続々々・メガネのつぶやき

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Jリーグディビジョン1 第24節 東京2−0大分 レビュー

 前日に行った金沢旅行の(心地よいけど)疲れを残し、翌日はディズニーシーで楽しみ、有野課長に感動し、選挙結果に驚いたことで、もう試合のことほとんど忘れてしまったよ(苦笑) 覚えているのは、「1点目綺麗やったなぁ」「ヨネ〜!」の2つのゴールシーンぐらい。なので、それについてそれぞれ短く肉付けしてお終いにしよう。


 1点目は久々に生まれた綺麗な形。徳永から平山へのパスが出た瞬間のナオのアイデア、そこをしっかりと感じた平山のワンタッチプレー、そのシンクロにさらに重なる大竹のポジショニングとパス精度、ナオとDFのぶつかりから生まれたこぼれ球が味方につながるわずかな運、そしてカボレのシュートだかなんだか分からないプレー(笑)、いずれをとっても寸分の無駄もない素晴らしい流れでした。そして、そこに大竹がしっかりと絡んでいたことが、何より嬉しいところ。本人は「体のキレがよくなってきた」と語っていますし、(見てないけど)川崎とのサテライト戦から大竹の反撃が始まったと見ていいかもしれません。ボールを受ける動き・ポジショニングもいい意味で無秩序(本能的)で、「敵は捕まえづらいけど、味方は楽に出せる」ところを見つけられてますし、ボールキープの場面でもあっさり当たり負けというシーンは減っていました。ベンチの質の向上が必要な現状にあって、ある程度タスクをしっかりこなしてくれる達也に加えて大竹がこれぐらいやってくれるようだと、非常に心強いですね。あとは赤嶺orユースケ待ちか…。


 そして2点目。「無回転シュート」という言葉はすっかり定着し、各種メディアでその凄さは検証され、遠い欧州の地でズドンと決まるそのシュートに多くのサッカーファンが熱狂しているわけですが、それを生で見れた、しかも梶山ではなく*1ヨネだったというところには本当に驚きました。でも、終わってみて冷静に考えてみると、試合前のシュート練習において、ヨネはペナの外からミドルしか撃ってないといっても過言ではないんですよね(練習場でもそうみたい)。ボールをポスト役のコーチに当てる。コーチが落としたボールをダイレクトで振り抜く。そして、その球質は7割以上が無回転(なはず)。つまりは、意図的に無回転を撃てる素地があって、しかも練習でしっかりと無回転を撃っているその成果が生まれた、ある意味では「必然」のゴールだったのかもしれません。そうだとしても、このシュートには腰を抜かすぐらいの衝撃を受けましたよ。その理由は3つ。

  • ボールが枠の上に飛ばなかった衝撃

 このシュートシーンでのヨネの体勢ですが、踏み込んだ軸(左)足と腰と上半身の位置が離れているというか、これでもかってぐらい「くの字型」になっていたかと思います。普通はあれだけ上半身がボールから離れていれば(もう少し腰を入れなければ)、ボールに対して上半身の筋力で上から押さえつける力が働かず、どうしてもボールを下から叩き気味になって浮いてしまうことの方が多いはずなんです。実際、スローで見ると球の出だしは枠の上を越えるような角度にも見えましたが、撃った瞬間「ダメだこりゃ…」というほど当ての外れたシュートではなく、おっと思わせる角度で留められていること自体、衝撃的だと私は思いました。

  • 無回転、ボールの軌道に対する衝撃

 通常のシュート体勢より踏み込みが深かったのか、上半身のかぶせが浅かったのかは正直分かりませんが、推測するならば前者。その根拠は、大分前になんかのテレビで、確か三浦アツだったと思うんですけど、「踏み込みを通常よりやや深めにとって、ボールを『押し出す』イメージで蹴ると無回転(ブレ球)になりやすい」みたいなことを言ってたような記憶があるので。根拠って言うわりには記憶がファジーやんけ!という突っ込みは華麗にスルーするとして(笑)、でも上でも書いたとおり、毎試合の試合前シュート練習でヨネは無回転のボールをある程度高い割合で撃てていて、こういう武器があることをその他17チームに刷り込むことができた事はプラスに働くでしょう(少なくともマイナスになることは絶対にない)。
 そして、なんと言ってもシュートの軌道が、GKにとっては暴力的なことこの上なかった。1つ前にも書きましたが、途中までは枠の上にちょっとハズレ〜ぐらいの角度でボールが上がっていました。しかし、ある地点でボールが意思を持ったかのようにピタリと上昇するのを止め、そこからもう一段加速した(ように見えるだけなんだけど、本当にそう見えるのがまた凄い)ストレートボールが、西川に向かって襲い掛かっていきました。その時の西川の初動を覚えていないので何とも言えませんが、きっと西川ぐらいのGKなら、蹴られて10m程度の弾道で「あ、これは枠の上だな」って思ったはず。でも、実際はそうじゃなかった。だからこそ、結果的に自分の真正面頭の上を越えていくボールに対し、反応が遅れたわけです。(西川にとっては)無情にも頭の上を通り過ぎていったわけです。それぐらい、滅多にお目にかかれない弾道だったと断言しますよ。ただ、私が仮に大分ファンだったとしても、西川に対して「お前、真正面のシュートだろ!しっかり止めろよ!」とは口が裂けても言えません。トップGKが持ちうる「読みの鋭さ」を凌駕したわけですから。

  • 日本人選手とは思えない動きへの衝撃

 いずれにしろ、あそこまでボールに対して鋭角な体制で強いシュートを打てるってことは、上半身はもちろんのこと下半身、特に股関節周りの筋肉や稼動域が日本人離れしてるんじゃないでしょうか?これは相方からもらった(相方がどっかのテレビで見た)知識ですが、平均的な日本人の股関節の作りや稼動域だと、「蹴り足を振り抜いたと同時に、軸足を地面から浮かす(飛ぶような感じ)」蹴り方じゃないと、強くて早い、あるいは枠に直球で飛んでいくようなシュートを打てないらしいんです*2。でも、このときのヨネの軸足はべったり地面にくっついたまま。それでもなお、あんな球足のシュートが打てることだけでも驚きますし、それに加えて守備時の足の伸び方やボディバランス、寄せの速さや一度揺さぶられてしまったとしてもすぐに立て直せる動きの機敏さや無理の利き具合といった点も含めると、絶対ヨネにはアフリカ人の血が流れてるに決まってる!と叫びたくなります(笑) 2012年のロンドン五輪におけるサッカーの参加資格がU−23のままだとすれば、間違いなく主力の1人として活躍してるでしょうし、稲本の代わりに「代表ボランチ・守備枠」として来年南アフリカにいても…それは言い過ぎかな?


 締め。この勝利が公式戦では7試合ぶりの勝利だとか。長かった〜。で、城福監督も試合後語っているとおり、この試合はいろんな要因でスタメンをいじる手もあったと思います。でも、大事な試合であるナビスコ準決勝の前に1つ勝っておきたかった局面なのは疑いようのないところで、その意味では勝ったことで今回の選択が間違いじゃなかったことを内外野に納得させられたかなと。ナビスコは今野・長友が不在になりますが、そこは椋原、茂庭にしっかりと埋めてもらって(できれば塩田も見たい)、岡崎不在の清水を叩いてほしいと思います。



P.S ヨネのところの技術論については、多分に誤りを含んでいる可能性があります。専門的知識があるわけではないですし、何より映像見てないんで(苦笑) で、「これは明らかに間違いじゃないかい?」というところや、「間違いとは思わないけど、こういう見方もあるんでないかい?」といった点がありましたら、ぜひともご意見ください。
 1−0とリードしているロスタイム、しかもスタンドからは「眠らない街」が流れるのんびりムード、そして90分フルに戦ってきた疲労の溜まる中でシュートを打ったアイデアやメンタリティーの部分についてももちろん語るべきことは多いと思いますが、個人的にはホントにあのシュートの技術論についていろんな意見を見聞きしたいんで。あのシュートは「コツを覚えて練習さえすれば、大半の日本人でも打てるもの」なのか、それとも「米本拓司という選手のみが持っている身体的な特徴がゆえになせるもの」なのか、シュートの際の踏み込みの位置、上半身のかぶせ方、下半身の力の入れどころ、軸足の送り方などなどの一つひとつのてくにっくもそうですし。

*1:城福監督曰く「足首に問題を抱えている」とのこと。5月ぐらいに捻ったダメージがまだ残ってるんだね。

*2:同じ理屈で、日本人はインサイドキックで強い球を蹴れないらしいです。