続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

EURO2008 グループリーグ展望 グループB

 今日はグループB。
オーストリア
 開催国としてではありますが、めでたいEURO初出場。ただ、ビッグトーナメントへの参加自体久方ぶりで、昨年行った国際Aマッチ12試合でわずか1勝と、実力不足である面は否めません。それでもGKマニンガー、DFポガテツ、シュトランツル、MFイヴァンシッツ、FWリンツハルニクといった国外組を主軸に据え、攻守ともに高さ(登録23人中、180cm以下が3人しかいない!って、クロアチアもそうなんですけどね。)を活かしての肉弾戦、消耗戦に持ち込んで、しぶとく試合を進めていきたいところでしょうか。
 イチ押しはDFエマヌエル・ポガテツ。05年からミドルスブライングランド)へ移籍し主力DFとして活躍中。怪我がちなところがあり、移籍初年度は怪我で1年を棒に振るなどありましたが、189cmと恵まれた体躯を活かしての空中戦はもちろんのこと、センターバックと左サイドバックを同レベルでこなすマルチな一面もあり、今季はクラブ最優秀選手にも選ばれたようです。06年9月に痛烈な監督批判を公の場で行ったことにより、一時期代表からは完全に干されていましたが、今年2月のドイツ戦で久々の代表復帰。わだかまりどうこうはさて置いて、オーストリアが開催国として最低のメンツを保つためには、ポガテツを中心とした守備陣の頑張りは必須。ドイツ、クロアチアの強力攻撃陣とどれだけ伍して戦えるか、注目ですね。ただ、Jリーグファンとしてはやはり、かつて名古屋に在籍していたMFイヴァン・バスティッチを忘れるわけにはいきませんね。「伸び悩んでいるFWリンツのケツを叩く意味で招集された」という意図が多少はあるようで、出番が回ってくるかは分かりませんが、楽しみに待ちたいと思います。元千葉のMFマリオ・ハースは残念ながら落選でした。


クロアチア
 予選はイングランド、ロシアといった難敵を押さえて堂々の首位通過。06年7月に就任したスラベン・ビリッチ監督のもとで積極的な若手の登用が施され、DFチョルルカ、MFモドリッチ、クラニチャール、ラキティッチ、ポクリヴァツ、FWカリニッチと、主に攻撃面におけるニュージェネレーションが台頭してきたのは心強い限り。予選でチーム得点王だったFWエドゥアルドが大怪我で戦線離脱した影響は懸念されるところですが、その他のFWペトリッチ、オリッチ、クラスニッチも十分に戦えるレベルの選手だと思うので、致命傷には至らないでしょう。ただその一方で、守備の中心は依然GKプレティコサ、DFシミッチ、R・コバチシムニッチ、MFN・コバチといったおなじみのメンバーに頼らざるを得なく、スピード勝負であったり疲労の蓄積であったりといったベテランならではの不安点をどう払拭していくのかは、頭を悩ませるところでしょうか。
 イチ押しはMFルーカ・モドリッチ。弱冠22歳ながら、クラニチャールと並んで(まあ、クラニチャールも23歳なんですが)チームを牽引する大黒柱としての存在感は抜群。所属クラブが国内のディナモ・ザグレブということでなかなかお目にかかる機会がなかった方が多いかもしれません(来季はすでにトッテナムイングランド)への移籍が決定。)が、185cmと大柄で感性鋭いパスを出すタイプクラニチャールに対し、175cmのモドリッチは周囲の状況判断に優れたパサータイプで、独特のタッチによるドリブルも持ち味。2列目のクラニチャールにばかり気を取られていると、3列目からモドリッチがするするとやってきて、相手にダメージを与える−そんなシーンが今から浮かんできますね。


ドイツ
 開催国として参加した06年ワールドカップが十分すぎるほど若手を登用した大会だったので、今大会もその時と根幹を成す選手にほぼ変化は見られませんが、個別に見れば状況は様々。DFメルテザッカー、MFバラック、FWゴメスあたりはここに来て調子を上げているようですが、FWポドルスキー、MFシュバインシュタイガーバイエルン勢は今季出番を大きく減らして停滞気味ですし、MFフリングス、DFフリッツ、メッツェルダーはシーズン中に負った怪我の悪影響をどれだけ払拭できているか不透明な部分があります。また、シュナイダーをヘルニアの手術により欠く事となり、「少なくともグループリーグは圧倒的な力の差で突破する」という戦前の予想がそのままとなるかは分かりません。個人的にはGKはレーマンでいいんですかね…という点もありますし。
 イチ押しはDFハイコ・ヴェスターマン…にしようと思ったんですが、おそらくほとんど出番がないのでやめとこう。ちなみに、ちょっとだけヴェスターマンについて書くと、シャルケに所属するDF。右サイドバックが本職ですがCBもこなすマルチロールで、サイドバック時の積極的な攻め上がりと運動量が持ち味の選手です。ラームが左に回って右がヴェスターマン、という試合があるかもしれないので、ちょっと覚えておいていただければありがたいかなと。で、改めてイチ押しはFWマリオ・ゴメス。まあ、ゴメスもここであえてイチ押しにする必要がないくらいすっかり有名になりましたが、まだ代表キャップは1桁(9試合)ということで挙げてみました。今季は怪我もあって出場こそ25試合にとどまりましたが、それでも19得点を挙げ得点ランクは2位、得点率は0.87で1位としっかり結果を残しました。持ち味はシュートへ持ち込むまでの硬軟織り交ぜたプレー。そのフィジカルを活かしてゴリゴリと突破することもあれば、DFとの駆け引きで上手くフリーになりシュートまで持ち込むシーンありと、とにかくゴール前でいろんなことが出来るタイプの選手。それでいて誰と組んでも遜色ないプレーが出来る印象ですし、器用貧乏にならずにしっかりと結果を残せるあたりは、さすがに世界のビッググラブ垂涎の的と言われるだけありますね。


ポーランド
 オランダ人のレオ・ベーンハッカー監督を招聘し、念願のEURO初出場となったポーランド。いかにも東欧らしい「粘り強い守備からのカウンター&サイドアタック」を突き詰め、予選ではポルトガルを抑えての首位通過。中でもボルツ、クシチャク、ファビアンスキという伸び盛り3人衆を要するGKは、全16か国中トップの層の厚さを誇ると言っていいでしょう。ビッグネームこそいませんが、DFゼブラコフ、MFスモラレクを中心によくまとまっているチームだと思いますし、4月に帰化したばかりのロジェールが上手くチームに化学反応をもたらせれば、おっと言わせるシーンが見られるかもしれません。ただ、攻撃面ではスモラレクを抑えられてしまうと途端に手詰まるシーンが多いようで、両サイドハーフのクシヌヴェク、ウォボジンスキ、1トップのジュラフスキがどれだけ仕事を出来るかがかぎになって来るでしょう。先制してしぶとく逃げ切る、そんな形が理想ですかね。
 イチ押しはやはりFWエウゼビウシュ・スモラレク。かつて所属したフェイエノールト(オランダ、このとき小野伸二とも一緒にやってましたね)、ドルトムント(ドイツ)時代のプレー−典型的なウインガーらしいサイドを軽快に駆け上がるプレー−をご存知の方が多いかもしれませんが、昨季から移籍したラシン・サンタンデール(スペイン)ではセンターフォワードを任されることが多く、すっかり印象が変わりましたね。ゴール数こそ4と少なかったですが、チームのトップスコアがチテの8点ですから、他チームで考えれば2桁近いゴールを上げたのと同じ貢献度と見ていいでしょう。代表ではトップ下を任されることが多いようですが、縦横無尽に動いてボールを受け、また捌いていく姿は、すっかり大黒柱としての責任感に溢れている印象。スモラレクを中心にどれだけゴールを奪えるか、注目です。


通過予想

1位 ドイツ
2位 クロアチア
3位 ポーランド
4位 オーストリア

 クロアチアが守備破綻でポーランドが上昇する可能性は否定しません。