックでパスを送る
3:一旦ボールを保持し、時間を作った上で最終ラインを押し上げさせながら長短のパスを送る

 の3つが挙げられると思いますが、大分のペースを壊すことであったり、自分たちのボール保有時間を長くしたりという意図、つまりこの日権田がすべきだったプレーの正解は、私は間違いなく3だと言い切ります。しかし、実際に権田が選択したのは1や2ばかり。何度もスタンドで「権田焦るな!急ぐな!」と叫んでいましたが、届くはずもなく…って自分のアレはどうでもいいとして、それにより試合後に押し並べてほとんどの選手が口にした「バランス」が崩れ、最後まで自分たちがボールを、試合を動かしているんだよという実感がない試合になってしまったのかなと思います。結局、最後も攻め合いの中バランスが崩れているところでセザーが無理に突っかけてボールを奪われ、後ろのリスクマネジメントが上手くいっていない状態でカウンターを浴びて失点、でしたしね。
 冒頭でこの試合はメンバーを入れ替えて捨て試合にしてもよかったと書きました。そのもう1つの意図としては、これは結果論に聞こえるかもしれませんが、こういった競った試合展開になった時、ベストメンバーで挑んだことが「勝ちへの焦り」に転換してしまって変なリズムのサッカーになってしまいかねないという危惧があったから。もちろん、メンバーを入れ替えたからと言って勝ちにいく必要がない、という意味ではないですよ。あくまでもベストメンバーで臨んだ場合と、選手を入れ替えて臨んだ場合のプライオリティーの受け取らせ方−しかもピッチ内にいる側ではなく、ピッチ外にいる側に向けて−のところの話なんですが、だからこそ大熊監督にはもう少し柔軟なマネジメントをして欲しかったという点は、否定しようがないかなと。まあ、何にしたって負けは負け。ここで出た課題がいい薬になると、前向きに行きたいところです。さ、次は東京ダービー。張り倒してやりますよ!


P.S 田坂監督がそれを志向しているかは全く分かりませんが、大分がやろうとしているサッカーはナポリのそれに似ていて、私は今のナポリのサッカーが大好きなので、個人的に大分にはこのスタイルでよい結果がもたらされることを願って止みません。