続々々・メガネのつぶやき

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バックパス禁止令は本当に必要か?−gooスポーツ:Number Web−

 昨日発売のFootballista内の「CLデータの断層」という記事で、この間のビジャレアルマンチェスター・U戦のデータを使ってバックパスの有益さについて取り上げられていましたし、1週前のFootballistaでは木村浩嗣さんが、さらにちょっと前のエルゴラでも藤井雅彦さんだったか川端暁彦さんだったかが、この「バックパス禁止令」についてひとつコラムを書かれていたのを読んだ記憶があります。


 総じて述べているのは「バックパスもひとつの有効な(攻撃)手段である」という点と、「選択肢を禁止と抑制で減少させることはダメ」という点。1点目については、明らかに縦に行けるのにバックパスをすることは良くないけれど、縦を切られた際の攻撃の組み立て直しであったり、DF(GK)が前線へ良質なロングボールを蹴るためには必要不可欠なことであるという論調でした(先のビジャレアル−マン・U戦でのエブラ(マン・U左サイドバック)へのバックパスは、すべて前線へのロングフィードの布石として送られたものだったそうで)。まあ、ごもっともな話ですよね、これは。縦に行くことが難しいのに縦へ勝負して取られてカウンターを浴びるより、一度ボールを下げて組み立て直す方がはるかに有益なのは言うまでもないことですから。
 ちょっと話はそれますけど、FC東京ファンって比較的バックパスに対して「寛容でない」部分があって(苦笑)、その中で今季は原監督時代の「縦へ早いサッカー」から「ポゼッションサッカー」へモデルチェンジを図っていく過程で、相当バックパスが増えたという印象があるんですよね。で、シーズン当初はスタジアムにいると「前行けよ、前!」という野次が結構聞かれていたんですけど、(あくまで個人的には)シーズンが深まったここ数試合は、そういう声が少なくなったなぁという印象があります。城福監督のやりたいサッカーをファンも理解してきているんかなぁと、少し嬉しくなった次第であります。
少なくとも、ヨーロッパ大好きな犬飼さんが、ヨーロッパのトップクラスのサッカーをしっかりと見ているのなら、バックパスがネガティブなものではない、むしろビッグクラブになればなるほど「組み立ての手段」としてバックパスを使っていることぐらい、すぐに分かると思うんですけどねぇ。


 2点目についてですが、人間は言うほど起用ではなく、ある面では選択肢が少ないほうが迷わずスムーズに動けるのかもしれませんが、見方を変えれば、少ない選択肢しか持ってないことは「思考能力の低下」と「バリエーションの貧弱化」を招くだけで、頭を使わない=画一化・単純化して、没個性に向かってしまうという危険性であったり、ある問題にぶつかったときにその答え(バリエーション)の持ち合わせが少ないということは、スポーツに限らず(いい意味で)相手から怖がられる人間が減ってしまう恐れがあると思うんですよね。あるひとつの能力が突出していて、それだけで相手を十分凌駕できるのであれば話は別ですけど、そうでないのならば、いろんな選択肢を持ち合わせ、場面場面で過去の経験則やその場の状況から自分の頭で判断して手を打つことを覚えないと、結局は「器用貧乏」というところに落ち着いてしまうのかなぁと。
 また、バックパスを禁止すると言うことは、「明らかに縦に行けない場面でも強引に縦に行って、結局は手詰まりになって攻撃終了」という、ある意味バックパスをするより消極的かつ落胆を覚える攻撃ばかりになってしまうということ(その辺は木村さんも書いてましたが)。見出しの記事内でも書かれているホッフェンハイムのように、縦へ行くことを突き詰めて成功しているチームもありますけど、多くのチームには「押してだめなら引いてみな」という言葉がぴったり当てはまると思うんですけどね。


 ちょっと疲れた頭で書いているので取りとめがない感じでぼやけた文章になってしまいましたが、結局は犬飼さんが「(何でもかんでも、どんなシチュエーションでも)バックパスするな!」という意図で一連の発言をしているのだとしたら、それは相当見当違いだということ。「(明らかに縦に行ける場面では)バックパスするな!」であるならば、理解はできますけど。