続々々・メガネのつぶやき

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ナビスコカップ 予選リーグ第1節 東京2−2名古屋 雑感

 年度末でなかなか時間が取れず、国立行きは早々に断念。幸いにもスカパー!フジテレビTWOにて放送があったので、それを録画して見ることができました。


 まずは、やや眠い目をこすりながらだったので怪しいところがあるかもしれませんが、今季ここまでの試合の中で一番面白かったのは議論を待たないところなのかなと。お互いの良さが出て、お互いの悪さも出て、その中で主導権が行ったり来たりして、スコアも内容もシーソーゲームでしたから。
 序盤は苦しみました。ピッチ幅全体を使うワイドな攻撃に対して律儀なまでに応対することで選手間の横幅を広がってしまい、選手同士の間に出来たスペースをケネディや2列目のブルザノビッチやに上手く使われたことでマークしきれない、あるいは完全にズレた状態でボールを持たせてしまい、そこから冷や汗をかくシュートをいくつも打たれました。
 しかし、名古屋が決定機を外し続けてくれているうちに東京守備陣は名古屋の攻撃にアジャストし、18、9分を過ぎたあたりでは逆に主導権を奪い返すまでに。実際20分には羽生がクロスバーを叩く惜しいシュートを放ち、23分には平山が、27分には北斗がもう少しでゴールゲットというシーンも作れました。この時間目立っていたのが徳永。結果的には後半さらにいい仕事をするわけですが、この日はとにかく縦パス、特にバイタルエリアでボールを受けようとする平山や北斗へのパスがバシバシ出ていて、精度も及第点以上。名古屋は中盤が逆三角形の4−3−3で、アンカー(この日はダニルソン)の両脇のスペースは攻める側にとっては一つの狙いどころなんですが、外から入る北斗や下りてくる平山がいくらいいフリーランを見せても、ボールが出て来ないことにはどうにもならないわけで。しかし、この日の徳永はそれしか狙ってないんじゃね?というぐらい縦を、前を意識していて、かつ、意識レベルとテクニックがしっかりと噛み合ったことでいいパフォーマンスを見せられたのかなと。大宮戦まではどうしても懐疑的な目ばかりで見ていた私ですが、このパフォーマンスを続けられるのであれば、仮に梶山が帰ってきてもボランチからベースポジションに戻るのは羽生の方か?という印象に変わりました。
 ただ、先制されたのはいただけません。名古屋の縦に早いサッカーに引きづられるように東京も急ぎすぎる展開が増え、結果としてボールが両チームのゴール前を行ったり来たりする「ピンポンゲーム」にしてしまったのもそうですし、失点は羽生のボールの失い方が悪く、平松のポジショニングとケネディに対する追い方が甘く、権田の飛び出しも中途半端とミスが3つ重なったもので、「最小失点」を目指しているチームとしてはあってはならない形だったのもそう。その後の反撃は単発になり、やや方を落として前半終了。


 東京は怪我の影響もあってかパフォーマンスが上がらなかった羽生に代え森重を投入し、今野をボランチに上げる形で公判をスタートするも、立ち上がりは前半同様名古屋ペース。いきなり48分には平松が千代反田に対してバックチャージした(と思われる)ジャッジでPKを与えてしまいます。ここは権田が1失点目のミスを取り返すようなビッグセーブを見せ命拾いしますが、その後もDFラインではボールは回るものの、リードしていることもあってやや引き気味のポジションでブロックを作る名古屋ディフェンスの前に効果的な縦パスが入らず、まま入っても闘莉王、千代反田に弾き返されてボールが収まらずに、攻めは停滞感漂うノッキング状態に。
 しかし、この空気を変えたのが55分に投入された重松。前線からのプレスに奔走し、相手をずらそうとするポジショニングやフリーラン、また、はてなツイッターで有名な某氏が「マジシャンズセレクト」と評する相手の裏をかくボールタッチでリズムを引き寄せようとエンジン全開で奮闘します。すると68分、センターサークル付近でボールを受けた徳永が、前線右サイドのフリースペースへ絶妙なロングパスを送ると、これに反応した石川が走りこんでボールを受け、しっかりと中の状況を確認してマイナスのクロス。これを平山が冷静に決めて、同点に追いつきました。さすがナオの冷静さや国立男・平山!もそうですが、このシーンに関しては徳永を褒めるべきでしょう。きっと、同じシチュエーションが開幕戦であったとしても、このパスは出てませんでしたよ。こういう「視野の広さ」が絡んだ成功体験を積み重ねられれば徳永も自信がわくでしょうし、チームとしても攻撃の幅が広がるわけで、今後に向けてターニングポイントとなるかもしれない得点シーンだったと(当てが外れているかと思いますが)今のうちに言っておきます(笑)
 ただ、74分に警戒していたセットプレーでついにやられます。前半から名古屋がよくやる「ファーサイドへのプレイスキック→背の高い誰か(笑)が折り返す→マークがずれたところでズドン」という形のセットプレーで2、3度ピンチがあり、その時はシュートミスに救われましたが、これだけ回数があれば1回ぐらいは決まるよな、と。平山が目測を誤ったことはしょうがないとして、その後の他選手のリアクションが鈍かったのは残念。正直に言うと、ここで「このまま終わりかな…」と思ってしまって少しまぶたが重くなったんですが、寝落ちしなくてよかった〜。92分、左サイドでボールを受けた重松は2人からプレッシャーを受けますが、それが緩いとすぐに判断するや2人の間を抜けてエリアへ向かってドリブル開始。いいポジションを取った大竹にパスを送ると、大竹がこれをダイレクト(しかも意図的に浮かした)パス。リターンを受けた重松が思いっきり右足を振りぬき、見事にゴール!土壇場で同点に追いつき、何とか勝ち点1を得て試合終了。ドロースタートとなりました。


 2失点はともに反省すべき点が多いものでしたが、2得点はともに大きな収穫といっていいもので、プラマイゼロか、個人的には今季初めて前向きな気持ちで試合後の数十分を過ごしていました。それは「ボランチ」徳永が一皮向けつつある点であったり、「リスクをともなう」起用で、「オプション」の域は出ないようですけど、久々に今野のボランチを長い時間見れて、しかも動きがよくなっている点であったり、点を奪う最後の仕事以外でのキレや感覚が戻りつつあるナオであったり。
 しかし、一番大きく心に残っているのが、後半東京U−18出身の生え抜きがピッチに4人も、しかも各ポジションに1人ずつ−GK権田、DF椋原、MF大竹、FW重松−立っていたこと。最近ユースを見始めたことで、そして先輩達が東京で、その他のチームでJのピッチに立って戦っていることをこれまでより強く誇りに思うようになっているんですが、怪我人が多く苦しい台所事情の中、青赤魂をどっぷりと身に纏った彼らが数多くトップチームでその窮状を打破すべく躍動する姿を見ることが出来ることが、かくもこんなにも幸せなことなのかと思っていませんでした。後輩達に夢と希望を、スタンドで見る紳士・淑女(笑)に歓喜と幸福を、何より自らが自信と誇りを得られるように、これからも活躍して欲しいと思います。
 さ、皆さん。ユース出身の選手が活躍し、まもなく始まるプリンスリーグ等々ユースっ子が行う試合を応援するためにも、クラブサポートメンバーに入るなら今ですよ!