続々々・メガネのつぶやき

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10−11 その2 ブンデスリーガ第1節 バイエルン−ヴォルフスブルク

 ブンデスリーガもいよいよ開幕。オープニングマッチは昨シーズンの王者バイエルン対一昨シーズンの王者ヴォルフスブルク。フライデーナイトマッチでした。
バイエルン 2−1 ヴォルフスブルク
得点: 9分 T・ミュラーバイエルン
     55分 E・ジェコ(ヴォルフスブルク
     90+1分 B・シュヴァインシュタイガーバイエルン
MOM:F・リベリーバイエルン

まさに「キレキレ」という言葉で表すにふさわしいパフォーマンス。手術明けとは思えないコンディションの良さで、(プライベート面含めて)やや不安定だった昨シーズンのリベリは忘れたほうがいいかと。


 補強をほとんど行なわず熟成路線を取ったバイエルンと、監督交代含めて一部刷新を図ったヴォルフスブルク。開始直後はそれによる完成度の違いがハッキリと現れた格好となりました。バイエルンが良い、というよりはヴォルフスブルクが上手く行かない、という形で。
 ヴォルフスブルクはベースポジションとして攻撃時は4−2−3−1、守備時は4−1−4−1というシステムだったと思うんですが、守備においては自陣まで(CBに)は比較的楽に運ばせ、ボランチやSBにボールが入ったところからプレスのスイッチが入って、かなり大胆に次々とボールに食いつく守り方をみせました。しかし、アンカーに入ったジョズエがちょっとやりすぎなくらいボールに食いつきDFラインの前が空いてしまうシーンが多く、また、セントラルハーフに入った新戦力のシセロの戦術理解度が低く、立ち上がり早々からポジショニングが中途半端で試合から消える場面が目立ち、それによりボールに食いつくことがポジションに穴をあけることに繋がってしまい、バイエルンにいいようにいなされて回されてしまう流れに。そして9分、右サイドでボールを受けたミュラーがクロースとのワンツーでゴール前に飛び出し、巧みなボールコントロールからGKベナーリオが一歩も動けない見事なシュートを決めバイエルンが先制します。このシーンでも果敢にチャレンジすること自体は悪くないんですが、その後のカバーが少しずつ遅れてしまい、ミュラーの飛び出しを抑えられなかった感じでした。その後もジョズエの食いつきすぎとカバーの意識の薄さは改善されずにバイエルンは容易くゲームをコントロールし、かつリベリの個人技が冴えに冴え、ヴォルフスブルク守備陣はアップアップの状況が続きました。ベナーリオの安定した守備がなければ、早々に試合が決まっていた感すらあります。
 一方の攻撃も、ミシモビッチがコンディション不良とのことでベンチスタートとなり、また、守備時の4−1−4−1から攻撃時の4−2−3−1への移行の際にスッとポジションを変えなければいけない役目だった(はずの)シセロがまたしても中途半端なポジショニングしかできなかったことで相手陣の中央でボールを受けられる選手がいませんでした。そのことでジェコが下がって受けてもそれを近くで受ける選手がいなくて、かといって追い越す選手もいなくてジェコが宝の持ち腐れ状態に。中央がそんなんですから、サイドのマンジュキッチ、ジアニも全くボールが回ってこずに、結局どこからどう攻めるのかが見えないまま前半を終えることになりました。
 バイエルン目線からも少しだけ。やり方が去年から大きく変わった印象は全くないんですが、W杯を経ているにもかかわらず、ドイツ人を中心にコンディションの良さが目立ちましたね。中でもリベリはキレキレ。W杯からフランス代表が早々に退いたこともあって、オフシーズンに鼠けい部の手術を行なったようなんですが、その影響を全く感じさせないプレーぶり。縦へのスピード、ぶつかり合いでの強さ、切り返しの鋭さとそこからのクロスなど多彩なスキルで対面のペカリクをチンチンにしていたかなぁと。W杯でブレイクしたミュラーもゴール意外でも鋭さは見えましたし、レンタルバックで復帰したクロースも存在感あり。しかし、前半のうちに追加点を奪えなかったことが、後半に一山作ることとなります。


 後半。ヴォルフスブルクマクラーレン監督は痺れを切らせてペカリクに代えミシモビッチを投入。前半はセントラルハーフにポジションしていたリーターを右SBに下げ、シセロとジョズエをだぶるぼらんにした4−2−3−1に固定というか、役割をはっきりとさせて来ました。するとどうでしょう、いきなりヴォルフスブルクが目を覚まし、立ち上がり数分でマンジュキッチ、ジェコがそれぞれゴールを脅かすシュートを放ちます。バイエルンは完全に受けに回ってしまい、プレーがいきなり消極的になり、選手間のコミュニケーションがずれたり、ブットのキック下手が顔を覗かせたりといきなりバタバタに。そして55分、ブットの自作自演*1で得たCKで、ミシモビッチのボールをジェコがドンピシャヘダーで決めて同点に追いつきました。ジェコのマークが誰だったのか分かりませんが(バートシュトゥーバーかなぁ?)、完全にジェコが頭1つ抜けていましたね。
 しかし、ヴォルフスブルクがさらに畳み掛ける展開にはなりません。攻撃ではジアニが全く存在感を出せず、ジェコ、ミシモビッチ、マンジュキッチの3人でも攻められないことはないんですが、あと一歩迫力を出しきれませんでしたし、守備では相変わらずリベリに手を焼き続けた上に、果敢なチェックがことごとくファウルになり、カウンターに繋げられません。一方のバイエルンもリベリに攻撃が偏り、右サイドからの崩しが皆無に近かったことで、攻撃のバリエーションが生まれず、試合は膠着状態に突入します。その後もお互い選手交代含めて勝利を目指して戦うも、ゴールマウスを脅かすまでには至らないまま時間だけが過ぎていき、スタジアムのテンションもピークは過ぎたことで引き分けの気配が辺りを支配し始めたまま試合はアディショナルタイムに突入。が、ここでもう一山ありました。91分、バイエルンはCKを得ます。1度はDFにクリアされるも、そのこぼれ球を拾ったコンテントが左サイドタッチライン沿いにいたリベリにパス。リベリは切り返しから右足でファーサイドにクロスを入れると、このクロスが大外から飛び込んできたシュヴァインシュタイガーにピッタリと合い、これをシュヴァインシュタイガーがスライディングしながら右足でしっかりと合わせてゴール!バイエルンが勝ち越しに成功しました。ヴォルフスブルク守備陣は、クリアしたところでほんの一瞬集中が途切れてしまいましたかね。試合はこのまま終了し、バイエルンが勝ち点3をゲットしました。


 バイエルンは上々のスタートとまでは言えませんが、昨シーズンと比べればやはり雲泥の差といっていいほどチームが出来上がっていますね。これは熟成路線の賜物。ここまで各選手のコンディションが整っていたのにも驚きましたし。攻撃面の左右のアンバランスさはロッベンが戻ってくればおのずと解消されるはずで、守備陣の崩れがなければ、今シーズンは堂々と優勝候補筆頭にあげてもいいかな?という印象です。
 ヴォルフスブルクはまだまだマクラーレン監督の意図がチームに浸透していないなと。でもこれは仕方のないところで、問題は如何に早くそれが出来るか。選手の配置含めて8、9月でどれだけ星を拾いつつチームをコントロールできるのか、お手並み拝見といったところでしょうか。長谷部は怪我により遠征に帯同しなかったようですが、シセロがまだまだでジアニが相変わらずなので、戻ってくれば即スタメンかと。

*1:キックミスでボールを相手に渡しシュートを放たれるもファインセーブ、というもの(苦笑)