続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

EURO2008 グループリーグ展望 グループA

 今日から金曜日まで、1日ずつ各グループの展望(各国メンバーリストに対する感想、個人的イチ押し(大注目)選手、通過予想。展望と言うほど大それたものではないですが)を載せていこうかと思います。「こんな見方もあるんだな」とか「始めて見る人の入り口」的なものになれば、嬉しい限りです。
スイス
 コビ・クーン体制になりすでに7年目。DFマニャン、P・デゲン、MFバルネッタ、H・ヤキン、ギガクス、FWフレイ、シュトレラーと言った06年のワールドカップ時のメンバーを中心としつつも、GKベナッリョ、DFセンデロス、ジュルー、MFベーラミ、インレル、フェルナンデス、フォンランテン、FWデルディヨクといった若いメンバーも順調に成長を重ねていて、非常にバランスの取れた陣容に映ります。司令塔であるマルガイラツが負傷によりメンバーから漏れ、FWのヌクフォも直前で怪我により離脱、また守備の要であるミュラーもメンバー入りこそしたものの怪我の不安を残す点は大きな痛手ですが、メンバーが代わろうとも意思統一されている堅守速攻と両サイドアタック、特に左サイドの攻撃には要注目です。
 イチ押しはMFギョクハン・インレル。名前だけでもうトルコ系であることが一目で分かりますが、実際に両親ともトルコ人。幼い頃はトルコで暮らしていたようで、トルコ代表からも熱烈なラブコールを受けたそうですが、本人はデビューの地であるスイス代表を選択。今季から加入したウディネーゼ(イタリア)では即座にスタメンを勝ち取り、今季は37試合にスタメンで出場し、プレータイムはチーム最多と信頼を受けている選手です。ポジションはボランチで、182cmという体躯を活かしたフィジカルの強さもありながら長短のパスを捌ける万能タイプ。個人的にはここ1、2年の内にビッグ4に買われる事間違い無しの選手だと思っていて(こういう選手を探してくるウディネーゼのスカウト能力の高さは異常)、今のうちに注目しておいて全く損はないでしょう。


チェコ
 いわゆる「ゴールデンエイジ」を要して臨んだ前回のEUROはベスト4進出を果たしましたが、06年ワールドカップでは(イタリア、ガーナ、アメリカと同居する死のグループだったとはいえ)グループリーグ敗退。復権を期して臨みたい今大会ですが、遅々として世代交代が進まず、ここに来て司令塔のロシツキーが怪我により不参加が決定し、決して戦力値を積み増しているとは言えない状況。もちろん「名前」のある選手ばかりで威圧感はありますし、熟成度という点から見れば参加国中トップクラスのものがあるとは思いますが、攻撃陣は全体的なスピード感に欠く印象ですし、頼みの守備陣も、今季のDFヤンクロフスキロゼフナルらのパフォーマンスだけ見れば心許なく、何か起爆剤となるものがなければ正直言って厳しいと思います。
 その中でイチ押しはFWマルチン・フェニン。今シーズンのウインターブレイク中に高原、トゥルクの移籍でFW陣に穴が空いたフランクフルト(ドイツ)へ移籍しましたが、すぐに信頼を勝ち取り後半戦はほぼフル出場して6ゴールの大活躍。それこそバロシュのようなプレースタイルが売りで、嗅覚の鋭いポジショニングとゴール前の落ち着きはバロシュ以上の潜在能力を秘めていると言っても過言ではないかと思います。まだ代表キャップが5試合しかなく、この大舞台で過度の期待をするのは酷かもしれませんが、フェニンがラッキーボーイ的存在、起爆剤になれれば、予想を覆しての躍進があっても不思議ではないかなぁと思います。


ポルトガル
 地元開催の前回大会は決勝でまさかの敗戦を喫し、06年ワールドカップもベスト4で老獪なフランスの前に屈し4位と、あと一歩でビッグタイトルがするりとこぼれていったわけですが、もしかすれば今大会こそはと思わせる陣容が整った印象。もちろん攻守の要はMFロナウド(軽い怪我を負ったとの情報あり)、DFカルバーリョイングランド勢ですが、依然主力足りうるDFミゲウ、MFペティート、デコ、06年のサブ扱いから大きく成長を遂げたFWクアレスマ、シモン、その後に台頭してきたDFボシングワ、ペペ、B・アウベス、MFヴェローゾメイレレス、J・モウティーニョ、FWナニと各ポジションに個性溢れる選手が並んでいます。相変わらずセンターフォワードだけは今ひとつ物足りなく、結局攻めだるまになりながらも点を取れずに…というオチが目に浮かぶところもありますが、その不安を跳ね除けて頂点に立つことが出来るか。両ウインガーの4人(ロナウド、ナニ、シモン、クアレスマ)の活躍に要注目です。
 イチ押しはFWウーゴ・アウメイダブレーメン2年目となった今季は怪我に悩まされはしたものの、クローゼのバイエルン移籍に伴って出番が増加。23試合(1384分)で11ゴール、90分当たりの得点率0.71は、20試合以上出場した選手に限れば今季のブンデスリーガ3位(1、2位はトニ、ゴメツ)とプチブレイクを果たしました。持ち味は190cmの長身を活かしたポストプレーとフィジカルの強さ。どちらかと言えば2トップの方がいいのかなぁ?という気はしますが、これまでにポルトガルにはいなかった大型のセンターフォワード。素晴らしいウインガーからのボールをモノにして彼が爆発してくれれば、優勝がグッと近づいてくるんじゃないでしょうか。


トルコ
 02年のワールドカップ以来のメジャー大会となるトルコ。当然その時のメンバーはGKリュシュテュ、DFエムレ・アシク、MFエムレ・ベロゾール、FWニハトと数える程度になりましたが、少なくともMFはメーメト・アウレリオ、カズム・リチャーズ、アルテゥントップ、アルダ・トゥラン、ギョクデニズ、トゥンジャイと隠れた実力者が揃っている印象を受けます。ただ、怪我人などもあって守備陣は明らかに見劣りしますし、主力と思われていたMFバシュテュルク、FWハリル・アルトゥントップを「(ドイツ系の)彼らをベンチに置くとチームに不協和音が生まれる可能性がある」という理由でメンバーから除外。バステュルクはともかく、ハリル・アルティントップの除外はただでさえ不安視されていたニハトのパートナー問題をさらに深いものとしていて、かなり厳しい戦いが待っていると予想します。
 その中でイチ押しは今更ながら、いや、今だからこそのFWニハト・カフベチレアル・ソシエダの2部降格、そして自身の大怪我もあってもはや「終わった選手」と思われていましたが、今季はFWの大黒柱としてフル稼働し、18ゴールを挙げるまさかの大復活劇を見せてくれました。持ち味はご存知の方も多いと思いますが、キレとスピードを兼ね備えたドリブルとチャンスを逃さない決定力。パートナー候補最有力だったハリル・アルトゥントップがまさかのメンバー除外となり、ニハトにかかる重責が一気に重くなりましたが、今季のパフォーマンスそのままを維持できていれば、かなり楽しみな選手の一人です。


通過予想

1位 ポルトガル
2位 スイス
3位 チェコ
4位 トルコ

 2強2弱、とまでは言いませんが、開幕戦のカード、スイス対チェコポルトガル対トルコで左の2チームがあっさりと勝利し、グループリーグの大勢が決するんじゃないかと思っています。