続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

大宮戦と、湘南戦

Jリーグディビジョン1 第24節 東京0−1大宮
Jリーグディビジョン1 第25節 東京3−0湘南


 「してやられた」大宮戦と「してやったりの」湘南戦。端的に言えば、そういう印象を持ちました。


 大熊監督となって初戦の大宮戦。意思統一が図られているとは言いがたい中、それでも澱まずにサッカーをしたいという意図はしっかりと汲み取れる内容で、少なくとも60分までは希望を持って試合を見ていました。しかし、思ったより早い時間に運動量の低下が見て取れるようになり、そこに63分の藤本→石原という交代(イ・チョンスを右SHに落とし、石原とラファエルの2トップにした)というアクセントが加わったことで試合は一気に大宮ペースになり、ラファエルの幻のゴールを挟んで73分に失点。それをはね返せず敗れる結果となりました。大宮からすれば、東京が新監督になり、かつホームゲームということでスタートからアグレッシブに来る時間帯を耐え切れれば…というプランはあったでしょうけど、その通りにしてやられた(スタミナ切れと選手交代後の勢い減退はちょっとビックリなレベルだった…)、その通りにさせてしまったことは、個人的にはあまりにもショックが大きかったですね。負け惜しみですけど、大宮が勝つにはそれしかなかったわけですし。


 その敗戦を受けての湘南戦。前日に近いところにいるチームが軒並み負けてくれた状況も踏まえれば、勝ち点1すら許されない大宮戦より難しいシチュエーションの試合だったと思います。そう考えれば、この状況でしっかりと勝ちきってくれた選手たちを素直に称えたいですし、それをアシストしてくれたクロスバーさんに御礼申し上げなければ…ってところは半分冗談ですが、しかし、寺川のあのシュートが決まっていたらというのを考えれば考えるほど身の毛がよだつと言いましょうか、身体から変な汁が出てきますし(苦笑)、反町監督が会見で比較的強気なこと、前向きなことを言っていた(でも、残り10試合を切って現在の順位にいる)のも頷ける試合展開で肝を冷やした部分はあります。あの2分間で試合を決めてしまったのは、してやったりでしょう。
 勝って気分がいいところで、前向きに試合を振り返ってみます。得点シーン前までに強く印象に残っていたのが、「CK(FK)に少し工夫でてきたな」「センターサークルは立ち入り禁止?」「平山、もうちょっと受けてくれないかなぁ…」の3点でした。1つ目。時間は忘れましたが何本目かのCKの際に、「大黒がボールに近づいて相手をつり出して、そのあと立て続けに2人同じようにファーからニアによって中を開けて、フィニッシャー(このときは徳永だったような)を混雑から解消する」という動きがありました。これを見ておっ、と思ったところなんですが、正直城福監督時代には「セットプレーの練習してますの?」ってくらい、中の動きに工夫がなかったという印象を持っていまして、せいぜい今ちゃんの個人技的なファーサイドでのポジション取りか簡単なブロックから森重かヨングンが…(しかも、シーズン当初はヨングンがカウンター対策要因として守備に残っていたなんて事も)ぐらいしかパターンがなかったはず。それは、平均身長が決して(平山がいなければなおさら)高くないチームにあっては致命的な欠陥と言っていいもので、それが大熊監督になってどこまで変わるか、という点には少し注目していたので、何だかホッとした自分がいました。相方にも「ボールさえ合えば1点取れるよ」って話した記憶がありますし。その得点シーンについては、もう大黒さすがやわ、のみですね。ニアに走りこんだ自分の頭をボールが超えて終わり、という選手はごまんといますけど、このシーンではすぐに反転してファーに動き直し、結果そのわずか数mの動き直しのおかげでボールを叩けたわけですから。本人は「常に狙っている形」と冷静に言ってのけましたが、これができるかできないかは大きな違いですよ。競り勝った今ちゃんもさすが!今後については、上背で劣る相手に同じようなことができるか、でしょうね。
 2つ目。これはボランチ2人への要求というか希望なんですが、とにかくこの試合はセンターサークル内でボールを受ける機会が少なかった印象がありまして、単純にもっと中央で、相手のブロックの中でボールを受けて欲しいなと。徳永・森重コンビで数試合重ねるうちに、「とどまる徳永、飛び出す森重」という役割分担が明確になってきたこと、その森重の前線への飛び出しが攻撃のスイッチとなるシーンが何度か見られたことはいいことだとは思いますが、しかし第一義的な役割としてもう少しビルドアップ時にDFラインの前にドシッと構えてボールを引き出す梶山みたいな仕事をしてくれれば、より飛び出しも活きてくるのかなと思うところ。徳永がその役割を担おうという意図は垣間見えましたけど、どうしても「自分が欲しいポジショニング」優先になってしまって、結果それは相手のプレッシャーから逃げる形のポジショニングになってしまうのがボランチ・徳永の限界というか…まあ、本職じゃないし、そこだけを論って批判するのはかわいそうな気もしますけどね。あと、森重はちょっと簡単なボールロストが多いかな?とも。この辺は、大熊監督も「ボランチ・今野」に対して相当な色気を持っている発言をしましたが、梶山、米本の怪我の具合や、「リカ・石川」をSHで固定するならボランチ・羽生も…など含めて、今後どう判断するのか注目ですね。
 3つ目。大熊監督になって明確に「縦への意識」が変わった中、しかしただ縦に急ぐだけでは逆にこちらが間延びしてしまうし、相手もワンパターンではやりやすいわけで、その縦への意識をどう「相手を広げさせるか」に繋げなければいけないところ。そのためには、DFラインに対し「前も後ろも脅威だな」と思わせるのが一番手っ取り早い方法で、平山と大黒というコンビのパーソナリティを考えれば、当然DFラインの前では平山が、後ろでは大黒がプレッシャーをかけ続けるのがスムーズ。3点目は平山がしっかりとDFラインの前で仕事が出来たことで生まれたゴールで、総じて見れば、この日はいい平山だったと思いますが、しかし時間帯によっては大黒と動きが重なってしまったり、無理に裏を狙ったりというところもありました。当然それは、ゴールを欲しての動きだと理解しています。今季ここまで2ゴールですから、そういう意識になるのも理解できます。しかし、まずはチームのために、多少我を押さえることになったとしても、「いったん受けてから出る」という動きを第一に考えてプレーして欲しいというのが個人的な思いです。見習うべきは、前田遼一ですよ。


 と、長々書きましたが、やっぱり勝利を告げるホイッスルを聴くのは、最高のカタルシス。そして、勝ってスタジアムを後にできる、笑顔で、前向きに試合を振り返ることができるのは、嬉しい限りです。もちろんこの1勝が何かを保証してくれることはありません。残り9試合、少なくとも4勝、できれば5勝しなければいけない状況が続きます。しかし、勝ってインターナショナルマッチウィークを迎える(ミニキャンプを行う)ことができるのは、プラスにはなれどマイナスになることはあり得ないわけで、天皇杯もいい形で乗り切って、アウェー仙台戦に万事整えて臨んでほしいと思います。