続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

惜別 Vol.2 近藤祐介

 今日はユースケでございます。


 良くも悪くも「マイペース」、それがユースケに対する率直な印象です。180cm、80kgという数字以上にゴツく見える体躯を活かし、当たり負けはしない、ゴリゴリっとしたドリブルで相手陣内へ攻め入る姿にはある種のエゴも感じさせ、それがいい方に転がった時の衝撃度はハンパないものがありました。しかし、練習でも試合でも、「自分をどう見せるか」「自分がどうやるのか」というところに固執しすぎて、「そこでもうちょっと周りを見れれば…」と思うことも、1度や2度ではありませんでした。


 9月にカボレが去って以降、私は平山のパートナーの座を奪うのは、赤嶺ではなくユースケだと期待していました。それは、分かりやすい部分で言えば、そこまでカボレが担ってきた役割を仮にそのまま任せると考えた場合、それができるのは赤嶺ではなくユースケだと思ったから。瞬間的なスピードもあるし、流れの中でサイドへ膨らんでもプレーできるし、当たりの強さもあるし、といった感じで。また、見えない部分で言えば、「ここで一つ大役を任せることで、一皮剥けてはくれないものか?」という願いにも似た感情があったから。神戸へレンタル移籍した際の活躍で、一時は代表候補として合宿にも呼ばれるまでになったものの、数字だけを挙げてみれば、神戸での数字(2年間で81試合17得点)を差し引くと、5年間で62試合7得点どまり。とても期待に応えられているものではありませんでした。しかし、チームとしては痛手だったカボレの移籍は、ユースケにとってはチャンスだったはず。やるなら今しかねぇ!と思ったのですが…蓋を開けてみれば、カボレが去って以降ユースケがリーグ戦でプレーした時間は、わずか57分間のみ。怪我もありましたが、ベンチ入りもたったの3試合にとどまり、ついぞ開幕戦以来ユースケがゴールを上げるシーンをこの目で見ることはできませんでした。
 なぜ、ユースケはベンチからも外れる日々を送らなければいけなかったのか?その明確な答えを、私は持ち合わせていません。ただ、試合中の采配については?なこともある城福監督ですが、ことスタートの11人+ベンチの7人を選ぶ作業については間違いがないというか、明確な意図が感じられるのも事実。そういった中でベンチにすら入れないということは、何か決定的なものが欠落していた、あるいは、城福監督の求める姿に近づけなかった、としか言いようがありません。まあ、漏れ伝わる話を聞けば、「やっぱりお前、マイペース過ぎるわ(苦笑)」という風にも書けるわけですが、漏れ伝わる話が100%正確かどうかは分からないので、そこはほじくりません。とにかく、ついぞ東京においてユースケは、「サテキング」の座を奪うにとどまる結果となりました。


 来年については、札幌でプレーすることが決定的だそうで。石崎監督が求めそうな「運動量」や「切り替えの早さ」にアジャストできるか、不安な気持ちはあります。だって、東京にいたころはスタンドのあちこちから、挙げ句に12/12にはこども監督からも「ユースケ走れ!」「ユースケ戻れ!」って言われっぱなしだったから(苦笑) けれど、「コンパクト」な「縦に早いサッカー」は性に合いそうですし、「裏に抜けるキリノ、ポストでユースケ」という形でコンスタントに使われれば、J2レベルなら神戸時代に匹敵する数字を出せるレベルであることは、ある程度保証していいのかなと。環境が変わって花開く、そんな選手はこれまでにもあまた存在しました。ユースケも是非そうなってほしいし、フジとともに札幌のJ1返り咲きに貢献してくれたら嬉しい限り。新天地での活躍を祈ります。そして、東京での5年間についてはお疲れ様、そして、ありがとう。