続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

「攻撃>守備」の是非

[NUMBER EYES]総得点160が示す高校サッカーの現在地。−gooスポーツ:Number Web−
中日スポーツ:東京 超攻撃的2バック:365日FC東京(CHUNICHI Web)
 何か考えがまとまったからエントリに挙げたわけではないんですが、なんとなく上の2つの記事を読んで、思うところがあったもので。
 1つ目の記事内に、

しかし、それ以上にディフェンスが緩いのだ。とりわけ中盤でのボールに対する寄せが甘く、球際での争いは厳しさに欠けた。これが得点を急増させた、何よりの原因だろう。全6試合で29点を叩き出す一方で、14点も失った鹿児島城西が象徴的だ。大迫勇を中心に、オフェンスの破壊力は抜群だったが、しばしばMFがDFラインに吸収され、ボールの出どころを抑えられないディフェンスは、あまりにも脆弱だった。さらに、大会全体の傾向として、一度リズムを失うと、歯止めが利かないチームが多かった。その結果、必ずしも圧倒的な力の差があるわけではないのに、立て続けに失点を重ねてしまうのである。

「自分たちのサッカーをやりたい」

 よく聞かれるフレーズである。もちろん、それまでの練習によって積み上げられたものは、試合に臨むうえでのベースとしてあるべきだ。だが問題は、それができないときにどうするか、だ。一時的に引いて守る。あるいは、ロングボールを使って押し返す。方法は様々あろうが、そうした我慢が利かない。この年代においては勝敗がすべてではないとはいえ、18歳と言えば、育成年代の最終段階。流れを見極めて、試合の運び方を考えなければならないし、メンタルコントロールも不可欠なものである。

 という文がありますが、何もこれは高校レベルに限った話ではないんじゃないかなぁと思うんですよね。特に、東京ファンは胸にグサリと刺さる何かを感じる方が結構いらっしゃるんじゃないかと(苦笑)。
引用内にもあった「自分たちのサッカー」という言葉は、概ね攻撃的な意味合いでここ数年よく聞かれます。2つ目の記事内でも城福監督は「相手に合わせさせる」という言葉を用いていて、(やや強引ながら)読み替えれば自分たちのサッカースタイルは絶対に崩さないという決意の表れと言ってもいいでしょう。もちろん、サッカーの花形はゴールですし、私だって攻撃的なサッカーに魅力は大いに感じますよ。でも、いつもそれができるチームなんてこの世に存在しないですし、それに意固地になって負けてしまっては元も子もないんですよね。「攻撃的」というリスクを担保するだけの何かがあって始めて、「自分たちのサッカー」という言葉を使うことが許される、私はそう思います。
 じゃあ、「リスクを担保できるだけの何か」とはなにか。例えば、Jリーグで言えば2年前までの浦和には毎試合2点以上取れそうな攻撃力の裏に、強固なDFラインの守備+カウンターという武器がありました。ここ2年ほどの鹿島には、リードを許しても全く慌てない組織力と、試合の機微を見極められるオリヴェイラ監督がいます。世界に目を広げれば、今季のバルセロナはその圧倒的な攻撃ばかりに目が行きがちですが、ボールを奪われた瞬間から始まる中盤の鬼プレスをやれるだけの高いフィジカルと非利己的なメンタルがあります。ここ数シーズンのマンチェスター・Uも、攻撃陣は割と良かったり悪かったりを繰り返している印象の中、ファン・デル・サール&リオ&ヴィディッチを中心とした守備陣の頑張りが、チームの成績を底上げさせているといっていいでしょう(今季は22試合でわずか10失点!)。チェルシーだって、2年前までの浦和のスタイルを数倍高いレベルにしたショートカウンターを成立させられるチームでしたし、ここ数シーズン苦しんでいるレアル・マドリーがリーグタイトルを手にした3シーズン前は、カペッロ監督が徹底して植えつけた規律と守備意識がタイトルをもたらしたといっても言い過ぎではないはず。中にはガンバ大阪ホッフェンハイム(ドイツ)、マルセイユ(フランス)、ヘーレンフェーン(オランダ)のような「攻撃は最大の防御なり」を地で行くようなチームもありますが、私はレアケースとして見ていて、決してこれがベーシックなスタイル、流行のスタイルになるとは思っていません。
 つまるところ、「『我慢が利く=守備がしっかりしている』ことに越したことはないよね」という話なんですよ、私の考えは。東京がリーグでも上位をうかがい、ナビスコカップを制した2003〜2004年は、土肥、茂庭、ジャーンを中心とした堅い守備力がベースにあっての「攻撃サッカー」でしたからね。城福監督のことは(偉そうですが)ものすごく信頼していますし、やろうとするサッカーが非常に魅力的であることは疑いようがないんですが、J屈指の「我慢が利かない」「試合の流れを読みきれない」チームである東京で、ここまで極端な攻撃的思考がマイナスに出るんじゃないか?とひそかに心配している今日この頃です。視野が狭い話なんですけどね。
 …結局は、東京の話になってしまいましたね(苦笑)。すいません。