続々々・メガネのつぶやき

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10−11 その4 ブンデスリーガ第1節 ドルトムント−レバークーゼン

 昨年5位のドルトムントが、前半戦のブンデスリーガを引っ張ったレバークーゼンをホームに迎えての開幕戦。8/22のゲームです。
ドルトムント 0−2 レバークーゼン
得点:19分 T・バルネッタレバークーゼン
     22分 R・アウグスト(レバークーゼン
MOM:S・ヒーピアレバークーゼン

高さとポジショニングでバリオスを完封。ライナルツとのコンビやコーチング、カバーリングにもミスがなく、ベテラン健在を十二分にアピールした。


 立ち上がりはお互い中盤(特にボランチ)でボールが収まらず、連続してショートパスがつながらない展開に。ボールの行く先はあやふやで、香川も5分近くまともにボールを触れず、スタジアムのテンションとは裏腹に低調な入りとなりましたが、先にチャンスをつかんだのはドルトムント。9分、フンメルスからのロングフィードがピンポイントでグロスクロイツに入り、そのまま中に走りこんできた香川に落とし、受けた香川が素晴らしいファーストコントロールでDFを振り切ってアドラーと1対1に持ち込みますが、シュートは正面をつき惜しくもゴールはなりませんでした。これでドルトムントがペースをつかむ…かと思いきや、むしろ徐々にレバークーゼンのペースになっていきます。
 理由はドルトムントの守備のほつれ。どうやら昨シーズンから「4−2−3−1でFWバリオスを最前線に残し、残り9人が自陣までブロックを下げ(=CBには食いつかずにあえて持ち込ませ)、自陣に入ったところで複数人がボールに対してアグレッシブにチェックに行って奪い取る」というやり方を取っているようで、この試合もその傾向は見られましたが、まず食いついたあとのカバーがやや緩慢だったこと、そしてDFラインがキースリンク、デルディヨクという強力2トップを警戒してか思っていた以上にラインを落としてしまい、DF−MF間が若干間延びしてしまった印象は立ち上がりから受けていました。その中で先にビックチャンスをつかんだことが「MFはさらに気持ちが前に行き、しかしDFラインは2トップを警戒してラインを上げられず」というマイナス面に作用してしまい、2ラインの間延びが「若干」から「そこそこ」(ニュアンスが伝わりづらかったら申し訳ないw)になったところを立て続けにつかれる格好になってしまいました。
 まずは19分。右サイドライン沿いでボールを持ったビダルに対し2人が、その前でボールを受けようとしたR・アウグストにもしっかり1人がつき、ドルトムント守備陣が3対2という数的優位の状況を作ったにもかかわらず巧みなワンツーで抜け出され、そのままビダルがクロス。これをフリーで受けたバルネッタがワントラップから冷静にゴール左隅にシュートを決め、レバークーゼンが先制します。その余韻が覚めやらない22分、すぐに追加点が生まれます。アドラーのフィードをキースリンクがやや無理な体勢ながらも頭で落とします。このパントキック時に、ドルトムントはDF−MF間が相当間延びしていてDFラインの4人しかボールサイドにいなかったため、キースリンクが落としたボールに反応したアウグストに対して誰もチェックに行けず、そのままフリーで持ち込んだアウグストがデルディヨクとのワンツーでDFラインを破り、そこから冷静に左隅へシュートを決めて2−0となりました。1失点目は「カバー遅れ」、2失点目は「間延び」が原因でしたが、そこを見逃さないレバークーゼン攻撃陣はさすが、という感じでした。
 で、ホームでこれ以上不甲斐なさは見せられず、反撃に出たいドルトムントでしたが、この日はケール、シャヒンのボランチコンビが低調で、チェックが甘くてフリーになれるシーンが幾度となくあったのにパスの精度を欠いたり、そもそもパス出しのタイミングが遅かったり、ドリブルもキレがなかったりで、度々奪われてはカウンターを浴びる要因に。おのずとバリオスや香川ら2列目の選手がいい形でボールを持てる形は少なく、チャンスは単発で作ったのみ。前半はこのまま波なく0−2で終了しました。


 後半、ドルトムントが巻き返しに入ります。その中心は香川。おそらく指示があったんだと思いますが、意識して香川にボールを集めるようになり、香川もタッチ数が多くなるにつれリズムをつかんでいき、ゲッツェバリオスらを走らせるパスや、ドリブルからのシュートなどらしさを見せ始めます。前半からあったビダルとのツヴァイカンプ*1も相当面白かったですし。しかし、ここで立ちはだかったのがヒーピアバリオスポストプレーや裏への抜け出しをほぼシャットアウトしただけでなく、2列目からの侵入に対してのカバーリングコーチング、ライナルツとのコンビ、セットプレーにおける高さなどほぼ全方位において守備陣の中心として立ちはだかり、ドルトムントは最終ブロックを破れないでいるうちにリズムを失っていきました。ケールを下げて投入したレヴァンドフスキも強さは見せたもののフィニッシュ面での仕事はできず、ランゲロフ投入から右サイドが一時的に活性化するも、クロスは実を結ばず、時間はただ過ぎていくばかり。最終盤は攻め疲れたドルトムントに対してレバークーゼンの2トップがカウンターでそれぞれ決定機を1度ずつ得るなど押し返されるシーンがあったりもして、このまま0−2で終了。レバークーゼンが完勝と言っていい内容で開幕戦を白星で飾りました。


 勝ったレバークーゼンから。攻守のバランスは非常に良かったと思います。ブンデス復帰で話題となっているバラックこそ全く目立ちませんでしたが(笑)(コンディション的に仕方ないか)(でも浮気騒動って…)、その分はチリ代表でも素晴らしいプレーを見せていたビダルがしっかり埋めていましたし、前線の4人はそれぞれに武器があって破壊力がありますし、カドレツ、カストロの両SBは運動量豊富ですし、ドルトムントとの比較論で言えば、チームとしてまとまっていたように思います。また、この試合での控えは層の薄さをやや感じさせましたが、それもマヌエル・フリードリッヒ、ロルフェスヘルメスらが怪我から戻ってくればある程度解消できるはずで、今年も上位をかき回す存在になることは間違いないと言っていいでしょう。
 ドルトムントはプレシーズン8戦+ドイツカップ1回戦&ELプレーオフ第1戦の計10戦で負けることなく開幕を迎えただけに期待感は大きかったですが、この試合は不発に終わりました。まあ、この日のスタメンで見るとオヴォモイエラの31歳が最高年齢で、平均年齢が23.8歳(ゲッツェは18歳!)という若いチームだけに、ノッた時(自分たちの時間帯)のプレーはともかく、試合中にググッと劣勢を跳ね返すだけの力をどれだけ蓄えられるかがシーズン通しての課題になりそうですね。そして、香川はゴールこそなかったものの、この試合ではベストのプレーヤーだったかと。ジダン、ハイナルとポジションを争うライバルはいますが、これを続けていけば早々容易くポジションを明け渡すことはないかなと。

*1:ドイツ語で「決闘」の意。転じて、サッカー用語としては「1対1」の意。ドイツではこの「ツヴァイカンプ」の回数(=どれだけ1対1を仕掛けたか)を集計しているそうですよ。