続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

まとめて振り返る

 病気やら何やらで、最近東京さんのことを何も書いていなかったので、お茶を濁す程度は書いてみようかなと。最近、こんなんばっかやー。


 トップは1−2で敗れた栃木戦@グリスタ以来何も書いていませんでした(汗) その後の成績は皆さんご存知かと思いますが、改めて列挙すると

8/27 富山1−0東京 後半の猛攻も実らず、相手の体を張った守りに得点を奪えず連敗
9/4 東京0−0栃木 互いに決定機を活かせずノーゴール、スコアレスドローに終わる
9/10 東京6−1京都 先制を許すも、ルーカスのハットトリックを含む大量6得点で勝ち点3を獲る
9/17 愛媛0−5東京 田邉の先制ゴールを皮切りに怒涛の5得点で連勝を飾る!

 という、なんとも極端な成績になっております。さらに、富山戦以前も北九州戦で敗れたり、栃木戦で敗れたり、岐阜戦、草津戦も苦しめられる時間があったり。そんな7月末から8月にかけての流れを一言で言うならば「シーズン2度目の底が来た」といったところでしょうか。当ブログでも何度も書きましたし、皆さんもお分かりかと思いますが、シーズン序盤に対峙した「第1の底」は、敗戦の痛みを伴いながらの「ポゼッション主体のサッカー」への切り替えで抜け出し、5−0と勝利した熊本戦@国立でその右肩上がりのピークを示して見せました。それを経てシーズン2度目の底へと向かうわけですが、その要因としては「セザーの怪我」「ボランチ中心のパスサッカーへの研究」「相対的なJ2チームの守備力向上」の3つが挙げられるのかなと。
 セザーについては、何だかんだ言いながらもここまでシーズン7ゴールを奪い、守備面での貢献度も日々高まり、サイドに流れたがる「クセ」をチーム全体でしっかりと共有することでそれを「特徴」にまで昇華させることで、1トップとしての機能性が格段に高まっていたところでの怪我。当然ルーカスにはルーカスの良さがありますが、しかしセザーとルーカスではプレースタイルがほぼ真逆と言っていいわけで。その対応に多少の時間を要してしまったのは、これは致し方ないところでしょう。
 2つ目と3つ目はいくらか重なる部分もありますが、再びポゼッション主体のサッカーへと切り替えてからの東京は、端的に言えば「CBとボランチで細かくパス交換を行いながらビルドアップし、前線の穴を探してそこへパスを通して前進していきゴールを目指す」というスタイルでゲームを進めています。が、一口にビルドアップと言っても様々な方法があって、例えば今のトレンドの最先端を行くバルセロナは、もはや有名になりましたが「CBがワイドに大きく開きSBを押し上げ、そのCBの間にアンカーが下りてきて3−4−3のような形」でビルドアップを行いますし、同じ4バックでも、あえてポジションをあまり動かさずにSBを組込んで崩しの拠点にするやり方があれば、古きよきオランダの4−3−3のように、バックラインだけではなくピッチのいたるところにトライアングルを作ってそのパス交換で進んでいくというやり方もあり、その手法は多種多様。で、今年の東京はというと、個人的にはCBとボランチが四角形(時に長方形、時に台形と形は様々ですが)を作るようなポジション取りをし、そこでパス交換をしながら隙を窺うという形かな?と思っていますが、1−2と敗れた栃木戦や富山戦などは、ダブルボランチに対して積極的にプレスにいって前を向かせない、あわよくば奪いきってショートカウンターを狙うという守備の手を打ってきて、東京がそれにモロに嵌ったという印象が強く残っています。
 突然話は変わりますが、第28節(25試合、一部チームは26試合)終了時点で25(26)失点以下、つまり1試合1点以下のチームがいくつあるかというと、暫定順位上から1位札幌(20失点)、2位東京(15失点)、3位徳島(24失点)、4位鳥栖(22失点)、6位栃木(22失点)と5チームもあります。これが実際多いのか少ないのかは、過去のデータをあさっていないので分かりませんが、感覚的には多いなぁと。近年、攻撃のトレンドはポゼッションに完全に傾きました。と同時に、そのポゼッションに対抗すべく、ブロックディフェンスの進歩の著しさという点も顕著に現れています。で、ポゼッション主体のサッカーをするためには、何人かそのために欠かせない資質を持った選手を擁することが必要となりますが(ex:ボールを持てるCB、散らせるボランチ)、ブロックディフェンスについては、その監督が持つイメージさえチーム全体で共有できるのであれば、極端な話どの11人がピッチに立ってもいいわけで。そして、相手にゴールさえ許さなければ最悪勝ち点1、あわよくばカウンターやセットプレー1発でゴールをもぎ取って勝ち点3、という可能性が広がるわけで。そうなれば、限られた予算や戦力しか持てないチームがどちらに傾くか、その答えは明白でしょう。どの国も、2部リーグは独特の色を持つと言われますが、Jにおいては「ディフェンシブ」というワードが強調できるリーグになりつつあるのかな?と、今年1年お付き合いさせていただいている上で強く感じています。まあ、点を取れる個がいないだけじゃね?と言われれば、それに反論する術はないのですが(えー
 というわけで、ただでさえ、いわゆる「強者」対「弱者」という構図になりやすい土台があって、その上に東京のサッカーへの研究と守備のリーグという色がミックスされたなかなか分厚い壁に対して、それを乗り越える術を模索していたのがこの1ヶ月だった、そして、それに対する回答を出したのが、京都戦、愛媛戦だったのかなと思います。2戦とも流れは似ていて、「立ち上がりは相手ペース→中盤から強引に流れをもぎ取る→前半のうちに複数得点→後半フルボッコ」という感じでした。違ったのは、相手ペースの時に点を取られたか取られないかだけ。愛媛戦も、9分の齋藤学のシュートが決まっていれば多少は流れが変わったのでしょうけど、それでも勝っていたのは東京だったかなと。
 変化の兆しは、すでに栃木戦@熊谷にありました。グリスタで1−2で敗れた2週間後のリターンマッチ、どちらともが多少の変化をつけて挑むことは予想がつきましたが、栃木はボランチサイドバックへ厳しくプレスにいっていた点を、「ある程度低めにブロックを作りつつ、ルーカスが中央でボールを受けてから、という攻撃だろうから、ある程度外はやられてもいいので中を強く厳しく。」という守備に変えてきました。それに対して東京は、立ち上がりこそプレスを警戒して長めのボールが多かったものの、中を固められているのを見て外を上手く使おうという意図は見て取れました。そして、注目のボランチ2人の動きですが、時間を追うごとにはっきりと「低い位置の仕事は高橋、高い位置の仕事は梶山」と役割を分担しました。それが元々のゲームプランだったのか、あるいは栃木が引いてカウンターに特化してきたのを見て、2人がそう判断したのかは分かりませんが、終盤はそれが奏功して、栃木のカウンター攻撃については高橋が幾度となく芽を摘み、梶山が攻撃に厚みを加えることでゴールまであと1歩まで迫ることができました。京都戦は田邉が25分過ぎからビルドアップに加担するためにポジションを落とす、というオマケつきではありましたが、栃木戦同様にまず高橋がCBからのボールを受ける、という回数が増え、梶山のプレーエリアはハーフウェーラインより前というシーンが多かったかなと。そして愛媛戦後に梶山本人が

このところボランチが狙われる試合が続いていたが、栃木戦あたりから、低い位置ではシンプルにプレーして、ある程度秀人に任せて、前のスペースを使うことを意識している。そのバランスが徐々によくなっているのではないか

 とコメントしまして、あぁ確信。高橋が継続して試合に出続けることで、だいぶボランチ然としてきた点は大きいのだと思いますが、シンプルにボールを捌けて、カバーリングエリアも広い高橋がDFラインの前のエリアを掃除し、狭い密集でもボールを持てて、多彩なパスビジョンとボールを奪われないドリブルを持つ梶山が前の4人を補完するというコンビは、文字で見るだけでもしっくり来ますよね。さらに、梶山がプレーエリアをこれまでより少し前に移すことで相手も引っ張られ、高橋の両隣にフリースペースができることも増えましたが、そこを森重が本当に上手く使っていて、ドリブルやパス交換で上がっていっては決定的な仕事をするシーンが徐々に見られたり(京都戦のルーカス2点目アシストのシーンが象徴的で、「体は外を向いているけど中(縦)へ鋭い楔のボールを送る」というプレーが本当に見ていてシビれるー)、ルーカスや梶山らで中へ意識を集中させておいて外を上手く使うシーンが見られたり、なんていう二次的な効果まで生まれ始めました。こうなると、相手からすればプレスの的を絞りづらくなるわけで、東京対策が再びプレッシングからブロックディフェンスに切り替わってきそうな嫌いもありますが、それを焦れずに崩す戦い方は6、7月にしっかりやってきているので、もし仮にそうなったとしても不安はないのかなと。
 結局上手くまとめられず、長々と書きましたが、「第2の底」は思いのほかあっさりと脱して見せました。ヨーロッパのサッカーシーンではよく、「1年に2度、不調の波がやってくる」と言われます。それに当てはめるのならば、東京が残す13試合は悪くても平行線、普通ならまたピークに登っていくその過程と言えるのではないでしょうか?いよいよ最終コーナーを回って最後の直線に入らんとしていますが、ラストスパートの用意は整った。私はそう見ています。