2−0になったあの瞬間までは、最高のゲームをしていました。攻めては高さで負けている相手からセットプレーで得点を奪えたり、足下の細かいパス回しと左右を広く使ったワイドな攻めをうまく使い分けて、チェコをあたふたさせていました。守っても、一人ひとりがしっかりと責任を果たす応対ができていました。これならいける、誰もがそう思ったと思います。
ただ、2−0になってからの戦い方は(厳しいかもしれないけれど)稚拙だったと言わざるを得ません。チェコがパワープレー(ロングボール)主体の攻めに完全に切り替えたことにうまく対応できず、ボールを奪っても意味もなくはね返すばかり。いくつかのシーンでは、足下でつないでカウンターにもっていけたシーンもあっただけに、そういう判断力が鈍るほど雰囲気に飲まれてしまったのは残念でした。相手が退場し、延長戦丸々30分数的有利に立ったにもかかわらず、ベタッと引いたチェコを崩しきるところまでには至らなかったのも。PK戦については何も言うことはありません。日本は2人止められた、しかし、チェコは4人がしっかり決めた。その事実以外の何物でもありませんから。判定については、吉田監督のこのコメントが全てかと思うので、そちらを引用。
「このような形でここを去ることになり残念です。近くで見ていないからPKかどうかは分かりませんが、2回続けて帳尻あわせみたいにカードが出たことは不満です。
(中略)
Q:後半のチェコのPKについて
「それはさっきも言ったのでもう言いたくないです。感想もないです。」
(J’s GOALより)
代表至上主義を掲げ、代表ばかりを煽り続けるマスコミに背を向けるかのように、近年の代表の試合には、輝きというかワクワク感に乏しい印象を受けていましたし、気持ちが離れていく自分がいました*1。しかし、今回のU−20代表からは、久々にワクワク感を感じ取ることができました。それは、このチームに携わる全ての人が、時に厳しく、時に苦しみ、けれど時に楽しく、時にアホなまでにはしゃぎながらも一点同じ方向を向いて、高い共通意識の下でやれることを必死にやってきたからなんだと思います。前回のメンバー*2と比較するのはナンセンスですけど、同じベスト16敗退でも、前回は2分け2敗、今回は2勝2分け*3。選手個々のキャラクターやチームの団結力などを見ても、前回のメンバーよりなんだか愛着がわくというか、違和感なく飛び込めるメンバーが揃っていて、ここで終ってしまうのが本当にもったいない、更なる強豪*4と戦って、代え難い経験を積んで欲しかったと思います。
まあ、私たちが「もっと見たかった」って思ってる何百倍も、選手たち自信が「もっとやりたかった」と思っているはずですし、もうこの21人で一つの大会に向かうことはありません。けれど、ビクトリアの地で得たたくさんの自信とたくさんの後悔、たくさんの喜びとたくさんの悔しさ、その全てを自身の成長の糧にして、上の世代でまた代表として呼ばれ、一緒にプレーできることを期待しています。そのために、まずは「Jでのスタメン確保」、ここからだよ。