続々々・メガネのつぶやき

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10−11 その7 CLプレーオフ セビージャ−ブラガ

 1stレグはブラガが1−0と、アウェーゴールルールのあるホーム&アウェー戦では理想的なスコアで先勝。そのままブラガが押し切るのか、それともセビージャが逆転するのか。8/24のゲームです。
セビージャ 3(3−5)4 ブラガ
得点:31分 マテウス(ブラガ)
     58分 リマ(ブラガ)
     60分 L・ファビアーノ(セビージャ)
     84分 J・ナバス(セビージャ)
     85、90分 リマ(ブラガ)
     91分 F・カヌーテ(セビージャ)
MOM:マテウス

小気味いいドリブル、DFを置き去りにできるスピード、ブラジル人らしい駆け引きでセビージャ守備陣を翻弄。今季のブレイクを予感させるパフォーマンスだった。


 試合はやはり勝たなければいけない(少なくとも得点を奪わなければいけない)セビージャが立ち上がりからエンジン全開で入り、1分にはオフサイドとなりましたが(疑惑の判定だった)早速ゴールネットを揺らします。その後もJ・ナバス、ペロッティの両SHのドリブル&クロスから幾度となくブラガ守備陣に襲い掛かりますが、その両選手が1対2、1対3という数的不利の状態でプレーすることが多く(=サポートの動きが足りない)、クロスもカヌーテ、L・ファビアーノの頭をめがけてというやや単調というか素直なボールばかりで、冷や汗をかかせるまでには至りません。一方のブラガですが、試合を見るのはもちろんこれが初めてでしたし、プレーを知っている選手がほとんどいなかったんですけど*1、1−0というスコアを最大限活かすための戦い方−守備重視ではあるが、アウェーゴールを奪う意思はしっかりと見せる−ができていて、正直驚きました。スポルティングポルトを抑えて2位になったのも頷ける感じ。
 で、セビージャはブラガの守備に手を焼き、時間が経つにつれ足下へのパスが増え、複数人が絡む攻撃をほとんど見せられなくなっていきます。守備陣もカウンターへのリスクマネジメントがやや甘いようにも見えていました。そんな中迎えた31分、自陣深くでボールを奪ったブラガは、セビージャ各選手のプレスを3本のパスでかいくぐり(とはいえ、奪われてからの切り替えの早さやプレスにいくタイミングは間違ってなかったと思う)、ハーフウェーラインあたりからパウロ・セーザルがドリブルを始めます。この時点では3対4とセビージャのほうが数的有利でしたが、だれもセーザルにチャレンジできない(しない)ままズルズルと下がるばかりで、悠々とボールを運んだセーザルはペナルティエリアの手前でシュートを放ちます。しかしシュートはパロップの正面に飛び、事無きを得た…かと思った瞬間、パロップはこれを押さえることができず前に弾いてしまいます。そのこぼれに反応したのはマテウス。リカバリーをはかるパロップを冷静に外したシュートはゴールに吸い込まれ、ブラガが願ってもないアウェーゴールを早い時間に手にします。まあ、何もできなかったDFラインもダメでしたが、はっきり言ってパロップの凡ミスだと私は思います。その後もセビージャはどこか歯車が噛み合わないまま攻守ともに中途半端なプレーに終始。観客の落胆とブーイングを浴びながら、前半終了のホイッスルを聴くこととなりました。


 後半。セビージャはやや持ち直したようにも見えますが、それでもボールの回りはまだぎこちなく、フィニッシュへの道筋も単調と言わざるを得ない内容が続きます。その中でチガリーニがちょっとね…という印象はあったので、アルバレス監督がどの時間帯で決断をするかに注目していましたが、先に動いたのはブラガのドミンゴス監督。すでに1枚イエローをもらい、更にもみ合いで熱くなっていたアギアルに代えてリマを投入します。すると、これが大当たり。58分、(バンジーニョかセーザルかはちょっとメモを取りきれませんでしたが)中盤の選手から裏へ抜ける動きを見せたマテウスにスルーパスが出て、これを受けたマテウスがまたぎフェイント1発でコンコを引き剥がしクロス。DFに当たってコースが変わるラッキーこそありましたが、このクロスが中へ詰めていたリマの足下へピタリと通り、リマが冷静に流し込んで0−2になります。マテウスに振り切られたのはともかく、その前のスルーパスを簡単に出させたり、リマに対して2人いたのに何も出来なかったりと、お粗末な守備でした。
 その後ようやくセビージャが反撃開始。60分にL・ファビアーノが反撃のゴールを決め(こちらもGKの凡ミスでした(苦笑))、さらに61分にチガリーニを諦めレナト(同時にコンコ→ホセ・カルロス)を投入してリズムチェンジをはかり、同時にブラガが68分にセーザル→パウロンという交代でシステムを5−4−1にしてブロックを下げて守る形にシフトしたことで、セビージャがようやくボールを持つ時間とセカンドボールを拾える回数が増え、ググッと押し込む展開に。84分にはDFラインからのフィードをカヌーテがフリックし、それに上手く反応したJ・ナバスがエチエジレを振り切ってGKとの1対1になり、これを冷静に制してゴール右隅に流し込んで2−2の同点に。あと2点とれば大逆転。さすがにブラガの各選手にも守り疲れが見えていて、もしかしたらもしかするかも…という空気がサンチェス・ピスファンに流れます。
 が、試合はここから思わぬ展開に。85分、ブラガがキックオフから1度も相手に触らせないまま数本のパスで最終ラインを破ると、抜け出したリマが飛び出してきたパロップも交わしてそのまま無人のゴールへ「パス」を決めて2−3に。J・ナバスのゴールリプレイを見ながらその流れのメモを取っていたんですが、メモを終える間もなく実況の加藤暁さんの「あーっと!」という声が聞こえてきたので最初何が起こったか全く分からなかったんですが、まあ何やってんだか…としか言いようがありませんでしたよ。スタジアムもそんな感じ。さらに90分、CKのボールをリマがニアサイドからのバックヘッドで決めて4−2。もう、完全にDFの集中力は切れていましたね。その後カヌーテがナバスのクロスをヘディングで豪快に決めて3−4にしますが、もはやこれは焼け石に水でこのまま試合は終了。思わぬ乱打戦になりましたが、ブラガががっぷり四つの形でセビージャを下し、クラブ史上初のCL本戦出場を決めました。


 ブラガ。ワールドクラスと呼べるほどの選手がいないのは事実ですが、それでも身の丈を知っている分、非常に整ったサッカーをするなぁという印象を受けました。これは偏にドミンゴス監督の手腕と言ってもいいでしょうし、監督の意向を受けて自分は何をしなければいけないか、何がチームを助けるのを個々がしっかりと理解しているという面も強く感じました。もちろん、本戦での苦戦は必至だと思いますが、この日のように腰を引かず戦ってほしいと願うばかりです。
 セビージャ。この試合の3日前に、スペイン・スーペルコパでバルセロナに0−4でやられており、これで公式戦2試合連続の4失点。その中で守備の要だったスキラシがアーセナルへ移籍してしまいましたし(バレンシアのアレクシスを代役として確保はした様子)、ここを立て直さないことにはリーガでも苦戦は免れないかと。攻撃陣も、中盤でゲームをコントロールできる選手(チガリーニがその役回りを期待されていると思うんですが…)が必要な気がします。ナバス、ペロッティ、カペルとサイドを崩せる選手はいるんでね。

*1:メンバー表を見てブラジル人だらけでワロタw