続々々・メガネのつぶやき

主にFC東京、サッカー、当たらない競馬予想の3本立て。思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

高円宮杯U-18サッカーリーグ2011 プレミアリーグ 第1節 東京U-18 1−1 青森山田高校

 震災の影響で順延となっていた第1節が昨日行われたので、見に行ってきました。土屋さんも書かれていますが、「馴染みのライター陣は軒並み集結し、バックスタンド側もほぼフルハウス」状態。ユースウォッチャーの方々も勢揃いだし、土屋さんや吉田太郎さん、ユース教授までいましたからね。あのー、社会人の皆様、お仕事はどうされましたの?(お前もなー)…というのは余談として、個人的には待ちに待っていた俺ダービー。苦戦が続く東京が、この状況にどう光を差せるのか。かたや、2試合少ないながら3位につける青森山田はどの程度のレベルなのか?そして、高校総体1回戦負けというショックから立ち直っているか?いろいろな興味を持って、深川グランドに足を運びました。


 まずは、スタメンから。東京U-18は

――――20アモス――9冷岡――――
25二瓶―――――――――――35伊藤
――――15野沢―――8山口――――
6村松―-33五勝出−-12徳田−-27青木
――――――――1谷―――――――

 の11人。土屋さん情報をモロパクリすると、DF5石原がケガ(18岩田、32岸も怪我っぽい)、MF13福森が出場停止、7岩木が1860ミュンヘン(ドイツ2部)への練習参加から帰国直後とそれぞれの理由でメンバー外。また、DF3吉田、4石原といったここまで多くスタメンを張ってきた選手もベンチに下がり、代わりにブーゾ・アモス(以下アモスで)、二瓶、伊藤、五勝出、青木と1、2年生の名前がズラリ。「伸びてきている選手は使いたい。彼らが実力で勝ち取ったスタメン」(土屋さんブログ内の倉又監督コメント)とのことでしたが、まあ思い切ったスタメンだなぁというのが第一印象でした。一方の青森山田は、

――――9林―――18佐藤―――
16石井―――――――――6曽我
―――10椎名―――7差波―――
14新井――3縣−4舛沢――8室屋
――――――1野坂――――――

 の11人。先頃行われたU-17W杯で活躍した室屋、2年時からCBを任され、 昨年西が丘で対戦した時にも出場していた舛沢、今のチームのキングである差波、そして、2年生ながら10番を背負う椎名(冬の選手権準優勝の時に、柴崎(鹿島)とボランチでコンビを組んでいた椎名伸志(流通経済大)の弟です)あたりに注目が集まるところ。欲を言えばFW11石田を見てみたかったんですが、それはまたいつか。で、ここ数年の青森山田は、攻撃では「低い位置からのビルドアップと前線へのロングボールを使い分け、ワンツーやパスアンドゴーなど2人の関係性を大事にしながらサイド中心に攻める」、守備では「前線からのプレッシングをしっかりと行い、なるべく高い位置で奪いきる」というイメージを勝手に持っていますが、それがそのままなのか、あるいは新しいことにチャレンジしているのか、そこに注目して見ていました。


 さて試合、前半。どちらがどう、という前にいきなりのハイライト。センターラインをやや越えたあたりの位置から山口が狙い済ましたロビングパスを送り、これに反応して抜け出した冷岡が野坂や舛沢らともみ合い、そのこぼれ球が伊藤の足下に。これを伊藤が冷静にゴールに蹴りこんで東京が先制!…かと思いきや、なんとオフサイドの判定。個人的にはどこがオフサイドだったのか全く分かりませんでしたが、結果的にバックスタンド側にいた東京ファンのぬか喜びが空しく響くこととなりました。
 さて、ここからようやく両チームの意図が見える戦いが始まります。そして、先に流れを掴んだのは青森山田。1年前に戦った時のように、東京の積極的なプレッシングを警戒してかロングボールが多かったように思いますが、今年は林がしっかりとエアバトル、相手を背負うプレーができていて(さすがはフィジカルモンスターを多数輩出する札幌下部組織出身だけある)、長いボールが有効なスイッチになっていました。その上で、下のつなぎも差波に一旦収めてそこからワイドに展開して、SHが持ったら林に当ててパスアンドゴーをするとか、SBが追い越してそこにパスを出してといった形の、これまでどおりの2人の関係性を中心とした攻撃で東京守備陣を崩しにかかっていました。しかし、誰がフィニッシュするのか、という点については残念ながら形が見えず。林はポストプレー後の動き直しが弱く、佐藤も時折裏への抜け出しでポイントを作れていたように思いますが、それがゴールに直結するまでには至らず。また、この試合前までの17点の内訳を見ると、FW(林、石田)が3点、MF(椎名、差波、石井、17高橋)が12点、DF(舛沢、縣)が2点。これだけ見ると、今年はFWが収めたところを2列目、3列目の選手が追い越して、あるいはサイドからのクロスに対して入ってきて得点を狙う(セットプレーでのゴールも多い様子)形がメインなのかな?と読み取れますが、この時間帯はそういった動きも不足気味。結果、リズムは掴んだものの単発な攻撃しかできず、ゴールへの迫力は出し切れなかった印象でした。対する東京守備陣も、中盤での主導権争いこそ譲ったものの、DFラインはぶつかり合いや最後やらせてはいけないところの潰しなどはしっかりとできていましたしね。
 一方、東京の攻撃からこの時間帯を見ると、立ち上がりは積極的なプレッシングに相当苦しみ、ビルドアップしようかという1つ目か2つ目のパスですでにミスが出てしまうほど。特に徳田、青木の右サイドは徹底的に狙われていて、そこでのボールロストが目立っていました。で、「まあでも、このままだとさすがに青森山田も体力がもたないだろうから」と思っていた15分過ぎには、青森山田がアッサリとプレスを捨てて3ラインのブロックディフェンスにシフトチェンジ。それもスライドが非常に綺麗で、潰しどころも「ブロックの外で受けたサイドプレーヤー」とハッキリしていて、さてこれはどうしようか…と思い始めたところでジワジワ存在感を増してきたのが五勝出でした。ブロックディフェンスに変わり、東京のCBに対して青森山田のFWが全くと言っていいほどちょっかいを出さなくなったために、CBがかなり余裕を持ってボールを保持できるようになったんですが、チームを落ち着かせる横パス、ブロックの隙間を狙ってポジションを取った選手への縦のショートパス、裏を取ろうとする選手へのロングパス、さらにドリブルでの持ち出しなど、1年生とは思えない冷静さとビルドアップ能力で、東京が主導権を取り戻し始める一の矢として、十分すぎる働きを見せてくれました。五勝出のプレーを見るのは初めてで、しかし周りの方からはこういった仕事ができるプレーヤーだと聞かされていたので、納得と驚きとが共存する不思議な印象を持ちましたが、平出、松藤の系譜を継げるプレーヤーが出てきたな、と一人ニヤニヤしていましたね。
 二の矢は野沢。これは土屋さんも書かれていますが、それまではFWとMFのブロックラインの間で受けようと動いていました。しかし25分過ぎからはCBのラインまで下りてきてボールを受け、意識的に配給役を引き受けると、ブロックを壊すまでの破壊的なパスは出ないものの、的確なコントロールにより簡単なボールロストは減り、テンポよくショートパスを出すことで攻めにリズムを生まれてきました。同時に、ここまで比較的横並びだった2トップが、アモスが1トップ気味、冷岡がトップ下という縦の関係になり、冷岡がDFとMFの間の嫌なところでボールを受けようとする仕草を見せ始めました(もっと前からそうだったかもしれませんが、私が気付いたのはこのぐらいの時間ということで)。直接冷岡にいいボールが入ることはほとんどありませんでしたが、しかしそこにいることによって青森山田のダブルボランチが冷岡を気にしたのかスライドしきれないことが増え始め、潰しどころであるべきサイドにボールが入った時に数的有利の形を作れず、1対1ややや後追いの守備が見られ始めます。これが、土屋さんも書いていた「急速に輝き始めたのは、右の青木と伊藤のユニット」につながった気がします。例えば、石井が青木に食いついても伊藤への寄せが足りず出されるとか、逆に伊藤に食いついても青木のオーバーラップのケアに人を回せず出される、と言った具合。
 そして、三の矢が二瓶。序盤はサイドで窮屈そうにしていましたが、右同様左も前を向いて勝負できるようになると、33分に相手を引きずりながらの力強いドリブル突破から冷岡のあわやのシュートシーンを演出しました。ブロック(ゾーン)ディフェンスを破るのは、その組織の合間を縫って、相手の整った守備を破壊できるドリブルというのはよく言われる点ですが、まさにその仕事を二瓶がし始めるとこれが決定打となり、前半の残り時間は圧倒的な東京ペース。ラインのスライドが完全にずれ始め、ポジション取りが重なったり、いるべきところに人がいなくなったりとブロックに綻びが目立ち始めましたし、何より二瓶自身が先のワンプレーで完全に流れに乗り、いい意味で相手を見下すかのごとく次々と仕掛け始め、それがことごとくチャンスにつながる好循環。結果的にここで得点を取りきれなかったのがあまりにも痛かった、ということになってしまいましたが、1、2年生が躍動するこの時間帯は見ていて本当に楽しかったです。


 後半。ハーフタイムを挟んでも二瓶の勢いは衰えません。それどころかますます輝き始め、縦へ勝負すれば相手を置き去りにし、中へのカットインで勝負すれば1人、2人と振り切り、クロスにシュートに獅子奮迅。当然そこに人が寄せられるので逆サイドも空き、49分には伊藤に丁寧なスルーパスを送り、これを伊藤が冷静に流し込んで…はこれまたオフサイドでしたが、二瓶の勢いそのままに、今度は東京が立ち上がりの主導権争いに勝利しました。が、好事魔多し。先制したのは青森山田でした。55分、差波がCKを蹴ると、ファーサイドでフリーになっていた舛沢のヘディングシュートが決まります。蹴る前にフィールドプレーヤーが全員集まって輪になり相談していたので要警戒シーンではありましたが、ニアにまず1人入り、遅れ気味にもう1人入り、さらに大外に1人逃げることでスペースを作るという動きにまんまとしてやられました。
 いい流れだっただけに、これで集中が切れなければいいけど…という心配が頭をよぎりました。が、今日の二瓶には1人で劣勢を跳ね除ける力がありました。59分、自らのドリブル突破→シュートで得たCKでストレート系の綺麗なボールを入れると、これに合わせたのはアモス!短い助走からのスタンディングジャンプだったと思いますがこれが非常に高い打点で、野坂も手には当てましたがヘディングシュートの勢いがそれを勝り、ネットが揺れました。今年の東京U-18は点を取ることに非常に苦しんでいます。その中で出番を掴んだアモスがゴールという結果を出してくれたのは、本当に嬉しいの一言。ゴールシーン以外にも相手を背負ってのキープ、裏への抜け出し、ルーズボールでの競り合い、フォアチェックなどFWに求められる全ての仕事で及第点かそれ以上のプレーができていた印象で、チームを大いに助けていたと思います。その後も流れを手放さなかった東京。キレキレofキレキレの二瓶が立て続けに野坂を脅かすと、63分には冷岡→34鴨池の交代を行い、前線の機動力アップを図ります。65分には野沢が飛び出してきてシュートを放つなど3列目までがしっかり攻撃に絡んだかと思えば、69分にはアモスのタメから伊藤が完全に裏を取るなど狙い通りに多種多様な攻撃を繰り広げることができ、青森山田守備陣を次々慌てさせました。しかし、ここで目立ったのが舛沢。直接的には69分のシーンで伊藤の突破を絶妙なカバーリングで防ぎ、間接的にはしっかりと声を出して体勢の立て直しを図り、最後の最後で追加点を与えることを許しません。昨年東京と対戦した際は彼の責任、というのは厳しすぎるにしても、結果的に失点の要因となってしまったプレー(GK三浦のフィードを後方に逸らしてしまい、その流れで失点)があり、その苦い思い出が残っていたはずですが、1年経って体も大きくなり、声も出るようになり、DFリーダーとしての存在感というものは十二分に見せてくれたように思います。
 で、こうなるとサッカーってのは面白いもので、決めきれないチームには女神様がそっぽを向くんですよね。土屋さんのブログによると、黒田監督はハーフタイムに「あのサッカーじゃ90分は持たない。相手がポゼッションしている時は無理に行かず、自分たちもポゼッションして相手を消耗させれば、こっちが走り負けることはない」と指示したとのこと。個人的にはそこまで運動量が落ちたとは思っていませんが、しかしジワジワ青森山田が押し返し始めたのは事実。その中心にいたのが差波と椎名のダブルボランチでした。差波は前半からさすがの存在感を見せていて、パスの出しどころ、目のつけどころは非常に良く、後はキックの精度さえ合ってくれば…という流れでプレーしていましたが、70分過ぎからはその精度がかなり高まってきて、味方にピタッとパスが合うシーンが増えます。と同時に、積極的に前目のポジションを取り始め、流れの中でトップ下の位置まで上がるようになり、攻めの厚みを増すことにしっかり寄与できていました。それを可能にしたのが椎名。正直、前半と後半のここまでのプレーぶりには不満が残りました。DFラインがボールを持っている時にボールを引き出す動きをハッキリするでもなく、かと言って積極的に前へ飛び出して行くでもなく、攻撃においては文字通り「中途半端」でした。しかし、相手と体をぶつける、ルーズボールにしっかり食らいつくという守備においては仕事ができていて、後半もそこをサボらずにしっかりやり続けているうちにようやくリズムが出てきたのか、試合の流れが変わり始めるあたりから彼のボールタッチが増えて、低い位置でのビルドアップができるようになりました。これにより、差波がその仕事を椎名に任せて前に上がって行けたように思いますし、椎名は低い位置からボールを配給し、差波は高い位置でボールをキープするという軸がハッキリしたことで、サイドプレーヤーが恐れなく前を向いて勝負できるようになり、東京守備陣も的を絞れなくなったんではないかと。
 そして90分、ややごちゃごちゃっとしたシーンを経てボールを持ちきった差波が、逆サイドで完全にフリーになっていた林をすばやく視野に捉え、的確すぎるループパスを送ります。この時点では林は谷との1対1状態。しかし、そのまま勝負せずに右足にボールを持ち替えてしまいます。このわずかなもたつきを見逃さなかったのが五勝出。懸命にゴール前に戻って林の視野へ入り込み、持ち替えた右足で林が放ったシュートをブロックしました。試合終了後、ベンチに戻った林を捕まえて黒田監督が結構長い時間話をしていましたが、おそらくこのシーンについての判断について言っていたんではないかと推測。それぐらい、ベンチとしては決めてほしい、見ている側としては「やった!(やれれた!)」と思うシーンでした。東京も最後まで攻めの気持ちを失わず、アディショナルタイムに2つのチャンスを得ますが、いずれも惜しい止まりでゴールは割れず。結局1−1のドローで試合は終了しました。


 東京から。苦しいスタメン構成だったとは思います。しかし、冒頭でも書いたとおり倉又監督が「実力で取ったスタメン」として自信を持って送り出した11人は、これまでの突き抜けきらないモヤモヤをいくらかは晴らしてくれるプレーをしてくれたと思います。上では触れませんでしたが、伊藤も本当によかったです。特に、自分とは逆サイド(=左サイド)にボールがある時に自分が何をすれば相手の脅威になるか、というプレービジョンが素晴らしく、タイミングのいい顔出しと裏への抜け出しで、青森山田の新井、縣をかなりのシーンで慌てさせました。惜しくもオフサイド2つで認められませんでしたが、前後半1度ずつゴールネットを揺らしたのは自信にしていいはず。当然このポジションは福森がファーストチョイスだと思いますが、後半戦で十分に戦力になることを内外に知らしめたことも事実。3年生が様々な理由で苦しむ中、アモス、二瓶、野沢、青木、五勝出らを含めた下級生の突き上げが刺激にならないはずがありません。そして、3年生はこのプレーを見て何かを感じて、後半戦意地を見せてほしいなと願うばかりです。試合が始まれば年なんか関係ないけど、それでもやはり最上級生というのは、やってもらわなければ困るわけですから。
 青森山田。全国で準優勝を果たした時と比べると、個のレベルにおいて物足りなさは感じてしまいました。しかし、全員がしっかりと声を出せていたり、試合中にコミュニケーションを取って修正を図ったり、あるいはこれまでにはなかった積極的な3人目の動きがそれなりにあったりと、チームで戦うという点については期待していた以上のものを出してくれたように感じました。そういう点では、総合力で戦うプレミアリーグで上位につけながらも、局面での個の力が結果を左右することが多いトーナメント戦である高校総体で初戦敗退となったことは、個人的にはストンと収まりがついたかなと。次にいつ見ることができるか分かりませんが(10/10の三菱養和戦@養和巣鴨、かなぁ)(青森には行きませんw)、このまま総合力を高めつつ、個で勝負できるシーンを増やせるように励んでほしいと思います。


P.S しかし、引き分けは一番望まない結果でしたわー。どちらが勝つにせよ「よし、勝った!」と(東京が勝てば身振りで、青森山田が勝てば心の中で)ガッツポーズできるのが俺ダービーの醍醐味なのに、それができなかったわけですから(苦笑)