続々々・メガネのつぶやき

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10−11 その10 セリエA第1節 ミラン−レッチェ

 アッレグリ新監督の下でスクデット奪還を目指すミランが、1年でセリエAに戻ってきたレッチェをホームに迎えての1戦。8/29のゲームでした。
ミラン 4−0 レッチェ
得点:14、28分 A・パト(ミラン
     23分 T・シウバ(ミラン
     90分 F・インザーギミラン
MOM:ロナウジーニョ

バカンス時に感じさせた心配はどこ吹く風。未だに空振りさえも絵になる極上のエンターテイナーであることを見せ付けた90分。見た目の華やかさと実効性が噛みあっているのは好調の証で、今季は何か大きな仕事をやってくれる予感を与えた


 試合は、前半のキックオフを得たレッチェの積極的な攻撃で幕を開けました。お互い攻撃的な姿勢が持ち味だけに、「これはアグレッシブな試合が見られるか?」という期待がふくらみましたが、互いに攻め合う姿勢が見られたのは10分もあったかなかったかぐらいで、あっさりとミランがペースを握ります。レッチェは4−5−1の形でややラインを下げて、自陣にボールが入ったところでチェックにいくというやり方だったと思いますが、アンカーに入ったピルロに対して誰がいくのかはっきりせず自由にやられてしまったこと、そして、ダミーチェックというか、俗に言う「人がいるだけ」になるシーンが多く、狭い中央のスペースをいいように突かれたかと思えば、中に人が絞りすぎてサイドをフリーにしてしまうなど、バランスの悪さばかりが目に付く守備になってしまったことが原因だったかと。
 そんな展開の中で、ミランに次々とゴールが生まれたのは必然と言えば必然。16分、ボッリエッロのポストプレーでの落としをアンブロジーニが受け、うまく相手をひきつけた上で右サイドを並走していたパトへパスを送り、パトはワントラップから右足を鋭く振り抜き逆サイドネットへ強烈なシュートを叩き込んで1−0と先制。さらに23分にはCKから生まれたゴール前の混戦からT・シウバがゴールへ押し込み2−0とすると、立て続けに28分には、中盤でボールを奪ったアンブロジーニから中へカットインしてきたロナウジーニョへパスを送り、さらに逆サイドからカットインしてきたパトがロナウジーニョからのスルーパスを受け、パトがGKとの1対1を冷静に制してゴールを決め3−0。あっという間にミランが試合を決めてしまいました。この間(終わってみれば試合全体を通して、ですが)輝いていたのがロナウジーニョ。運動量の少なさや守備のしなさは相変わらずでしたが、それらを補って余りある攻撃面での貢献度の高さをこの試合では見せたかなと。昨シーズン後半から慣れ親しんだ3トップの左サイドを任されていて、昨シーズンも時折バルセロナ時代を思い起こさせるパフォーマンスを見せてはいましたが、シーズン頭からこれだけのプレー−巧みな足技と駆け引きで相手をあざ笑うかのようなフェイント、ノールックやヒールなどの多彩なパス、サイドからのカットイン、味方のフリーランを引き出す「タメ」、果てはラボーナや豪快な空振りまで−を見せてくれるとは思っても見ませんでしたね。その後、レッチェは3失点目の要因となった左SBのジュリアットを32分という早い時間に下げ、交代でチェバントンを入れて4−4−2にして打開を図りますが流れは変わらず、スコアこそ動きませんでしたがミランはあと2、3点入っておかしくないプレーを見せ、3−0というスコア以上の内容で(3−0でこういう言い方はあまりしないと思うんですが、それぐらい力量差があった)前半は終了しました。
 後半。ハーフタイムでレッチェが最低限の整理を行い、かつミランがさすがに3−0になって少しペースを落とした(緩んだ、とも言えるかな?)ことで、レッチェにもチャンスは増えていきましたが、ゴールを得るまでには至らず。ミランも早めにF・インザーギを入れて前線の活性化を図ったり、76分にはミランデビューとなるボアテンクを入れてスタジアムを盛り上げたりしますが、こちらも攻撃がやや大味なものになり追加点を奪うまでに至らず。このままマターリと試合終了…とさせなかった男が1人。それが、F・インザーギ。90分、中盤からガットゥーゾがボールを運びエリア付近に侵入。一度はDFにカットされるも、そのこぼれ球がフォローに入っていたボアテンクの足に当たり、上手い具合にエリア内に転がります。これにいち早く反応したインザーギが右足で力強く叩き込み、4−0となりました。投入直後かららしい裏への抜け出しやDFを出し抜く動きで2、3度決定機を得ていましたが、最後の最後で決めるあたりは、さすがピッポや!と言わざるを得ませんね(笑) そんな綺麗な締めもありつつ、ミランが新体制での開幕戦を圧勝でものにしました。


 ミランアッレグリ新監督がどこまで現有戦力の力を最大限発揮させるか?というところに注目が集まっていましたが、かなりいいスタートを切ったといっていいんじゃないでしょうか。「4−2−ファンタジーア」からピルロがアンカーの4−1−2−3への移行もスムーズだったと思いますし。さらに、昨シーズンから引き続く緊縮財政路線により今オフもビッグネームの補強がなかった中(アメリアやパパスタソプーロスといった渋い補強はありましたが)、終盤に来てW杯で名を上げたボアテンク、そしてバルセロナからイブラヒモビッチを獲得するなど、大きなピースも獲得することに成功。今季は「真の優勝争い」に再び参加できる資格はあるなと思わせるに足る開幕戦だったと思います。
 レッチェ。勝つことは難しかったかもしれませんが、ちょっと腰が引きすぎだったかなと。後半は(ミランがペースを落としたとはいえ)ある程度意図を感じる攻撃も見せていただけに、ちょっともったいない入りをしてしまった感じはあります。今後は攻撃陣を如何に気持ちよくプレーさせられるか、「攻撃のための守備」ができるかに注目ですかね。